ABO不適合(ABO血液型不適合)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ABO不適合とは、お母さんと赤ちゃんの血液型が合わないために、お母さんの血液中にできた抗体が赤ちゃんの赤血球を攻撃してしまう状態です。多くの場合、新生児の黄疸(皮膚や目が黄色くなること)の原因になります。
重要な事実
- 主にO型のお母さんとA型またはB型の赤ちゃんの間で起こります。
- ほとんどの場合、光線療法という光を当てる治療で改善します。
- 重症化することはまれですが、早めの発見と対応が大切です。
ABO不適合は、ABO式血液型の不適合妊娠のなかでは最も多く見られる状態で、比較的ありふれたものです。ただし、赤ちゃんが重症になるのはごく一部です。
主に、O型の母親から生まれたA型またはB型の赤ちゃんに影響します。初めての妊娠でも起こることがあります。
症状
- 黄疸が急に進み、全身の皮膚が濃いオレンジ色や黄色になる
- 赤ちゃんがぐったりして、目を覚まさない、または起こしにくい
- 呼吸が苦しそう、または息が荒い
- けいれんがみられる
- 輸血中または輸血後に高熱、背中や腰の激しい痛み、息苦しさ、血尿がある
- ⚠黄疸が強くなっている、または広がっている
- ⚠哺乳力が落ちて、飲む量が明らかに減った
- ⚠ミルクや母乳を吐く、または下痢がある
- ⚠尿の色が濃い、便の色が薄い
一般的な症状
- 生後数日以内に現れる、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)
- 母乳やミルクの飲みが弱い、だるそうにしている
- 尿の色が濃い、便の色が薄い(まれ)
子供の症状
- 新生児の黄疸が進み、全身の皮膚が濃い黄色やオレンジ色になる
- 哺乳力の低下(飲む量が減る、途中で寝てしまう)
- ぐったりして反応が弱い
- 泣き声が弱い、または高く鋭い泣き方をする
高齢者の症状
- 成人では主に輸血の際に血液型が合わないと起こります
- 発熱、寒気、腰や背中の痛み
- 息苦しさ、吐き気、尿の色が赤茶色になる
原因
主な原因
- ABO式血液型にはA型、B型、AB型、O型があります。O型の人はA型とB型の血液に対する抗体を持っています。
- 妊娠中、O型の母親の抗体が胎盤を通過して、赤ちゃんのA型またはB型の赤血球を壊すことがあります。これがABO不適合です。
- 壊れた赤血球からビリルビンという色素が作られ、皮膚や目が黄色くなります。
リスク要因
- 母親の血液型がO型であること
- 胎児または赤ちゃんの血液型がA型、B型、またはAB型であること
- ABO不適合は第1子でも起こることがあります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 赤ちゃんの黄疸が強くなっている、または全身に広がっている
- 赤ちゃんがぐったりしている、起こしにくい、けいれんがある
- 成人では、輸血に関係する症状(高熱、腰や背中の痛み、息苦しさ)が出た場合
定期受診を予約すべき場合:
- 黄疸が気になる場合、家庭で判断せずにかかりつけの小児科へ相談する
- 妊婦健診で血液型や抗体のチェックを受ける
- 退院後も、体重増加や哺乳の様子が心配なときは医師に相談する
診断
出生後の赤ちゃんの血液型を調べ、お母さんの血液と合わせてABO不適合の可能性を確認します。さらに、赤ちゃんの赤血球に抗体がついているかを調べるクームス試験や、血液中のビリルビン値を測定して診断します。
行われる可能性のある検査
- 血液型検査(赤ちゃんと母親)
- 直接クームス試験(赤ちゃんの赤血球に抗体が付着しているか)
- 間接クームス試験(母親の血清中の抗体を調べる)
- 血液中のビリルビン値の測定
診察で予想されること
黄疸の程度を確認するために、数時間おきにごく少量の採血が行われることがあります。検査は新生児にとって負担が少なく、結果に基づいて医師が治療の必要性を判断します。
治療
ABO不適合による新生児黄疸の治療は、血液中のビリルビン値を安全な範囲に下げることが目的です。多くの場合は光線療法(特殊な光を皮膚に当てる治療)が行われ、重症で光線療法の効果が不十分な場合は交換輸血(血液を入れ替える治療)が考慮されます。
自宅でのセルフケア
- 赤ちゃんの皮膚や白目の色、おむつの尿・便の色を観察する
- 母乳またはミルクをこまめに与え、水分と栄養をしっかり摂らせる
- 医師の指示に従って、定期的に小児科を受診する
- 退院後も黄疸が再び強くならないか注意して観察する
医療治療
治療の中心は光線療法です。専用の光を当てて体の表面のビリルビンを分解し、尿や便と一緒に出すのを助けます。目を保護するための遮光眼鏡をかけて行います。水分やカロリーが不足している場合は点滴が行われることがあります。交換輸血は、光線療法で効果が不十分な重症例に、医師の判断で行われます。市販の薬や自己判断での治療は行わず、必ず医療機関の管理のもとで治療を受けてください。
手術が検討される場合
この病気に対して手術が行われることはありません。
この病気と共に生きる
治療中は、赤ちゃんの様子に合わせて光線療法と授乳のリズムを作ります。退院後も黄疸の経過や発育の様子を小児科で定期的にフォローします。ほとんどの赤ちゃんは数日から1週間程度で落ち着きます。
生活習慣のアドバイス
- 日中は部屋を明るくし、自然光を浴びさせる(直射日光は避ける)
- 規則正しい授乳を心がける
- 赤ちゃんの睡眠と生活リズムを安定させる
- 外出は医師の許可が出てから行う
食事と運動
この状態のために特別な食事制限はありません。赤ちゃんには母乳またはミルクをしっかり与えます。授乳するお母さんは、バランスのよい食事と十分な水分を心がけてください。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの黄疸が長引いたり、治療が必要になったりすると、親は心配になると思います。特に初めての育児では不安が大きいかもしれません。一人で抱え込まず、医師や看護師、保健師に気軽に相談してください。
予防
ABO不適合そのものを予防する方法はありません。しかし、妊婦健診で血液型と抗体検査が行われ、出生後も赤ちゃんの黄疸を早期にチェックすることで、重症化を防ぐことができます。
ワクチン
この病気に特に関連するワクチンはありません。通常の予防接種についは、かかりつけの医師と相談して受けてください。
検診プログラム
日本では、妊婦健診で血液型検査が必須となっており、出生後は医療機関や助産師による新生児訪問などで黄疸の確認が行われます。厚生労働省の母子保健に関する指針に基づいて、多くの地域で新生児への支援が提供されています。
合併症
治療しない場合
- 重症の黄疸が治療されないと、ビリルビンが脳に沈着して「核黄疸」という脳障害を起こすことがあります
- 貧血が進み、心不全や発育の遅れを引き起こすことがあります
- これらはまれであり、適切な治療で予防できるものです
長期的な見通し
ABO不適合による黄疸は、適切な治療を受ければ、ほぼすべての赤ちゃんが後遺症なく健やかに成長します。光線療法で改善しない重症例でも、交換輸血などの特別な治療が早く行われれば予後は良好です。安心して医療者と一緒に経過を見守りましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月2日
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