アキレス腱炎
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
アキレス腱炎(あきれすけんえん)は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ「アキレス腱」という太いすじに、炎症や痛みが起こる状態のことです。
重要な事実
- アキレス腱炎は、繰り返しの負荷や急な運動量の増加で起こる「使いすぎのけが」です。
- 多くは安静と適切なケアでよくなりますが、放っておくと慢性化することがあります。
- 早めに適切な対応をすることで、日常生活への影響を小さくできます。
はい。特にスポーツをする人や、急に運動量を増やした人にみられる、よくあるけがのひとつです。日本でも、スポーツ外来や整形外科を受診する方に多い症状です。
どの年代の方にも起こりますが、特に中年の方、ランニングやジャンプを多くするアスリート、ダンスやバレエをする方に多くみられます。
症状
- 突然、かかとの後ろに激しい痛みが走った
- 「ポン」「ブチ」という音を感じた
- 歩くことができない、つま先立ちができない
- かかとの後ろが急に腫れて、内出血やあざができた
- 上記の症状に当てはまる場合は、ためらわずに119番(救急要請)に電話してください。
- ⚠安静にしても痛みが強く、体重をかけるのが難しい
- ⚠足首やかかとの強い腫れ、または熱感がある
- ⚠痛みとともに発熱がある
- ⚠しびれや感覚の異常がある
- ⚠このような症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
一般的な症状
- アキレス腱に沿った痛みやこわばり(特に朝起きた時に強く感じる)
- かかとの後ろの腫れや圧痛(押すと痛い)
- つま先立ちや階段を上るときの痛み
- 動かすときに「ミシミシ」や「バキバキ」といった音や感触がある
- 運動後や長く歩いた後に痛みが増す
子供の症状
- 子どもでは、かかとの骨の成長に伴う痛み(シーバー病など)があるため、アキレス腱の痛みと似た症状が出ることがあります。
- 子どもがかかとの痛みを訴える場合は、自己判断せず、医療機関で診てもらいましょう。
高齢者の症状
- 加齢によって腱の弾力性が低下しているため、痛みやこわばりを感じやすくなります。
- 転倒や脚のつまずきを防ぐためにも、適切な診断とストレッチが大切です。
原因
主な原因
- 急に運動の量や強度を増やしたことによる、腱への繰り返しの負荷
- ふくらはぎの筋肉が硬く、柔軟性が不足している
- アップダウンの多い坂道や硬い地面での運動
- サポートが不十分な靴や適切でない靴の使用
- ストレッチや準備運動を十分に行わずに運動を始める
リスク要因
- 年齢(特に40~60歳に多い)
- 男性にやや多くみられる
- 扁平足やハイアーチ(土踏まずが高い)など、足の形の特徴
- 肥満や体重の増加
- 糖尿病や高血圧などの持病がある
- 一部の薬の使用(医師から処方された薬について質問してください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に激しい痛みがある
- 腱が切れた可能性がある症状(「ポン」と鳴って腫れた・歩けない)
- 熱があり、赤く腫れている(感染の可能性があるため)
定期受診を予約すべき場合:
- 1週間以上、安静にしても痛みが続く
- 日常の動作(歩行や階段)で痛みが強くなる
- 腫れや痛みで生活に支障がある
- スポーツを再開したいが、痛みが心配
診断
医師が、痛みの場所や症状、運動習慣について質問し、足や足首を診察します。ふくらはぎやアキレス腱を押したり、動かしたりして状態を確認します。
行われる可能性のある検査
- 足首のX線検査(骨に問題がないかを確認)
- 必要に応じて、超音波(エコー)検査やMRI検査で腱の状態を詳しく調べる
診察で予想されること
診察では、症状の経過や生活の様子を伝えてください。医師から、安静の仕方や運動復帰の目安、リハビリテーションの計画などが説明されます。
治療
治療の基本は、痛みを起こしている負担を減らし、腱を休ませて、少しずつ回復させることです。まずは痛みが強い時期の安静と、アイシング(冷やす)が役立ちます。
自宅でのセルフケア
- 痛みがある間は、つらい運動を中止し、足を休ませる
- 1日数回、15~20分ほど、タオルで包んだ保冷剤などで痛みのある部位を冷やす
- 足を高くして休み、腫れを軽くする
- 段差や階段での負担を減らすため、かかとを少し高くした靴やクッション性のある靴を選ぶ
- 痛みの範囲内で、ふくらはぎのストレッチを優しく行う
医療治療
医師の指導のもと、痛みをやわらげるための一般的な消炎鎮痛薬(しんえつちんつうやく、痛みとはれをしずめる薬)の使用や、湿布・塗り薬による外からのはたらきかける治療が検討されることがあります。また、物理療法(温熱や超音波など)や、理学療法士によるリハビリテーション、足の形に合わせたインソール(靴の中敷き)なども選択肢のひとつです。自己判断で薬を長期使用せず、薬剤師や医師に相談してください。
手術が検討される場合
まれなケースですが、腱が断裂(完全に切れる)した場合や、画像検査で腱に大きな損傷がある場合、長期間の保存的治療(手術以外の治療)を行っても改善しない場合は、手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
痛みと上手につきあうために、足に負担をかけすぎないことが大切です。運動量を調整し、準備運動やクールダウンを忘れずに行いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 痛みがある運動は休み、ウォーキングやサイクリングなど負担の少ない運動を取り入れる
- かかとのサポートがある靴を選ぶ
- 毎日、ふくらはぎとアキレス腱のストレッチを行う(痛みのない範囲で)
- 運動の強度を急に上げず、少しずつ慣らす
食事と運動
腱の回復を助けるため、バランスのよい食事(たんぱく質・ビタミンC・ビタミンDなどを適切に摂る)と、軽い有酸素運動で全身の血流を保つことが役立ちます。激しい運動は避け、医師や理学療法士の指示に従いましょう。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みは気分を落ち込ませたり、イライラや不安を感じることもあります。そのような気持ちは自然なことです。ひとりで抱え込まず、医療者や家族、友人に話しましょう。
予防
はい、多くのアキレス腱炎は予防できます。運動前の準備運動、ふくらはぎのストレッチ、適切な靴選び、運動量を急に増やさないことなどで、リスクを大きく減らせます。
検診プログラム
特に定期的な検診はありませんが、運動を始める前に足の痛みや違和感がないか自己チェックし、気になる症状があれば早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みが長引いて慢性化し、日常生活やスポーツを楽しめなくなる
- 腱の退化(ティノパシー)が進む
- ひどい場合、アキレス腱が断裂(完全に切れる)してしまうことがある
- 回復までの期間が長くなり、手術が必要になることがある
長期的な見通し
適切に治療すれば、ほとんどの方は数週間から数か月で日常生活に戻ることができます。焦らず、症状に合わせてケアを続ければ、再発の予防にもつながります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月14日
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