後天性脳損傷(脳機能障害)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
後天性脳損傷とは、生まれた後に脳が事故や病気などで傷つき、記憶や考え方、動き、感情に影響が出る状態です。損傷した場所によって症状はさまざまで、軽い場合から重い場合があります。脳卒中や交通事故などで起きることが多いです。
重要な事実
- 自然に回復することもあれば、長い間リハビリが必要になることもあります
- 症状は「脳のどこが傷ついたか」によって大きく変わります
- 子どもの発達にも影響するため、早い気づきが大事です
- 後遺症は時間とともに良くなることもあります
日本では交通事故や転倒による頭部外傷や脳卒中の後遺症として、多くの人が後天性脳損傷の支援を受けています。はっきりした人数は難しいですが、決して珍しい状態ではありません。
若い世代では事故による頭部外傷、高齢者では転倒や脳卒中が原因で起こりやすくなります。子どもから高齢者まで、どの年代でも起こり得ます。
症状
- 意識がない、呼びかけに反応しない
- けいれんやひきつけが止まらない
- 片方の手足が動かない、まっすぐに立てない
- 言葉が出ない、ろれつが回らない
- 目がまわらない・瞳孔の大きさが左右で違う
- 繰り返し吐く、頭を打った直後に意識がない
- ⚠強い頭痛が続く、しだいに強くなる
- ⚠ふらつきがひどく転ぶ
- ⚠記憶が飛ぶことが何度もある
- ⚠異常な眠気や反応が鈍い
- ⚠目の前が暗くなる・視野がそがれる
一般的な症状
- 頭痛やめまいが続く
- 記憶が飛ぶ・思い出せない
- 注意や集中が続かない
- 感情をコントロールしにくい(怒りっぽい・泣きやすい)
- 言葉がうまく出てこない、相手の話が理解しにくい
- 体の半分が動かしにくい・しびれる
子供の症状
- 遊んでいる様子がおかしい、ぼんやりしている
- 何度も吐く、頭をよく触る
- すぐ泣く、ぐずる、寝つきが悪い
- 今までできたことが急にできない
高齢者の症状
- 転んだあとの頭痛や吐き気
- 会話がまわらない、返事が遅い
- いつもと違う混乱や記憶の低下
- 歩き方がふらつく、転びやすくなる
原因
主な原因
- 交通事故や転倒、スポーツ中のけがなどの外傷
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
- 心臓が止まる、窒息、一酸化炭素中毒などによる酸欠
- 髄膜炎や脳炎などの感染症
- 脳腫瘍や脳の手術に関連して起こる損傷
リスク要因
- 高齢による転倒のリスク
- 胸や首に影響する持病(高血圧、糖尿病など)による脳卒中のリスク
- 飲酒を大量にする・酔って転ぶ
- 自転車やバイクに乗る時にヘルメットをしない
- 抗凝固薬や抗血小板薬を飲んでいる(出血しやすい)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 救急の症状(意識がない、けいれん、片まひなど)が出た時は、すぐ119番
- 頭を打った後、ひどい頭痛や繰り返す吐き気
- 言葉がおかしい、目がよく見えない
定期受診を予約すべき場合:
- 頭を打ってから数日たっても頭痛やめまいが続く
- 忘れっぽい、注意が続かないなど、以前と違う感じがある
- 家族や学校・職場で「いつもと違う」と言われることが続く
- 高齢の人が転んで頭を打ってから元気がない
診断
医師は事故や病気の経緯を聞き取り、意識や手足の動き、反射、感覚などを神経学的に診察します。必要に応じて画像検査を行い、脳の損傷の有無や場所を確認します。
行われる可能性のある検査
- 頭部CT(コンピューター断層撮影)
- 頭部MRI(磁気共鳴画像)
- 神経心理検査(記憶・注意・思考のテスト)
- 一般的な血液検査
診察で予想されること
診察は数十分ほどで、症状に応じて「このまま自宅で安静にする」「しばらく経過をみるために入院する」などが決まります。必要があれば、専門のリハビリチームにつなぎます。
治療
治療は、原因の治療と、損傷後に残る症状へのリハビリを合わせて行います。損傷した時期や程度によって、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などがチームで支援します。
自宅でのセルフケア
- 脳はとてもエネルギーを使うので、休むことを最優先にする
- スマートフォンやテレビなどの刺激を減らす
- 短い時間の作業と休息を繰り返す
- 飲酒や喫煙は控える
- 医師に相談せずに市販薬をのまない
医療治療
頭痛・吐き気・認知機能の症状などに対して、症状を和らげるための薬が使われることがあります(薬の名前や用量は医療機関で医師に相談してください)。また、理学療法(からだの動き)、作業療法(日常生活の動作)、言語療法(話す・聞く)、認知リハビリテーション(記憶や注意の訓練)、心理カウンセリングなどを組み合わせます。
手術が検討される場合
脳の中に血のかたまり(血腫)がたまり、脳を圧迫している場合には、緊急手術で血腫を取り除くことがあります。頭部のけがや脳卒中で必要なことがあるため、医師から詳しい説明があります。
この病気と共に生きる
人は「昨日の自分」と比べて変わったと感じることがあります。1日の予定を紙に書く、スマートフォンのタイマーを使うなど、工夫を増やしながら無理のない生活ペースをつくりましょう。
生活習慣のアドバイス
- 決まった時間に寝起きし、睡眠を十分に取る
- 休憩時間をあらかじめ決めておく
- 複数のことを同時にやらず、ひとつずつ進める
- 家族や職場の人に症状を伝え、理解を得る
- 運転や高い場所での作業は医師に確認する
食事と運動
塩分をとりすぎない、バランスのよい食事で血圧や血糖を安定させることが大切です。体調が落ち着いたら、医師の許可があれば軽い散歩やストレッチで体力を維持しましょう。
精神的健康と心の健康
気分が沈む、イライラしやすくなる、涙もろくなるなど、心の変化が起きることがあります。これは「自分が弱いから」ではなく、脳の損傷による症状のひとつです。一人で抱え込まず、医師や看護師、学校・職場の保健師に相談しましょう。心理的な支援が必要なときは、精神保健福祉士や臨床心理士が対応します。
予防
完全に防ぐことは難しいですが、以下の工夫でリスクを減らせます。ヘルメットを着用する、手すりを使う、高血圧や糖尿病の管理を続ける、転倒リスクを下げる。
ワクチン
感染性の脳炎・髄膜炎を一部の予防接種で防げる場合があります。接種については、かかりつけ医や保健所に相談してください。
検診プログラム
職場や自治体の健康診断を受けることで、高血圧や脂質異常などの脳卒中リスクに早めに気づけます。
合併症
治療しない場合
- 頭痛やめまいが長引く
- 記憶の障害や認知機能の低下が生活に影響する
- てんかん発作が新たに起こることがある
- 抑うつや不安が強くなることがある
- 集中力の低下などにより仕事や学業が続けにくくなる
長期的な見通し
脳はとてもしなやかで、時間をかけて別の神経回路が働きをカバーすることができます。軽症では数週間から数か月で日常生活に戻れることも多く、重度でも一人ひとりのペースに合わせたリハビリでできることが増えていきます。希望を持ちながら、焦らずに前に進んでください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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