急性胆のう炎(きゅうせい たんのうえん)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
急性胆のう炎は、胆のう(肝臓で作られた胆汁をためておく袋のような臓器)が急に炎症を起こす病気です。多くは胆石が胆のうの出口をふさぐことで起こります。炎症が進むと、痛みや熱が出るほか、放置すると危険な状態になることもあります。
重要な事実
- 胆のうは、消化を助ける胆汁をためて濃縮する臓器です。
- 急性胆のう炎の約9割は胆石が原因とされています。
- 適切な治療を行えば多くの人は良くなりますが、重症化すると緊急の対応が必要になることもあります。
急性胆のう炎は、それほど珍しい病気ではありません。胆石を持つ人のうち、一生のうちに急性胆のう炎を起こすのは1~3%程度とされています。
どの年代の人にも起こり得ますが、40歳以降の女性に多く見られます。また、肥満や糖尿病、急な体重減少がある人、妊娠中の方もリスクが高くなります。
症状
- 突然の激しい腹痛で、じっとしていられない
- 腹部全体が硬く、触れると強い痛みがある
- 意識がもうろうとする、または反応が鈍い
- 吐き気や嘔吐が続き、水分も取れない
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が出た
- ⚠右上腹部の痛みが数時間以上続く
- ⚠発熱とともに腹痛がある
- ⚠痛みで眠れない、日常生活に支障が出る
- ⚠吐き気や嘔吐があるが、吐いた後も痛みが続く
一般的な症状
- みぞおちや右上腹部(右わき腹の下)の急な強い痛み
- 痛みが右肩や背中に広がることがある
- 吐き気や嘔吐(おうと)
- 発熱(37~38度以上の熱)
- 食欲がない
- 腹部を押さえると痛む
子供の症状
- 子どもでは、腹痛の場所をうまく説明できないことがある
- 機嫌が悪い、ぐったりする、食べたがらないなどの症状が目立つことがある
- 吐き気や嘔吐が多く見られる
高齢者の症状
- 高齢者では痛みをあまり感じず、ぼんやりする、元気がない、混乱するといった症状だけの場合がある
- 熱があまり上がらないこともある
- 認知症の方は、不機嫌になる、食事を拒むなどの変化で気づかれることがある
原因
主な原因
- 胆石(胆汁の中の成分が固まったもの)が胆のうの出口をふさぐこと
- 胆のうの出口が狭くなること
- 感染症(細菌などが胆のうに入り込むこと)
- 手術やけが、重症の病気などによって血流が悪くなること(まれ)
リスク要因
- 胆石を持っている
- 女性である
- 40歳以上である
- 急速な体重減少(ダイエットなど)
- 胆のうや胆管の病気の家族歴
- 長期の点滴(中心静脈栄養)を受けている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 右上腹部やみぞおちの痛みが続く、または強くなる
- 発熱を伴う腹痛がある
- 吐き気や嘔吐が続いて水分が取れない
- 皮膚や白目が黄色くなった
- 症状が悪化している感じがある
定期受診を予約すべき場合:
- 食後に軽い腹痛や違和感を繰り返す
- 過去に胆石と言われたことがあるが、今回症状がある
- 腹痛はすぐ治まるが、心配なので一度受診したい
診断
医師は、あなたの症状を聞き、おなかを触って診察したうえで、血液検査や画像検査を行って診断します。痛みの場所や具合、発熱の有無などが重要な手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症の程度や肝臓・胆のうの状態を調べます)
- 腹部エコー(超音波)検査(胆のうの腫れや胆石の有無を確認します)
- CT検査(詳しい画像で炎症の広がりを調べることもあります)
- MRIやMRCP検査(胆のうや胆管の状態を詳しく見る場合があります)
診察で予想されること
受診すると、問診と触診のあと、血液検査やエコー検査を行うのが一般的です。検査は痛みを伴うものもありますが、数分から30分程度で終わります。結果によっては、そのまま入院や緊急の処置が必要になることもあります。
治療
治療の基本は、絶食(食事を一時的に止める)と輸液(点滴)で胆のうを休ませること、そして炎症を抑える治療を行うことです。多くの場合入院での管理が必要です。
自宅でのセルフケア
- 医療機関の指示があるまでは、食事や水分を控える
- 痛みが強いときは無理に動かず、楽な姿勢で安静にする
- 自己判断で痛み止めや解熱剤を使わない(診断を遅らせる原因になります)
- 急に症状が出た場合は、すぐに医療機関へ連絡する
医療治療
炎症を抑える薬や、必要に応じて抗菌薬(細菌を抑える薬)を点滴や内服で使用します。胆のうの炎症が強い場合や合併症がある場合は、胆のうに溜まった胆汁を体外に出す処置(ドレナージ)を行うこともあります。治療法は病気の重症度やあなたの状態に合わせて医師が選択します。
手術が検討される場合
炎症が落ち着いた後に、胆のうを摘出する手術(胆のう摘出術)が検討されることがあります。理由は、胆石を原因とする急性胆のう炎は再発しやすいためです。手術は多くの場合、腹腔鏡(おなかに小さな穴をあけて行う方法)で行われ、入院期間も短くなっています。ただし、高齢の方や重症の方は、すぐに手術をしないで薬で様子を見ることもあります。
この病気と共に生きる
治療後は、多くの人が以前と変わらない生活に戻れます。退院後は、かかりつけ医の指示に従い、体調に異変があればすぐに連絡してください。手術を行った場合は、傷の状態や運動の制限について医師の指示に従いましょう。
生活習慣のアドバイス
- ゆっくりと食事をし、一度にたくさん食べ過ぎない
- 高脂肪の食事(揚げ物、脂身の多い肉、バターなど)を控える
- 暴飲暴食や急なダイエットを避ける
- 適度な運動を続ける
- 肥満があれば、ゆっくりと体重を減らす
食事と運動
膵臓や消化に負担をかけないよう、脂肪の多い食事を控え、野菜や魚、豆腐などバランスの良い食事を心がけましょう。運動はウォーキングなど軽いものを、無理のない範囲で続けることが大切です。食事や運動については、医師や管理栄養士に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
急な腹痛や入院は、不安やストレスになることがあります。また、再発の心配で食事が楽しめなくなる人もいます。そうした気持ちは自然なことです。気になる場合は、遠慮せずに医師や看護師、家族に話してみてください。
予防
完全に予防する方法はありませんが、胆石のリスクを減らすことで急性胆のう炎の発生リスクを下げられる可能性があります。バランスの良い食事、適正体重の維持、急なダイエットを避けることなどが大切です。胆石と診断されている場合は、定期的に医師の診察を受けてください。
合併症
治療しない場合
- 胆のうが破れる(穿孔)
- 炎症が周囲に広がる(腹膜炎)
- 胆管や膵臓に炎症が広がる(胆管炎、膵炎)
- 胆のうに膿がたまる(蓄膿症)
- 血液に細菌が入る(敗血症)
長期的な見通し
急性胆のう炎は、早く適切な治療を受ければ、ほとんどの人が回復します。入院が必要になることが多いですが、命に関わることはまれです。治療後は、再発を防ぐための生活習慣や、必要に応じた手術について医師と相談しながら、安心して日常生活を送ることができます。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月2日
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