急性腎障害(AKI)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
急性腎障害(AKI)は、腎臓の働きが急に低下してしまう状態です。腎臓は体の中の余分な水分や老廃物をろ過して尿として外に出す役割がありますが、その働きが数時間から数日の間に悪くなります。早期に適切な治療を受ければ回復する可能性が高いですが、場合によっては長く続く腎臓の障害が残ることもあります。
重要な事実
- 腎臓の働きが急に落ちることで、老廃物や水分が体にたまってしまいます。
- 早期に見つけて原因を治療すれば、多くの場合で腎臓の機能は回復します。
- 症状がはっきりしないことも多いため、注意が必要です。
急性腎障害は、入院中の患者さんや高齢の方、持病がある方では珍しくない病気です。日本では年間に多くの方が発症すると言われています。
誰でも発症する可能性がありますが、高齢の方、糖尿病や高血圧などの持病がある方、心不全や肝臓の病気がある方、腎臓の病気を過去にしたことがある方は特にリスクが高くなります。また、脱水や感染症、薬の影響もきっかけになります。
症状
- 1日中おしっこが全く出ない
- 激しい息苦しさ、呼吸が苦しい
- 胸の痛みや圧迫感がある
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- けいれん(ひきつけ)を起こしている
- ⚠足や顔のむくみが急にひどくなった
- ⚠吐き気が続いて水分をとれない
- ⚠息苦しさを感じ始めた
- ⚠いつもと違う強い疲れやだるさがある
- ⚠尿の量がかなり減ったと感じる
一般的な症状
- 尿の量が減る(特に気づかないこともあります)
- 体がむくむ(特に足首やまぶた)
- 疲れやすい、だるい
- 息苦しさ
- 吐き気や食欲がない
- 意識がぼんやりする、混乱する
子供の症状
- おしっこの量が普段より少ない、またはおむつが濡れない
- ぐったりしている、機嫌が悪い
- 吐いたり、下痢が続いたりして脱水を疑う
- 顔や手足がむくむ
高齢者の症状
- いつもよりぼんやりしている、認知症のような症状が急に出る
- 尿の量が減る、または色が濃くなる
- 食欲がなくなる、動きが少なくなる
- めまいや立ちくらみ(脱水が原因の場合)
原因
主な原因
- 腎臓に流れる血液が不足する(重度の脱水、出血、心不全など)
- 腎臓そのものが傷つく(薬の影響、感染症、造影剤など)
- 尿の通り道が詰まる(前立腺肥大、結石などで尿が排出されない)
リスク要因
- 高齢である
- 糖尿病、高血圧、心臓病、肝臓病などの持病がある
- 腎臓の機能がもともと弱っている
- 脱水になりやすい状態(下痢、発熱、利尿薬の使用など)
- 炎症鎮痛薬など特定の薬を長期間使っている
- 最近、手術や大きなけがをした
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿が出ない、または極端に量が少ない
- 息苦しさ、意識の変化、けいれんなどの緊急症状がある場合はすぐに救急車(119番)を呼んでください
- むくみやだるさが急に悪化している
定期受診を予約すべき場合:
- むくみや疲れが続く
- 吐き気や食欲不振が続く
- 腎臓の病気や持病(糖尿病、高血圧など)があり、体調の変化を感じる
- 尿の色や量がいつもと違う
診断
医師は問診と身体診察を行い、血液検査と尿検査で腎臓の働きを確認します。腎臓のろ過機能を示す「eGFR」という値を用いて、急に数値が下がっていないかを調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(クレアチニン、eGFRなどの腎機能の指標)
- 尿検査(タンパク尿や血尿の有無)
- 超音波検査(腎臓の大きさや尿路のつまりがないかを確認)
診察で予想されること
医師が診察し、必要に応じて血液・尿検査を行います。検査結果をもとに、急性腎障害の原因を調べます。症状や状態によっては、その後の治療のために入院が必要になることもあります。
治療
治療の目的は、腎臓の働きを回復させることです。原因を取り除くこと、水分と電解質のバランスを整えること、腎臓に負担をかける薬を調整することが中心になります。治療は病状に応じて、外来でも入院でも行われます。
自宅でのセルフケア
- 脱水を防ぐために、医師に指示された量で水分をとる(心臓や腎臓の状態によっては水分制限が必要な場合もあるため、指示に従う)
- 自己判断で薬(特に痛み止めや風邪薬)をのまない
- お酒を控える
- 体調の変化をメモしておく(尿の量、体重、むくみなど)
医療治療
治療は原因によって異なります。脱水や血液の不足が原因の場合は、点滴で水分を補います。薬が原因の場合は、その薬を中止・調整します。感染症が原因の場合は、抗生物質などの治療が行われます。腎臓の機能が大きく低下している場合は、一時的に透析(人工的に血液をきれいにする治療)が必要になることもあります。具体的な治療法は必ず医師と相談してください。
手術が検討される場合
尿の通り道が結石や腫瘍などで詰まっている場合は、詰まりを取る処置や手術が必要になることがあります。この場合も泌尿器科の医師が適切な治療を説明してくれます。
この病気と共に生きる
急性腎障害からの回復中は、腎臓に負担をかけない生活を心がけましょう。医師の指示を守り、定期的に検査を受けることが大切です。疲れやむくみがある間は無理をせず、十分に休んでください。
生活習慣のアドバイス
- かかりつけ医の指示に従って、定期的に腎機能の検査を受ける
- 市販薬をのむときは、まず医師や薬剤師に相談する
- 脱水を防ぐために、特に暑い日や体調不良時は水分補給を意識する
- お酒は控えめにし、禁煙に取り組む
- 血圧や血糖値の管理をしっかり行う(持病がある場合)
食事と運動
食事は、腎臓の状態に合わせて塩分やタンパク質、カリウムの調整が必要になることがあります。自己判断で食事制限をするのではなく、医師や管理栄養士の指示を聞いてください。運動はリハビリを兼ねて、医師に相談しながら無理のない範囲で行います。
精神的健康と心の健康
急に腎臓の機能が落ちると、不安や心配になるのは自然なことです。治療が続く間は気分が落ち込むこともあります。そうした気持ちは決して一人で抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに話してください。必要に応じて、心理的なサポートを受けることもできます。
予防
完全に防ぐことは難しい場合もありますが、リスクを減らすことはできます。特に、脱水や感染症に注意し、腎臓に負担をかける薬をむやみに使わないことが大切です。持病がある方は、日常的に血圧や血糖の管理を行い、医師の指導に従って体調を整えてください。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症は、急性腎障害のきっかけとなることがあります。予防接種を受けることは、感染症を防ぎ、腎臓を守ることにつながります。予防接種について不明な点があれば、医師や薬剤師に相談してください。
検診プログラム
腎機能を調べるには、健康診断の血液検査や尿検査が役立ちます。特に持病のある方は、定期的に検査を受け、数値の変化に注意しましょう。
合併症
治療しない場合
- 腎臓の機能が回復せず、慢性腎臓病に移行する
- 体内の水分や老廃物が増え、むくみや息苦しさが悪化する
- 高カリウム血症(カリウムが過剰になり、不整脈を起こすことがある)
- 心不全や肺水腫など、心臓や呼吸に深刻な影響を及ぼす
- 全身のけいれんや意識障害が起こる
長期的な見通し
急性腎障害は、早期に原因を取り除き適切な治療を受ければ、多くの方で腎臓の機能は回復します。ただし、高齢の方や持病がある方は、完治までに時間がかかることもあります。たとえ数値が戻らなくても、慢性腎臓病として適切に管理すれば、長く安定した生活を送ることができます。希望を持って治療に励み、医師と一緒に健康状態をみていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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