癒着(ゆちゃく)とは? 症状・原因・治療のポイント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
癒着(ゆちゃく)とは、体の中の臓器と臓器が、ふつうは離れているのに、傷を治すときにできる硬い組織がつなげてしまう状態です。多くはおなかや骨盤の手術のあとに起こります。癒着があっても症状が出ないこともありますが、痛みや腸の働きの問題を引き起こすこともあります。
重要な事実
- 癒着は、手術や炎症で傷ついた場所を修復する過程でできます。
- 多くの人は症状がなく、治療の必要もありません。
- おなかの癒着は、腸のつまり(腸閉塞)を起こすことがあります。
- 癒着はがんとは違い、悪性の病気ではありません。
おなかや骨盤の手術を受けた人の多くに癒着ができるといわれています。ただし、症状が現れて治療が必要になるのは一部の人です。
過去に腹部または骨盤の手術を受けた人、腹膜炎(おなかの中の炎症)になった人、子宮内膜症(子宮の内側にできる組織が子宮の外でも増える病気)などがある人に多く見られます。手術や炎症の経験があれば、子どもから高齢者まで誰にでも起こりえます。
症状
- 次の症状が1つでもある場合は、ためらわずに119番で救急車を呼んでください。
- 突然の激しい腹痛がある
- 吐き続けて水分が摂れない
- おなかが強く張り、便やガスがまったく出ない
- 強い腹痛に加えて発熱がある
- ⚠数日続く腹痛がだんだん強くなっている
- ⚠吐き気やおなかの張りが続き、食事がとれない
- ⚠便通が急に変わり、痛みが伴う
一般的な症状
- 腹痛(針で刺すような痛みや、重だるい痛みが続く)
- 吐き気や嘔吐
- おなかの張り(きばってないのにパンパンした感じ)
- 便通の変化(便秘や下痢)
- 骨盤の癒着では、性交痛や腰の痛みを感じることがあります。
原因
主な原因
- 手術による傷(最も多い原因です)
- 腹膜炎(おなかの内側を覆う膜に炎症が起こること)
- 子宮内膜症などの病気
- 腹部や骨盤のけが
リスク要因
- 腹部または骨盤の手術を受けたことがある
- 腹膜や腸に炎症を起こしたことがある
- 子宮内膜症がある
- 手術のあとに出血や感染があった
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛が続いている
- 吐き続けて水分や食事がとれない
- おなかが張り、便やガスがまったく出ない
定期受診を予約すべき場合:
- 長く続く腹痛やおなかの張りがある
- 手術後に新しい症状が出た
- 便通の変化や吐き気が続く
診断
癒着は、血液検査や画像検査ではっきりと映るわけではありません。医師はまず、手術の経験やこれまでの病気の経過をくわしく聞き、おなかを診察します。必要に応じて、CTや超音波(エコー)検査などを行い、腸の状態やほかの病気がないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 病歴の聴取(手術歴や炎症の既往)
- 腹部の診察(触診・聴診)
- 血液検査(炎症や脱水のチェック)
- CT(コンピューター断層撮影)
- 超音波(エコー)検査
- 腹腔鏡検査(おなかに小さな穴をあけてカメラで中を見る検査)
診察で予想されること
外来で行える検査がほとんどです。CTや超音波の検査では、食事制限が指示されることもあります。検査結果は数時間から数日でわかります。医師は症状の説明とともに、今後の方針を一緒に考えてくれます。
治療
癒着があっても症状がなければ、特別な治療は必要ありません。症状がある場合も、まずは薬や生活の工夫で様子を見ます。腸閉塞を起こしている場合や、痛みが日常生活に影響する場合は、入院や手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 毎日少しずつ体を動かす(痛みが強いときは休む)
- 食事は一度に食べず、数回に分けてゆっくり噛んで食べる
- 水分を十分に取り、便秘を防ぐ
- おなかを温めてリラックスする
- 痛みが続くときは無理をしない
医療治療
痛みに対しては、医師が症状に合った薬を処方することがあります。ただし、薬で癒着が消えるわけではありません。腸が詰まっている場合は、食事を止めて点滴で水分を補い、鼻から細い管を入れて胃や腸にたまったものを外に出す処置を行うことがあります。
手術が検討される場合
腸閉塞が持続する場合や、強い痛みや不妊などで生活に支障がある場合は、癒着をはがす手術(癒着剥離術)が検討されます。最近は腹腔鏡を使って体の負担を減らすこともありますが、手術後には再び癒着ができることもあります。手術をするかどうかは、症状の重さや全身の状態を考え、医師と十分に話し合って決めます。
この病気と共に生きる
癒着と暮らすときは、自分の症状のきっかけを知ることが大切です。たとえば、どんな動きや食事のあとに痛みが出るかを把握し、その場面を避けられるようにしましょう。調子が悪い日は「そういう日もある」と気楽にとらえることも大事です。
生活習慣のアドバイス
- おなかを冷やさない(腹巻やカイロなど)
- ストレスをためない(好きなことや気分転換を取り入れる)
- 禁煙を心がける
- 十分な睡眠と休息をとる
食事と運動
便秘が続くと腹部の圧が高まり、症状が悪化することがあります。水分を多めに取り、食物繊維は急に増やさず少しずつ摂取してください。脂っこい食事や炭酸飲料はおなかの張りを強くするため注意しましょう。運動はウォーキングなど軽いものを続けるのがおすすめです。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや体調の変化が続くと、気分が落ち込んだり不安になるのは自然なことです。つらいときは我慢せず、家族や友人に気持ちを話しましょう。それでも苦しい場合は、医療機関で心理的なサポートを受けられることもあります。
予防
癒着を完全に予防する方法はありません。しかし、手術の際には医師が工夫して癒着ができるリスクを減らす取り組みが進められています。手術を受けるときは、あらかじめ癒着のリスクや手術後の注意点を医師に確認しておくと安心です。
ワクチン
癒着を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
癒着を早期に見つけるための特別な検診はありません。手術後は定期的に体調をチェックし、気になる症状があれば早めに受診してください。
合併症
治療しない場合
- 腸閉塞(癒着が腸を押しつぶすようにして、便やガスが通らなくなる状態)
- 骨盤の癒着が原因で妊娠しにくくなることがある
- 慢性的な腹痛や不快感が続く
長期的な見通し
多くの人は、癒着があっても特別な治療をせずに日常生活を送れます。症状がある場合も、薬や生活管理、必要に応じて手術により改善が期待できます。再発の可能性はありますが、医療者と相談しながら無理なく付き合っていける病気です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。