アルコール離脱症状(アルコールをやめるときの体の変化)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
アルコール離脱症状とは、長い間たくさんのお酒を飲み続けた人が、飲酒を急に減らしたりやめたりしたときに現れる、心と体の反応のことです。お酒に慣れた脳が急にお酒をもらえなくなることで、体のバランスが崩れて起こります。
重要な事実
- 離脱症状は、飲酒をやめてから数時間から数日以内に現れることが多いです。
- 症状は、軽い不安や手のふるえから、けいれんや意識の混乱など重いものまでさまざまです。
- 重い症状は命に関わることがあるため、一人でやめようとせず、医療機関に相談することが大切です。
長期間にわたって大量の飲酒を続けていた人が飲酒をやめると、少なくとも軽い離脱症状は多くの人に起こるとされています。特にアルコール依存症の治療を受ける場面では、よく見られる状態です。
長年(数年単位で)毎日のように大量のお酒を飲んでいる人が、飲酒を急に減らしたりやめたりしたときに起こりやすくなります。男性・女性、年齢を問わず、アルコール依存症のある人にみられます。
症状
- 意識を失う(呼びかけに反応しない)
- 全身がけいれんする(ひきつけを起こす)
- 幻覚が見える(実際にはないものが見える)
- ひどく混乱して話が通じない
- 体温が38度以上と高い
- 激しい動悸や呼吸の乱れがある
- ⚠手のふるえが強く、日常生活が難しい
- ⚠吐き気や嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠強い不安や落ち着かなさで眠れない
- ⚠気分がひどく落ち込む
- ⚠飲酒をやめようとしているが、体調が悪い
一般的な症状
- 手や体がふるえる
- 不安で落ち着かない
- たくさん汗をかく
- 吐き気や嘔吐
- 眠れない
- 心臓がドキドキする
- 食欲がない
原因
主な原因
- 長期間にわたって多量のアルコールを飲み続けると、脳がアルコールに慣れてしまいます。そこで、飲酒を急にやめたり量を急に減らしたりすると、脳のバランスが崩れて離脱症状が起こります。
リスク要因
- 長年(数年以上)にわたって毎日飲酒する習慣がある
- 飲酒量が多い(例:1日あたり日本酒3合以上)
- 過去に離脱症状やけいれんを経験したことがある
- 肝臓病や心臓病、うつ病などほかの病気を抱えている
- 栄養状態が悪い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けいれんや幻覚など緊急症状がある場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 38度以上の発熱、意識がおかしい、自分で動けないなどの症状がある場合は、救急外来を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 飲酒をやめたい、または減らしたいと考えているが、一人では不安がある場合は、かかりつけ医に相談してください。
- 眠れない、不安が続く、ふるえがおさまらないなど、日常生活に支障がある場合は受診してください。
診断
医師が、飲酒の量や期間、最近の飲酒状況、いまの症状について質問します。また、ほかの病気が隠れていないかを確認するために、診察や血液検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 飲酒に関する問診(量・期間・飲酒をやめた時期など)
- バイタル測定(血圧・脈拍・体温など)
- 血液検査(肝臓の働きや栄養状態など)
診察で予想されること
診察では、飲酒量や期間を正直に伝えることが大切です。症状によっては、入院での治療をすすめられることもあります。医師はあなたを責めるのではなく、安全に離脱症状を乗り越えるためのサポートをしようとしています。
治療
アルコール離脱症状の治療は、体の状態を安定させながら、安全に症状を乗り越えることを目指します。症状が重い場合は、入院して医師や看護師の見守りのもとで治療を行うのが一般的です。
自宅でのセルフケア
- 一人でいきなり飲酒をやめるのは危険です。必ず医師や専門家に相談してください。
- 食欲がなくても、水分は少しずつこまめにとるようにしてください。
- 体を休め、睡眠をしっかりとるようにしてください。
- カフェインをとりすぎないようにしてください。
- 症状が強くなったら、我慢せずに医療機関へ連絡してください。
医療治療
治療は医師の管理のもとで行われます。離脱症状をやわらげるための薬が使われることがありますが、薬の名前や用量は医師が決めるため、ここでは示しません。また、ビタミンB1(チアミン)の補給や、脱水を防ぐ点滴などの治療も行われます。アルコール依存症が背景にある場合は、専門のプログラムやカウンセリング、飲酒を続けたい気持ちを抑えるための薬を使った治療などの選択肢もあります。実際の治療法は必ず医師の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
離脱症状は通常、飲酒をやめてから2〜3日以内にピークを迎え、1〜2週間ほどでおさまっていきます。しかし、不安や不眠、気分の落ち込みなどは数週間続くこともあります。焦らず、自分のペースで過ごしましょう。飲酒したいという誘惑が強い場合は、その気持ちを一人で抱え込まず、医師や相談機関、信頼できる人に話すことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 飲酒を続けている人は、医師と相談しながら安全な方法で飲酒量を減らしていく
- 散歩、読書、音楽など、アルコール以外の楽しみを見つける
- 毎日同じ時間に起きるなど、規則正しい睡眠を心がける
- 飲酒をすすめられる場を避けるか、ノンアルコール飲料を選ぶ
食事と運動
バランスのよい食事を心がけると、栄養不足を改善し、体の回復を助けます。特に野菜や果物、たんぱく質を意識してとりましょう。無理のない範囲でウォーキングなどの軽い運動を取り入れると、気分の安定や睡眠の改善に役立ちます。ただし、体調がすぐれないときは無理をしないでください。
精神的健康と心の健康
アルコール離脱症状のあいだは、不安やイライラ、気分の落ち込みなど心の状態が不安定になりやすいです。これは自然な反応です。自分を責めず、ゆっくり休むことが大切です。気分の落ち込みが続く場合は、精神科医やカウンセラーに相談してください。つらい気持ちがあるときは、我慢せずに助けを求めてください。
予防
アルコール離脱症状そのものを予防するには、長期間にわたって大量の飲酒を続けないことが大切です。飲酒量が増えてきたと感じたら、早めに医師に相談しましょう。すでに離脱症状が起こったことがある人は、医師の指導のもとで飲酒を減らすことが予防につながります。お酒の量は、厚生労働省が示す適度な飲酒量(1日あたり日本酒1合程度が目安)も参考になりますが、体質や持病によって異なるため、医師に確認しましょう。
合併症
治療しない場合
- 重い離脱症状として、けいれんや幻覚、錯乱が起こることがある
- せん妄(急に混乱し、幻覚や興奮が現れる状態)を発症することがある
- 心臓や血圧に負担がかかり、不整脈や心不全のリスクが高まることがある
- 脱水や栄養不足が悪化する
- 歩行が不安定になり、転倒やけがのリスクが高まる
長期的な見通し
アルコール離脱症状は、適切な医療を受ければ、ほとんどが1〜2週間ほどでおさまります。重い症状があっても、入院治療により安全に乗り越えることができます。その後も、飲酒との向き合い方を見直し、支援を受けながら回復していくことが可能です。依存症は治療できる病気です。あきらめずに、専門家のサポートを受けながら一歩ずつ進んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
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