股関節置換術に代わる選択肢
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
股関節置換術は、傷んだ股関節の表面を取り替え、人工の関節にする手術です。この手術は、薬や運動といった手術以外の治療を十分試しても痛みや動きの不自由が続くときに行われることが多い治療法です。ここでは、手術をせずに股関節の痛みや働きに向き合う方法を解説します。
重要な事実
- 股関節の痛みは変形性関節症などが主な原因で、手術以外でも多くの対策が可能です。
- 運動療法や生活習慣の見直しは、痛みを和らげ、関節の動きを保つ助けになります。
- 手術を選ぶかどうかは、痛みの程度や生活への影響、全身の健康状態を踏まえて、専門医と相談して決められます。
股関節の痛みは、中高年を中心に多くの人が経験する症状です。しかし、痛みがあれば必ず手術が必要になるわけではなく、保存的治療(手術以外の治療)が役立つ場合も少なくありません。
加齢による関節の摩耗で起こる変形性股関節症の方、関節に負担をかける仕事やスポーツをしている方、体重が気になる方などに多い症状です。特に60歳以上の女性に多くみられます。
症状
- 急に強い痛みで脚が動かせない
- 股関節の激しい痛みとともに発熱や悪寒がある
- 脚が冷たい・感覚がない・色が変わっている(血流が止まっている可能性)
- 転倒などのケガのあと、脚を少しでも動かすと激痛が走る
- ⚠今までより痛みが強くなり、痛み止めを飲んでも効かない
- ⚠痛みで夜も眠れない、または歩くことができない状態が続く
- ⚠治療中なのに症状が悪化している
一般的な症状
- 股関節や太ももの前・横に感じる痛み
- 朝起きたときのこわばりや、動作を始めるときの違和感
- 歩く・階段を上る・しゃがむなどの動きで痛む
- 脚の付け根が痛くて、しばらく歩くと楽になるような感覚
子供の症状
- 子どもが股関節の痛みを訴え、足をかばって歩く
- 急に痛がって足を動かさない、発熱がある
- 左右の脚の長さが違って見える
高齢者の症状
- 立ち上がる・座る動作に時間がかかる、痛みで動作が遅くなる
- 夜間や安静にしていても痛むことがある
- 転びやすくなった、歩幅が小さくなったという変化
原因
主な原因
- 変形性関節症(関節の軟骨がすり減ることで起こる)
- 大腿骨頭壊死(骨に血液が行かなくなり、骨が壊れてしまう)
- 関節リウマチなどの炎症性の病気
- けがや骨折の後遺症
リスク要因
- 家族に股関節の病気をしている人がいる
- 過度の体重や肥満
- スポーツや仕事で股関節に負担がかかり続ける
- 骨粗鬆症(骨がもろくなる状態)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脚を動かせない、激痛がある、発熱がある
- 転倒・事故のあとに股関節や脚の痛みが強い
定期受診を予約すべき場合:
- 1か月以上、股関節の痛みや違和感が続く
- 日常生活(歩く・立ち上がる・靴下を履くなど)に支障が出ている
- 市販の対症療法では改善しない
診断
医師は、痛みの場所・程度・経過を詳しく聞き、関節の動きや脚の長さ、歩き方などを確認します。そのうえで画像検査を行い、股関節の状態を評価して、手術以外の治療が可能かどうかを判断します。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(骨の形や関節のすき間を確認)
- MRI検査(軟骨や骨の血液状態を詳しく確認)
- 超音波検査(関節の体液や周りの組織を確認)
- 血液検査(炎症やリウマチなどを確認する場合がある)
診察で予想されること
診察では、痛みを和らげる方法や運動のすすめ方など、あなたの生活に合わせた治療の計画を一緒に立てます。時間はかかりますが、無理のない範囲で進めていくことが大切です。
治療
股関節の痛みへの治療は、薬・運動・生活習慣の調整といった『手術以外の方法』をまず行い、それでも効果が不十分な場合に手術が検討されます。厚生労働省の健康づくりの指針でも、関節の痛みには運動や体重管理が重要とされています。あなたの症状や体の状態に合わせて、医師が選択肢を提案してくれます。
自宅でのセルフケア
- 関節に負担をかけないようにする(体重管理、立ち仕事や正座を避けるなど)
- 痛みが強い日は無理せず安静にし、楽な姿勢を探す
- 冷湿布や温める方法を使い分ける(急性の痛みは冷やす、慢性のこわばりは温めるなど)
- 杖や手すりを使って関節への負担を減らす
医療治療
痛みや炎症をやわらげる外用薬や内服薬が使われることがあります。また、運動療法(筋力強化やストレッチ)、理学療法、装具療法などの保存的治療があります。痛みの強さや状態に応じて、医師が薬や治療の内容を調整します。具体的な薬剤名は医師・薬剤師に確認してください。
手術が検討される場合
股関節の痛みが強く、歩行や日常生活に大きな支障がある場合、また保存的治療を十分に行っても改善しない場合に、手術が選択されることがあります。手術の適応は、年齢や全身状態、骨の状態を考慮して専門医が判断します。
この病気と共に生きる
痛みの出にくい動き方や姿勢を意識し、毎日の生活のなかで関節をいたわりながら動くことが大切です。痛みを感じたら休み、調子のよいときは適度に体を動かす、メリハリのある生活を心がけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 無理のない範囲で毎日続けられる運動を見つける(水中歩行、自転車こぎなど)
- 正しい姿勢を意識し、長時間の同じ姿勢や座り続けを避ける
- 睡眠や休養を十分にとり、疲れをためこまない
食事と運動
骨や筋肉の健康を保つために、カルシウムやビタミンDを含む食品(牛乳・小魚・しいたけなど)や良質なたんぱく質をバランスよくとりましょう。運動は、関節への負担が少ない水中運動や、椅子に座って動かすストレッチがおすすめです。
精神的健康と心の健康
痛みが続くと気分が沈んだり、イライラしたりすることがありますが、これは自然な感情です。つらいときは我慢せず、家族や医療者に話してみましょう。不安が強い場合は、心の健康の専門家に相談する方法もあります。
予防
股関節の痛みの原因によりますが、体重を適正に保ち、太ももやおしりの筋肉を強化することで、関節への負担を減らしやすくなります。また、無理な姿勢や動作を避けることも予防に役立ちます。すでに痛みがある場合でも、適切な対処で進行を遅らせることができます。
合併症
治療しない場合
- 痛みのために脚を動かさず、筋力が落ちてしまう
- 歩行が不安定になり、転倒のリスクが高まる
- 関節の動きが制限され、しゃがむ・立つなどの動作が難しくなる
長期的な見通し
股関節の痛みは、多くの場合、痛みへの上手な対処と体をいたわることで、手術をせずに日常生活を続けられます。仮に手術がすすめられる場合でも、時期や方法をしっかり選べば、安全で確実な治療につなげられます。あせらず、専門家と一緒に進めていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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