動脈瘤(どうみゃくりゅう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
動脈瘤とは、血管の壁が弱くなり、風船のように一部が膨らんでできる「こぶ」のことです。動脈は心臓から送り出される血液が通る管で、その壁にできた膨らみを動脈瘤と呼びます。多くは脳やおなかの大動脈にできます。
重要な事実
- 多くの動脈瘤は破裂するまで症状がありません。
- 破裂すると命に関わることがあるため、早期発見・早期対応が大切です。
- すべての動脈瘤がすぐに治療が必要なわけではなく、経過観察されることもあります。
決してまれな病気ではありません。特に高齢になるほど見つかる機会が増えます。
60歳以上の人、男性、高血圧の人、喫煙習慣のある人に多く見られます。脳動脈瘤は女性にやや多いという報告もあります。
症状
- 突然の激しい頭痛(これまでに経験したことのないようなもの)
- 突然の激しい胸・背中・おなかの痛み
- 片まひやしびれ、言葉が出ない、意識がもうろうとする
- 冷や汗、めまい、血圧の低下
- ⚠新しい頭痛が続く
- ⚠目の見え方の異常
- ⚠脈がとれるようなおなかの痛み
一般的な症状
- 無症状のことがほとんどです。動脈瘤が大きくなると、周りの組織を圧迫して症状が出ることがあります。
- 脳動脈瘤の場合:頭痛、物が二重に見える、片方のまぶたが下がる、顔のしびれなど。
- 腹部大動脈瘤の場合:おなかの奥がドクドクと脈打つ感じ、背中や腰の痛みなど。
子供の症状
- 小児では非常にまれですが、結合組織の病気などが原因で生じることがあります。頭痛や嘔吐、意識の異常などの症状が見られたら、すぐに医師の診察を受けてください。
高齢者の症状
- 高齢者では、動脈瘤があっても気づかないことが多く、検診や他の検査で偶然見つかることがほとんどです。破裂すると激痛やショック状態になるため、日頃から血圧管理と禁煙が大切です。
原因
主な原因
- 血管の壁が生まれつき弱いことや、長年の高血圧・動脈硬化(血管がかたくなること)によって血管壁が傷むことが主な原因と考えられています。
リスク要因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが多い)
- 家族歴(血縁者に動脈瘤のある人)
- 大動脈弁の病気
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 動脈瘤が破裂した疑いのある症状(突然の激しい頭痛・胸痛・腹痛)があれば、ためらわずに119番で救急車を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 健診で異常を指摘された
- 家族歴がある
- 高血圧・喫煙などのリスクがある場合
診断
動脈瘤は、多くの場合、身体の画像検査(CT・MRI・超音波)で見つかります。他の病気の検査中に偶然見つかることもあります。
行われる可能性のある検査
- 腹部エコー(超音波検査)
- CT検査
- MRI検査
- 血管造影検査
診察で予想されること
検査は痛みのないことがほとんどです。造影剤を使う場合は、副作用について事前に説明があります。結果に基づいて、治療をするか、経過観察をするかを医師があなたと話し合います。
治療
治療方針は、動脈瘤の大きさ・場所・形、あなたの年齢や健康状態によって異なります。破裂のリスクが低い小さな動脈瘤は、しばらく経過を見る「経過観察」が選ばれることもあります。
自宅でのセルフケア
- 血圧をしっかり管理する
- 禁煙する
- 医師に相談してから運動する
- 動脈瘤のサイズや症状の変化に注意し、定期受診を欠かさない
医療治療
治療には、血圧を下げたり動脈硬化の進行を防いだりする薬を使うことがあります(薬の種類や量は医師が決めます)。動脈瘤が大きい場合や破裂の危険がある場合は、カテーテルを使う低侵襲な手術や、開腹・開頭手術を行うことがあります。どの治療が適しているかは、専門医があなたの状態を総合的に判断して提案します。
手術が検討される場合
動脈瘤の大きさが一定以上ある、急速に大きくなっている、痛みなどの症状がある、破裂した場合などは、手術やカテーテル治療の対象となることがあります。
この病気と共に生きる
動脈瘤を持ちながら生活する場合は、激しい力みを避け、血圧を安定させることが大切です。大きなストレスをためず、規則正しい生活を心がけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を徹底する
- 血圧を定期的に測り、記録する
- 激しい腹圧のかかる動作(力む、重いものを持つ)を避ける
- かかりつけ医の指示に従い、定期的に画像検査を受ける
食事と運動
塩分を控え、野菜や果物を多くとるバランスのよい食事を心がけましょう。運動は、ウォーキングなどの軽い有酸素運動が基本です。ただし、筋トレやマラソンなどの激しい運動は医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
動脈瘤と診断されると、「いつ破裂するのだろう」と不安になるのは自然なことです。不安な気持ちは一人で抱え込まず、医師や家族、看護師に話しましょう。必要に応じて、心のケアの専門家に相談することもできます。
予防
すべての動脈瘤を予防することはできませんが、高血圧・喫煙・脂質異常症などのリスクを管理することで、動脈瘤の発生や進行を抑えられる可能性があります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症は血管に負担をかけることがあるため、予防接種を検討しましょう。
検診プログラム
おなかの大動脈瘤は、65歳以上の喫煙歴がある人などでは超音波検査によるスクリーニングが勧められることがあります。日本の厚生労働省のガイドラインでは、特定健診の項目には含まれていませんが、気になる方は医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 動脈瘤が大きくなると、破裂(血管が破れること)を起こすことがあります。破裂すると大出血を起こし、命に関わります。
- 脳動脈瘤ではくも膜下出血、大動脈瘤では大動脈解離や破裂を引き起こすことがあります。
長期的な見通し
動脈瘤は早期に見つければ、適切な管理や治療によってリスクを大きく減らせます。経過観察中の場合も、医師の指示を守っていれば、多くの人は普段の生活を続けられます。新しい治療技術も進んでいます。希望を持って、前向きに治療に取り組んでいきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月14日
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