高齢者の狭心症(きょうしんしょう)について知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
狭心症は、心臓に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなり、心臓が必要な酸素を受け取れなくなることで起こる病気です。特に体を動かしたときや興奮したときなど、心臓が多く働くときに、胸の痛みや圧迫感として現れます。
重要な事実
- 狭心症の代表的な症状は、胸の痛み・圧迫感・締め付けられるような感じです。
- 痛みは通常数分間続き、休むとおさまることが多いのが特徴です。
- 高齢者では、胸以外の場所の痛みや、息切れ・だるさとして現れることもあります。
はい、狭心症は高齢者に多い病気です。加齢とともに血管が硬くなったり、コレステロールなどがたまりやすくなったりするためです。日本では、心臓の病気は高齢者の健康を大きく左右するものとして、厚生労働省も予防と早期発見の大切さを伝えています。
特に60歳以上の方、高血圧・糖尿病・脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の値が高い状態)がある方、喫煙習慣のある方に多くみられます。
症状
- 胸の痛みや圧迫感が5分以上続き、休んでもよくならない場合は、すぐに119番に電話してください。
- 胸の痛みに冷や汗、吐き気、めまい、意識が遠くなる感じを伴う場合も緊急です。
- 突然の強い胸の痛みや息苦しさで、座っていられないほどつらい場合は、遠慮せず119番を呼んでください。
- ⚠胸の違和感が今までより強くなった、または頻繁になった
- ⚠安静にしているときにも胸の痛みが出る
- ⚠高齢者で急に元気がなくなり、胸の痛みや息切れを訴える
- ⚠当日中に受診して医師の判断をあおぎたいくらい気になる胸の症状がある
一般的な症状
- 胸の中央が締め付けられるような痛み・圧迫感
- 痛みが左肩や腕、あご、背中に広がることがある
- 動いたとき・階段を上るとき・寒いときに起こりやすい
- 数分間休むと治まることが多い
- 動悸(心臓がドキドキする感じ)や息切れを伴うことがある
子供の症状
- 狭心症が子どもに起こることはまれです。ただし、生まれつき心臓に病気がある場合は、胸の痛みや息切れが現れることがあります。子どもの胸の痛みは、まず小児科で相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢者では胸の痛みを感じにくいことがあり、その代わりに息切れ、疲れやすさ、食欲不振、胃のあたりの不快感、背中や肩の痛みが現れることもあります。
- 糖尿病がある方は、神経の働きの変化によって痛みを感じにくい場合があるため、注意が必要です。
原因
主な原因
- 心臓に血液を送る冠動脈が動脈硬化によって狭くなることが主な原因です。
- 血管の内側にコレステロールなどがたまり、血液の通り道が細くなります。
- 血管が一時的にけいれんし、血流が減ることで起こることもあります。
リスク要因
- 高齢であること
- 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の値が高い)
- 運動不足
- 強いストレス
- 家族に心臓病の人がいること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- これまでにない胸の痛みや圧迫感がある
- 胸の痛みが強くなっている、または起こる頻度が増えている
- 安静にしていても症状が治まらない
定期受診を予約すべき場合:
- 動いたときだけ胸に違和感がある
- 息切れやだるさが続く
- 健康診断で血圧や血糖、コレステロールの値を指摘された
診断
医師があなたの症状やこれまでの経過を詳しく聞き、必要な検査を行って診断します。問診では、どのようなときに症状が出るか、どのくらい続くか、どのように治まるかなどを伝えましょう。
行われる可能性のある検査
- 心電図(安静時・運動時)
- 血液検査
- 心エコー(心臓の超音波検査)
- 冠動脈CTや冠動脈造影などの画像検査
診察で予想されること
検査には痛みを伴わないものが多く、日帰りでできるものもあります。必要に応じて入院して詳しく調べることもあります。不安なことや心配なことがあれば、遠慮なく医師や看護師に質問してください。
治療
治療の目的は、症状をやわらげることと、心臓の血管が詰まって起こる心筋梗塞などの重い病気を予防することです。生活習慣の見直しと、医師の指導による治療を組み合わせて進めます。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された運動や生活の範囲を守る
- タバコはやめる(禁煙)
- 寒い日の外出は防寒をしっかりして、急な力仕事を避ける
- 症状が出たら無理をせず、すぐに休む
- 自己判断で服薬や通院をやめない
医療治療
治療には、血管を広げて血流を改善する薬、心臓の負担を減らす薬、血液を固まりにくくして血管が詰まるのを防ぐ薬などが、状況に応じて使われます。薬は医師が症状や検査結果に合わせて選ぶため、必ず処方された方法に従って服用してください。
手術が検討される場合
血管の狭さがひどい場合や薬で効果があまり見られない場合は、カテーテル治療(管を血管に入れて狭い部分を広げる治療)や、バイパス手術(狭い部分を迂回して血流を通す手術)が検討されることがあります。入院期間や回復の様子は人によって違います。
この病気と共に生きる
狭心症とともに暮らすうえで大切なのは、自分の体のサインに気づくことです。無理のない範囲で日常生活を送り、痛みや違和感があれば早めに休み、続く場合や変化がある場合は医師に伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 医師の許可を得て、毎日続けられる軽い運動をする
- ゆっくり入浴し、心臓に負担をかけすぎない
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- ストレスをため込まず、気分転換の時間をつくる
食事と運動
食生活は、塩分を控えめにし、野菜や魚を中心としたバランスのよい食事を心がけましょう。運動はウォーキングなどの軽い有酸素運動から始め、種類や強さは必ず医師に相談して決めてください。
精神的健康と心の健康
狭心症と診断されると、不安や気分の落ち込みを感じることがあるかもしれません。病気はあなたの人生の一部であり、すべてではありません。気持ちのつらさについても、医師や看護師、信頼できる人に話してみてください。
予防
狭心症は、動脈硬化を進める生活習慣を改善することで、発症や進行を防ぐことができます。高血圧や糖尿病などの持病がある場合は、しっかり治療を続けることが予防にもつながります。
ワクチン
ワクチンで狭心症を直接予防することはできません。ただし、インフルエンザなどの感染症は心臓に負担をかけることがあるため、予防接種についてかかりつけ医に相談してみるのもよいでしょう。
検診プログラム
健康診断で血圧、血糖値、コレステロール値をチェックすることは、動脈硬化のリスクを早めに知るきっかけになります。症状がなくても、定期的に健診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞(心臓の血管が完全に詰まり、心筋が壊れてしまうこと)
- 不整脈(脈が乱れること)
- 心不全(心臓のポンプ機能が低下し、息切れやむくみが起こること)
長期的な見通し
狭心症は、正しく診断され、治療を続けていけば、多くの方が安定した生活を送れます。高齢になっても、無理のない範囲で活動を続け、医師とともに自分らしい生活を大切にしていくことができます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。