ことばが思い出せない 健忘性失語(アノミー性失語)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
頭の中ではわかっているのに、言いたいことば、特にものの名前や人の名前が出てこなくなる状態です。理解や会話の流れは保たれることが多く、「あれ」「それ」などでおぎなうことが多くなります。
重要な事実
- ことばの意味を理解する力や、知識そのものは保たれていることが多い
- 脳卒中や頭部外傷などが主な原因になる
- 言語聴覚士によるリハビリテーションで改善が期待できる
失語症の中では比較的多く見られるタイプです。
脳卒中、頭部外傷、脳腫瘍、認知症などにより、ことばをつかさどる大脳の部分に障害が起きた人に起こります。高齢者に多く、若い人では頭部外傷が原因になることもあります。
症状
- それまで普通に話せていた人が、突然ことばを思い出せなくなる
- ことばの出にくさに加えて、顔のゆがみ、片側の手足の麻痺、歩きにくさがある
- 激しい頭痛や意識のもうろう、失神がある
- ⚠数日かけてことばの出にくさが進んでいる
- ⚠ことばが出ないことで食事や服薬、人との連絡が難しくなっている
- ⚠症状が少しずつ悪化し、日常生活に支障が出ている
一般的な症状
- ものの名前や人の名前が思い出せない
- 会話の中でことばがつまり、「あれ」「それ」で代用する
- 思い出せないとき、ぐるぐる回って説明しようとする
- 言い間違いに自分で気づくことが多い
子供の症状
- ことばを覚える時期に、名前が出てこず指差しや身振りが多くなる
- 発達のペースに影響が出ることがあるが、ことばの遅れにはほかの原因もあるため注意が必要
高齢者の症状
- 「最近物忘れが増えた」と感じる程度から始まることがある
- 特に人や物の名前が出てこないことに気づくが、日時や場所の記憶は比較的保たれる
原因
主な原因
- 脳卒中(脳梗塞や脳出血)により、ことばを扱う脳の部分に障害が起きる
- 交通事故や転倒などによる頭部外傷
- 脳腫瘍や感染症で脳が圧迫される
- アルツハイマー病などの神経の病気が関係する場合もある
リスク要因
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症など脳卒中のリスクがある
- 頭部をぶつける危険のある仕事やスポーツ
- 高齢であること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急にことばが出なくなり、片まひやろれつが回らないなどの症状があるときは、すぐに119番へ連絡し救急車を呼んでください
- 症状が数時間以内に悪化する場合も緊急です
定期受診を予約すべき場合:
- ことばが出てこないことが増え、気になる場合
- 家族が話し方の変化に気づいた場合
- 物忘れやことばの出にくさが続き、専門外来で相談したい場合
診断
医師が話を聞きながら、ことばを言うテストや指示の理解を確認します。必要に応じて言語聴覚士も評価に加わります。
行われる可能性のある検査
- 頭部のCTやMRIなどの画像検査
- ことばの理解や呼びかけをする標準的な言語機能検査
- 血圧や血液の状態を調べる検査
診察で予想されること
初診は30分から1時間程度を想定してください。症状の経過や持病、生活の様子も尋ねられます。専門は脳神経内科、リハビリテーション科、言語聴覚士です。
治療
治療の中心は言語聴覚士によるリハビリテーションです。原因となる病気がある場合は、その治療も並行して行われます。ことばの症状を直接なくす特別な薬はありません。
自宅でのセルフケア
- 会話では焦らず、相手がことばを思い出す時間を待つ
- 思い出せないときは、身振りや筆談、説明を組み合わせて伝える
- 楽しみながら続けられる、話す・聞く・読む・書く練習を行う
医療治療
原因となる脳卒中や感染症などに対する一般的な治療(血圧を下げる治療、血を固まりにくくする治療、感染症の治療など)が行われます。薬の種類や量は必ず医師が決め、指示どおりに使用します。リハビリテーションは週1回から、通える範囲で継続することが大切です。
手術が検討される場合
脳腫瘍や頭の中の血の塊などが原因の場合は、手術で取り除くことが治療になる場合があります。手術の必要性は脳神経外科の医師が画像検査や症状を総合して判断します。
この病気と共に生きる
ことばが出ないときでも、伝えたい気持ちをあきらめないことが大切です。家族や周りの人は、別の表現でたずねる、うなずく、身振りを交えるなど、コミュニケーションの方法をいくつも用意しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と規則正しい生活を心がける
- 高血圧や糖尿病など持病は、医師の指示に従いきちんと治療を続ける
- 地域の通所リハビリや失語症サークルを活用する
食事と運動
脳卒中予防のため、減塩し、野菜や果物を多くとるバランスのよい食事を心がけましょう。運動は医師の許可があれば、ウォーキングなどの軽い運動を無理のない範囲で続けるとよいです。
精神的健康と心の健康
ことばが出ず、悔しさや不安で気分が落ち込むこともあります。伝わったときは喜びを分かち合い、うまくいかないときも決して責めないでください。気分の落ち込みが長引く場合は、医師や精神保健の専門家に相談しましょう。
予防
脳卒中が最大の原因となるため、高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理、禁煙、適度な運動、減塩を日常から心がけることで予防につながります。すでに失語がある場合も、同じ生活習慣の改善が再発予防になります。
ワクチン
省略
検診プログラム
省略
合併症
治療しない場合
- コミュニケーションの困難から社会的な孤立が進む
- 気分の落ち込みや不安が強くなることがある
- 誤解やいらだちから人間関係のトラブルに発展することがある
長期的な見通し
原因や重症度によって経過は異なりますが、言語リハビリテーションと周囲の理解により、伝え合う方法を身につけることが可能です。時間はかかっても、生活の質をとり戻せる希望があります。あきらめずに続けることが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
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