拒食症(神経性やせ症)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
拒食症(神経性やせ症)は、食べることを極端に制限する・体重が増えることを強く恐れる・自分の体形を実際より太っていると感じることなどによって、心と体に深刻な影響が出る病気です。単なる『やせたい気持ち』ではなく、治療が必要な病気です。
重要な事実
- 拒食症は、栄養不足によって命に関わる危険な状態になることもあります。
- 早期に気づいて治療を始めると、回復しやすくなります。
- 本人の意志だけではなかなか改善せず、医療や家族のサポートが必要です。
- 男性でも起こりますが、女性に多く見られます。
日本では、10代から20代の女性を中心に、約0.5~1%の人が経験すると言われています。男性や子ども、高齢者でも起こる可能性があり、決してまれな病気ではありません。
思春期の女性に最も多く見られますが、どの年齢でも発症する可能性があります。スポーツ選手、モデル、ダンサーなど、体重や体型が評価される環境にある人に起こりやすいとされています。
症状
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 脈が極端に遅い、または乱れている
- 呼吸が浅い、または苦しそう
- 体温が極端に低い(寒くないのに震えが止まらない)
- 自分で水も飲めない、または何も食べられない
- 心臓が止まる危険があるため、すぐに119番してください
- ⚠立ちくらみやめまいがひどく、倒れることがある
- ⚠食べるとすぐに吐いてしまって水分も取れない
- ⚠体重が短期間に急激に減った
- ⚠自傷行為や『死にたい』という考えがある
- ⚠これらの場合は、当日中に医療機関に相談してください
一般的な症状
- 体重が著しく減る(年齢・身長から見て標準より低い)
- 食事を極端に減らす、または特定の食品しか食べない
- 太ることに対する強い恐怖を感じる
- 自分の体を実際より太っていると認識している
- 食べた後に吐く、下剤を使うなどの行動がある
- 疲れやすい、寒がる、髪の毛が抜ける、月経が止まる
- 人との食事を避ける、食べ物にこだわる
子供の症状
- 食べることを拒否する、または極端に好き嫌いが増える
- 成長に伴う体重増加が見られない
- 過度に運動する、食事の時間にそわそわする
- イライラしたり、落ち着きがなくなる
- 腹痛や吐き気を訴えることが増える
高齢者の症状
- 原因のはっきりしない体重減少や食欲不振
- 筋肉が減って体力が落ちる(サルコペニア)
- 一人で食事をすることを好み、食事の支度をしなくなる
- うつ症状や物忘れに似た状態
- 薬の副作用や持病の影響で食欲が落ちている場合もあるので注意が必要
原因
主な原因
- 完全な原因はわかっていませんが、遺伝的な要素、心理的な要素、社会的な要素が複雑に関わると考えられています。
- 性格傾向(完璧主義、自己評価が低い、傷つきやすい)
- 『やせていることが美しい』という社会の風潮や、ダイエット情報の影響
- ストレスや人間関係の問題(いじめ、家庭内のストレスなど)
- 脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスの乱れ
リスク要因
- 10代から20代の女性
- ダイエットをしている(特に極端な食事制限)
- 体重や体型が評価される職業やスポーツをしている
- 家族に摂食障害やうつ病の人がいる
- 自分に自信が持てず、他人の評価を気にしすぎる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 体重が減り続けているのに本人が異常に感じない場合
- めまい、失神、胸の痛み、不整脈など体の危険なサインがある
- 自分で食べることを拒否し、家族がどうしようもない場合
- 『もう生きていたくない』などの言葉を聞いた場合は、すぐに医療機関に相談してください
定期受診を予約すべき場合:
- 食事の量が極端に減っている、または体重が減っている(本人または家族が気づいた)
- 月経が3か月以上止まっている
- 食べ物や体重のことばかり考えて日常生活に支障がある
- 学校や職場で異変に気づいたら、保健室や健康管理室に相談してもよい
診断
拒食症の診断は、お医者さんがお話を聞き、身体の診察と検査を行った上で、国際的な診断基準を確認して行われます。体重の減少や、太ることへの強い恐怖、体のイメージの歪みなどの特徴があるかどうかを詳しく評価します。
行われる可能性のある検査
- 身長・体重の測定(BMIの計算)
- 血液検査(貧血、電解質、肝臓や腎臓の機能、栄養状態など)
- 心電図(不整脈などの心臓の状態を見る)
- 骨密度検査(骨がもろくなっていないか)
- 精神的な評価(気分や考え方の面談)
診察で予想されること
まずはお話を中心にした診察が行われます。拒食症が疑われる場合は、その後の治療のためにお医者さんが精神科医や管理栄養士などを紹介することもあります。普段の生活や食事の様子についての質問に答えていただきます。急いで結論を出すことはありません。安心して話せるように、医師は努めます。
治療
拒食症の治療は、まず命と体の安全を守るために栄養状態を改善し、体重を回復させることが最優先になります。その上で、心理療法によって、食事や体形に対する考え方の歪みや、感情の問題に向き合っていきます。家族の理解と協力もとても大切です。
自宅でのセルフケア
- 専門家の指導のもとで、食事の量を少しずつ増やし、体重を回復させることを目指す
- 毎日体重計に乗る習慣をやめ、食事の時間を決めて規則正しく食べる
- 自分を責めず、回復には時間がかかることを認める
- つらい気持ちを安心して話せる人を作る
- 過度な運動をしない(医師と相談する)
医療治療
治療の中心は、認知行動療法などの心理療法です。これにより、体重や食事に対する考え方、感情のコントロールを学んでいきます。うつ病や不安障害を合併している場合は、それぞれの症状を和らげる薬を使うことがあります。薬の名前や用量は、医師があなたの状態に合わせて説明しますので、自己判断せずに必ず指示に従ってください。
手術が検討される場合
拒食症に対して、手術による治療は一般的ではありません。
この病気と共に生きる
回復は一直線ではありません。良くなったり悪くなったりしながら、ゆっくり進んでいきます。無理をしすぎず、できることから少しずつ取り組みましょう。食事をひとりで食べるのがつらいときは、信頼できる人と一緒に食べる時間を作るのも助けになります。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える
- 体重や食べ物のことを考えすぎない時間(趣味や活動)を持つ
- アルコールやカフェインなど、体に負担をかけるものを控える
- 運動は、体重が安定するまでは医師と相談してから行う
食事と運動
食事は、体と心を回復させるための土台です。管理栄養士と一緒に、無理なく食べられる量から始め、少しずつ栄養を増やしていきます。極端な食事制限や『きれいに食べる』などのこだわりは、徐々に手放していきます。運動は、体重が十分に回復するまでは控えることが安全です。必ず医療チームの指示に従ってください。
精神的健康と心の健康
拒食症は、感情やストレスと深く結びついています。『食べないこと』が心の叫びになっていることもあるため、その気持ちをじっくり話せる場が必要です。つらい気持ちや不安があるのは当然です。もし『死にたい』『消えたい』という気持ちが浮かんだら、一人で抱えず、すぐに救急サービス(119番)や精神科の医療機関、相談窓口に連絡してください。あなたの命は大切です。
予防
拒食症を完全に予防する方法はありません。しかし、ダイエットに対して健全な考え方を持つこと、自分の体を尊重すること、ストレスをためない対処法を身につけることは、発症のリスクを減らすかもしれません。また、周囲が子どもの体重変化や食事の様子の変化に早く気づき、話し合うことが悪化を防ぎます。
検診プログラム
学校の健康診断や職場の健康診断では、身長・体重の測定が行われます。体重の減少や月経の異常などに早めに気づくきっかけになります。気になる変化があれば、一人で悩まずに健康診断の結果をもって医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 心不全や不整脈など、心臓の重い病気
- 骨粗しょう症(骨がもろくなり骨折しやすい)
- 無月経・不妊・甲状腺機能低下などホルモンバランスの乱れ
- 腎臓や肝臓の障害
- 低血糖による意識障害や突然死のリスク
長期的な見通し
拒食症は、回復が可能な病気です。ただし、治療が遅れるほど回復に時間がかかるため、早めの対応がとても重要です。多くの人は、専門的な治療と周囲のサポートによって、食事と心の健康を取り戻しています。希望を持って、一歩ずつ進んでいきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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