未熟児無呼吸
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
未熟児無呼吸とは、早産で生まれた赤ちゃんに見られる、呼吸が一時的に止まってしまう状態です。おなかの中にいる間に呼吸をコントロールする脳のしくみがまだ十分に育っていないために起こります。多くの場合、20秒以上呼吸が止まるか、それより短くても心拍数や酸素濃度が下がることをいいます。
重要な事実
- 早産児の多くに見られる症状で、在胎週数が短いほど起こりやすいです。
- 多くは赤ちゃんの成長とともに自然に改善します。
- 無呼吸の際に酸素が不足しないよう、医療機関での観察やケアが大切です。
未熟児無呼吸は、早産児ではとても一般的な症状です。特に妊娠28週より前に生まれた赤ちゃんではほぼ全員に、33〜34週で生まれた赤ちゃんでも約半数に見られます。
主に妊娠37週より前に生まれた赤ちゃんに影響します。生まれた週数が早いほど頻度が高くなり、低出生体重児でより多く見られます。
症状
- 赤ちゃんが呼吸を再開せず、ぐったりしている
- 顔色が青白いまたは紫色で、刺激しても反応がない
- 呼吸が止まったままで、心臓マッサージが必要になる状態
- ⚠無呼吸が短時間に何度も繰り返す
- ⚠呼吸が止まるが、足の裏を刺激すると呼吸を再開する
- ⚠哺乳量が減り、元気がない
- ⚠発熱やせき、呼吸が苦しそうな様子がある
一般的な症状
- 呼吸が20秒以上止まる
- 呼吸が止まっているときに心拍数がゆっくりになる(徐脈)
- 顔色が青っぽくなる(チアノーゼ)
- 無呼吸のあと、突然大きく息をして回復する
子供の症状
- 未熟児無呼吸は新生児期に起こるため、生後数週間は注意深い観察が必要です
- 眠っているときに呼吸が止まり、刺激すると呼吸が再開する
- 哺乳中にむせたり、ぐったりすることがある
- 呼吸のリズムが不規則で、数秒間の休止が頻繁に見られる
高齢者の症状
- この病気は主に早産児の病気であり、大人には該当しません。
原因
主な原因
- 脳の呼吸中枢が未熟で、呼吸を指令する信号が一時的に途切れること
- 気道が狭く、分泌物(痰)でつまりやすいこと
- 貧血、感染症、逆流性食道炎などの病気がきっかけになること
リスク要因
- 在胎週数が短い(特に28週未満)
- 低出生体重
- 呼吸窮迫症候群や慢性肺疾患などの呼吸器の病気
- 胃食道逆流
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 家庭で無呼吸が見られた場合は、たとえ回復しても、速やかにかかりつけの小児科医に相談してください
- 無呼吸が1時間に何度も起こる、長く続く、顔色が青くなる場合は、すぐに医療機関を受診してください
定期受診を予約すべき場合:
- 退院後に無呼吸のフォローアップを計画している場合
- モニターの使い方や、無呼吸時の対処法を再確認したい場合
- 成長に伴い無呼吸が減っているか気になるとき
診断
医師が赤ちゃんの症状を確認し、在胎週数や出生体重、無呼吸の様子から診断します。入院中であれば、呼吸や心拍数、血中酸素濃度をモニターで観察します。
行われる可能性のある検査
- 心拍数・呼吸数・血中酸素濃度のモニタリング
- 血液検査(感染症、貧血、電解質異常の有無の確認)
- 胸部X線検査(肺の様子や肺炎のチェック)
- 頭部エコー検査(脳の異常の確認)
- 睡眠時の呼吸を詳しく調べる検査(ポリソムノグラフィー)
診察で予想されること
診察では、無呼吸の回数や様子を記録したメモや動画があると役立ちます。検査は赤ちゃんの負担がなるべく少ない方法で行われます。必要に応じて、新生児科や小児科の専門医が対応します。
治療
治療の目的は、無呼吸による酸素不足を防ぎ、赤ちゃんが安全に成長できるようにすることです。原因や重症度に応じて、入院中は観察と支援が行われ、退院後は家庭でのモニタリングやフォローアップが続きます。
自宅でのセルフケア
- 無呼吸に気づいたら、そっと足の裏や背中を刺激して呼吸を促す
- 赤ちゃんは仰向けに寝かせる(うつぶせ寝は避ける)
- 室温を快適に保ち、厚着や過熱を避ける
- たばこや強い香りのある環境を避ける
- 医師や看護師から教わった対処法を確認しておく
医療治療
医療機関では、赤ちゃんの状態に合わせて、呼吸を補助する装置(持続陽圧呼吸など)や、未熟児無呼吸に対して効果のある薬物療法が行われることがあります。具体的な薬の種類や用量は、担当医師が赤ちゃんの状態を見て判断します。また、貧血や感染症など原因となる病気があれば、その治療も行われます。
手術が検討される場合
未熟児無呼吸自体に手術が必要になることはほとんどありません。まれに、胃食道逆流などが原因で手術が検討される場合がありますが、その場合も担当医師から十分な説明が行われます。
この病気と共に生きる
未熟児無呼吸のある赤ちゃんの多くは、退院後も自宅で様子を観察し、場合によっては呼吸モニターを使用します。成長とともに無呼吸は減っていくため、あせらずに見守ります。
生活習慣のアドバイス
- 赤ちゃんは必ず仰向けに寝かせる
- 部屋の温度を20〜24度程度に保ち、過剰な毛布や衣類を避ける
- 無呼吸の記録をつけ、外来で医師に伝える
- カンガルーケアなど、赤ちゃんとの肌の触れ合いを医師の許可の下で行う
- 定期的な外来受診や健診を欠かさない
食事と運動
母乳または人工乳を、赤ちゃんのペースに合わせてゆっくり与えます。むせやすい場合は、哺乳の姿勢を工夫し、途中で休ませながら行います。体の発達に合わせて、医師の指導のもとで「うつぶせ遊び」などを徐々に取り入れてもよいでしょう。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの呼吸が止まると、親御さんは強い不安を感じることでしょう。無呼吸時の具体的な対処法を医療者から教わり、緊急時の連絡先を確認しておくことで、不安を軽減できます。
予防
未熟児無呼吸そのものを完全に予防することはできませんが、早産をできるだけ防ぐために、妊婦健診をきちんと受けること、禁煙やバランスのよい食事など健康的な生活を送ることが大切です。早産になった場合は、赤ちゃんの状態に合わせた医療管理で無呼吸による合併症を防ぎます。
ワクチン
予防接種については、かかりつけ医の指示に従ってください。未熟児でも多くのワクチンは接種可能ですが、生後まもない時期や体重が少ない時期は医師と相談しながら進めます。
検診プログラム
退院後は、赤ちゃんの成長や発達に合わせて定期的な健診を受けます。必要に応じて、聴覚や視覚、神経の発達についてのフォローアップ検査も行われます。
合併症
治療しない場合
- 低酸素血症(体の酸素が不足すること)
- 徐脈(心拍数が極端に遅くなること)
- 脳への酸素不足による発達への影響
- 重症の場合、呼吸不全を起こすリスク
長期的な見通し
未熟児無呼吸は、多くの場合、赤ちゃんの成長とともに自然に治ります。医療機関での適切な管理と家庭でのフォローアップを行えば、ほとんどの赤ちゃんは健康に育ちます。ご家族は焦らずに、専門家のサポートを受けながら温かく見守ってください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月1日
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