Arterial leg ulcers
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
動脈性下腿潰瘍(どうみゃくせい かたい かいよう)は、足や脚(あし)の動脈(どうみゃく)の血流(けつりゅう)が悪くなり、皮膚(ひふ)に傷(きず)ができて治りにくくなる病気です。動脈は心臓(しんぞう)から酸素(さんそ)や栄養(えいよう)を運ぶ血管(けっかん)です。その流れが悪くなると、足の組織(そしき)が十分に修復(しゅうふく)できず、傷ができやすくなります。
重要な事実
- 動脈性潰瘍は、脚や足の動脈が細くなったり詰まったりすることで起こります。
- この潰瘍はとても痛く(いたく)、特に脚を上げると痛みが増します。
- 治療(ちりょう)には、血流を良くするための医療(いりょう)ケアと、傷の適切な手当が必要です。
動脈性下腿潰瘍は、70歳以上の方や、喫煙(きつえん)・糖尿病(とうにょうびょう)・高血圧(こうけつあつ)などのある方に比較的多く見られます。日本では、厚生労働省(こうせいろうどうしょう)の調査(ちょうさ)によると、足の血流障害(けつりゅうしょうがい)の約1割(わり)がこの潰瘍をともなうとされています。
主に、動脈硬化(どうみゃくこうか)や糖尿病、高血圧、脂質異常症(ししついじょうしょう)などがある方に多く見られます。また、喫煙者(きつえんしゃ)や、長時間座りっぱなしの方もリスクが高まります。
症状
- 突然(とつぜん)、脚に激しい痛みとともに皮膚が黒くなる(壊死(えし)の疑い)
- 潰瘍から膿(うみ)が出る、または赤く腫(は)れて熱を持つ(感染の可能性)
- 発熱(はつねつ)や悪寒(おかん)をともなう
- ⚠潰瘍が急に大きくなる、または痛みが強くなる
- ⚠足の色が異常に青白い、または紫色(むらさきいろ)になる
一般的な症状
- 足や指(ゆび)、かかとなどにできる深い穴のような潰瘍(かいよう)
- 強い痛み、特に脚を上げたときに悪化(あっか)する
- 潰瘍の周りの皮膚が青白い(あおじろい)または冷たい
- 足首(あしくび)の動脈の拍動(はくどう)が弱い、または触れない
- 潰瘍の治りがとても遅い
子供の症状
- 子どもでは非常にまれですが、先天性(せんてんせい)の動脈疾患(どうみゃくしっかん)がある場合に起こることがあります。症状は大人と似ています。
高齢者の症状
- 高齢者では、痛みを感じにくくなることがあるため、潰瘍が大きくならないと気づかれにくいことがあります。
- 皮膚がとても乾燥(かんそう)しやすく、感染症(かんせんしょう)のリスクも高まります。
原因
主な原因
- 動脈硬化:血管の中にコレステロールなどがたまり、動脈が狭くなる
- 糖尿病:血糖値(けっとうち)が高いと血管が傷つきやすくなる
- 高血圧:血管に負担がかかり、動脈が傷みやすくなる
- 喫煙:血管を収縮させ、血流を悪くする
リスク要因
- 年齢(特に50歳以上)
- 肥満(ひまん)
- 運動不足
- 不規則な食生活
- 家族に動脈疾患の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 足や脚に治らない傷がある、または痛みが続く
- 潰瘍がある部位が急に黒くなった、または膿が出た
定期受診を予約すべき場合:
- 足の血流が気になる場合(歩くと足が痛くなる、安静にすると治る)
- 糖尿病や高血圧の治療を受けている方で、足に違和感がある
診断
医師は問診(もんしん)と診察を行い、足の動脈の状態を詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 足の動脈の拍動を触診(しょくしん)する
- 足関節上腕血圧比(あしかんせつ じょうわん けつあつひ)(ABI)検査:足首と腕の血圧を比べて動脈の狭さを調べる
- 超音波(ちょうおんぱ)検査:血管の画像(がぞう)を見て血流の状態を確認する
- 血管造影(けっかんぞうえい):より詳しく血管の状態を調べる
診察で予想されること
診断は通常、外来(がいらい)で行われます。痛みをともなう検査はほとんどありません。結果をもとに、あなたに合った治療計画(けいかく)を医師が話し合ってくれます。
治療
動脈性下腿潰瘍の治療の基本は、血流を改善(かいぜん)することと、傷の管理(かんり)です。医師の指導のもと、生活習慣の見直し(みなおし)と医療処置(いりょうしょち)を組み合わせます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙(きんえん)する(最も重要です)
- 足を清潔(せいけつ)に保ち、保湿(ほしつ)する(乾燥を防ぐ)
- 潰瘍のある部分に直接圧力(あつりょく)をかけない(例えば、きつい靴やストッキングを避ける)
- 医師や看護師の指示に従って、適切な傷の手当(てあて)をする
医療治療
血流を改善するための薬物療法や、血管を広げる治療(カテーテル治療やバイパス手術など)が行われることがあります。また、専門的な創傷(そうしょう)ケアとして、特殊な被覆材(ひふくざい)や陰圧閉鎖療法(いんあつへいさりょうほう)などが用いられることもあります。具体的な治療法は、あなたの状態に合わせて医師が説明します。
手術が検討される場合
薬や血管内治療で効果が不十分な場合、外科手術(げかしゅじゅつ)として、詰まった部分をバイパスする手術などが検討されることがあります。
この病気と共に生きる
動脈性潰瘍は治るまでに時間がかかることがあります。毎日の足の観察(かんさつ)と、医師の指示に従った傷のケアが大切です。痛みを感じたら、医師に相談して適切な対策(たいさく)をとりましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 適度な運動(医師に相談して、ウォーキングなど)
- 足を冷やさない(特に冬は靴下やスリッパで保温)
- 毎日足をチェックし、異常があればすぐに医師に伝える
食事と運動
バランスの良い食事(特に野菜・魚・大豆製品を意識)と、医師が許可した範囲での軽い運動(足を動かす)は、血流改善に役立ちます。ただし、痛みがある場合は無理をしないでください。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みや傷の治療は、気分を落ち込ませることがあります。不安やストレスを感じたら、家族や医師に相談しましょう。必要に応じて、カウンセリングなどの支援(しえん)を受けることも検討できます。
予防
動脈性下腿潰瘍は、リスク要因を管理することで予防できる可能性があります。特に禁煙、血糖値や血圧のコントロール、バランスの良い食事、適度な運動が重要です。
合併症
治療しない場合
- 潰瘍の感染が広がり、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という深い感染症になる
- 足の組織が壊死(えし)し、壊疽(えそ)になる
- 最悪の場合、足の切断が必要になることがある
長期的な見通し
早期に診断と治療を始めれば、多くの場合、潰瘍は改善し、足を守ることができます。治療には根気(こんき)が必要ですが、医師と協力して生活習慣を改善することで、再発(さいはつ)を防ぎ、健康な足を維持することが可能です。希望を持って治療に取り組みましょう。
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最終更新: 2026年7月16日
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