動脈の健康:合併症のサインと対策
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
動脈は、心臓から全身に血液を送る大切な血管です。動脈の壁が厚く硬くなる「動脈硬化」が進むと、血管が狭くなったり詰まったり、あるいは壁が弱くなってこぶのように膨らむ「動脈瘤」ができることがあります。これが心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気につながる可能性があるため、日ごろから注意が必要です。急な胸の痛み、言葉の不自由、片方の手足の麻痺などの症状があれば、ためらわずに119番へ電話してください。
重要な事実
- 動脈硬化は初期にはほとんど症状がありません。
- 生活習慣の改善(禁煙・食事・運動)で進行を遅らせることができます。
- 突然の胸の痛みや片まひなどは、緊急対応が必要なサインです。
動脈硬化は加齢に伴って誰にでも起こり得る身近な変化です。日本では脳卒中や心臓病が多くの人の命にかかわっており、健康診断で動脈のリスクをチェックすることがすすめられています。
高齢者、喫煙者、高血圧・糖尿病・脂質異常症のある方に多く見られます。また、家族歴や遺伝的要因がある若い方でも起こることがあります。
症状
- 突然の激しい胸の痛みや圧迫感が10分以上続く
- 突然の息切れ、冷や汗、吐き気を伴う
- 顔の半分がゆがむ、片方の手足が動かない・しびれる
- 言葉が話せない、相手の言葉が理解できない
- 経験したことのないような突然の激しい頭痛
- 背中やおなかの激しい痛み(おなかの中で脈を感じる場合もある)
- ⚠胸の痛みや違和感が安静にするとおさまるが繰り返す
- ⚠動悸や脈の乱れがある(脈が飛ぶ感じがする)
- ⚠安静にしていても足の痛みやしびれが続く
- ⚠めまいや一過性の意識が遠のく感じがある
一般的な症状
- 胸の圧迫感や締め付けられるような痛み(狭心症の可能性)
- 歩いたときに起こるふくらはぎや太ももの痛み(休むとよくなる)
- 手足の冷えやしびれ
- 息切れ・動悸
- めまいや立ちくらみ
原因
主な原因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが多い)
- 肥満・運動不足
- 動脈壁の慢性的な炎症
リスク要因
- 家族歴(親兄弟に心筋梗塞や脳卒中がある)
- ストレスの多い生活
- 塩分や脂肪の多い食事
- アルコールの過剰摂取
- 睡眠時無呼吸症候群などの持病
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛み・圧迫感がある
- 突然の強い頭痛がある
- 片方の手足がしびれている
- 背中やおなかの激しい痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血圧・血糖・コレステロール値が高いと指摘された
- 親せきに心筋梗塞や脳卒中を起こした人がいる
- 歩くと足が痛い、またはつらい
- 動脈硬化について心配なことがある
診断
医師が問診と診察を行い、血圧や足の脈を確認します。さらに、血液検査や画像検査を行い、動脈の状態を総合的に評価します。動脈硬化の程度は、超音波(エコー)、CT、MRIなどで調べられます。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定(両腕・両足で行うことがあります)
- 血液検査(コレステロール、血糖、腎機能など)
- 心臓エコー(超音波)
- 頸動脈エコー
- CT・MRI検査
- 必要に応じて血管造影(造影剤を用いる検査)
診察で予想されること
検査のほとんどは体の外から行うもので、痛みはありません。状態によっては、手足の動脈を圧迫して血流を測る検査(ABI)と呼ばれる簡単な検査もあります。結果は当日または数日でわかり、それに基づいて今後の生活改善や治療の計画を立てます。
治療
動脈トラブルの治療は、動脈硬化の進行を抑え、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を防ぐことを目的とします。基本となるのは生活習慣の改善です。症状や血管の状態に応じて、薬物療法やカテーテル治療、場合によっては手術が行われます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙をしましょう
- 医師に相談して適度な運動を始めましょう
- 塩分を控え、野菜・果物・魚を意識して食べましょう
- 体重を適正に保ちましょう
- 睡眠時間を確保し、ストレスをためないようにしましょう
- 薬を処方されたときは、医師の指示どおりに飲み続けましょう
医療治療
動脈の状態を改善するために、血圧・コレステロール・血糖といったリスクをコントロールする薬、血液を固まりにくくする薬などが使われることがあります。薬の種類や組み合わせは患者さんの状態によって異なるため、医師の指示に従ってください。また、狭くなった血管をカテーテルという細い管で広げたり、ステントと呼ばれる筒状の器具を留置して血流を確保する治療も広く行われています。治療法には選択肢があるので、専門医と十分に話し合いましょう。
手術が検討される場合
動脈が高度に狭くなっている場合や、動脈瘤が大きくなって破裂のリスクがある場合には、外科手術(バイパス手術や人工血管への置換など)が検討されます。術後の回復や生活の質(QOL)を考慮したうえで、医師が総合的に判断します。必要があれば専門病院を紹介してもらいましょう。
この病気と共に生きる
動脈のトラブルは長く付き合っていく病気です。血圧や体重を毎日記録し、通院を続けることが予防につながります。体調の変化(胸の痛み、息切れ、足の痛みなど)を感じたら、我慢せずに医療者へ伝えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 毎日のウォーキングなど定期的な運動を続ける
- 塩分を控えめにした和食中心の食生活を心がける
- お酒は適量にとどめる
- 十分な睡眠と休養をとる
食事と運動
食事は、野菜・果物・魚・大豆製品を積極的にとり、肉の脂身やバターなどの飽和脂肪酸を控えることがすすめられています。運動は、1日30分程度のウォーキングなどの有酸素運動を週5日を目標に、医師の許可がある範囲で行いましょう。運動中に胸が痛む場合はすぐ中止して医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
動脈の病気と診断されると、「いつ倒れるのだろう」という不安を抱える方が少なくありません。また、生活習慣を変えなければというプレッシャーや、家族に迷惑をかけているという思いから気持ちが沈むこともあります。こうした気持ちは自然なものです。ひとりで抱え込まず、家族や友人、医師・看護師などに話しましょう。必要に応じて、心の健康の専門家(臨床心理士など)のサポートも受けられます。つらい気持ちが続く場合は、地域の保健所や精神保健福祉センターに相談するという方法もあります。
予防
動脈硬化を完全に防ぐことは難しいですが、生活習慣を改善することで進行を遅らせ、合併症のリスクを大きく減らすことができます。禁煙・適度な運動・バランスのよい食事・健診による早期発見が何よりも大切です。
ワクチン
インフルエンザなどの感染症は、血管に炎症を起こし、心筋梗塞や脳卒中のきっかけになることがあります。心臓や血管の持病がある方は、かかりつけ医に相談のうえ、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種を検討してもよいでしょう。
検診プログラム
日本では、厚生労働省が行う「特定健診」で血圧・血糖・脂質のチェックが受けられます。40歳以上で生活習慣が気になる方は、職場や地域の健診を欠かさず受けましょう。動脈硬化の程度を知るには、医療機関で頸動脈エコーやABI検査を受けることもできます。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞(心臓の血管が詰まり、心筋が壊死する)
- 脳卒中(脳の血管が詰まる・破れる)
- 大動脈瘤破裂(大動脈の壁が破れて大量に出血し、命にかかわることがある)
- 閉塞性動脈硬化症(足の血管が細くなり、歩行困難や足の壊死に至る)
- 腎硬化症(腎臓の血管が障害され、腎機能が低下する)
長期的な見通し
動脈のトラブルは、早い段階で見つけて適切な治療を続けることで、多くの場合、進行を抑え、日常生活を安心して送ることができます。完治よりも「うまく付き合う」ことが目標です。焦らず、医師や家族と協力しながら、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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