アスベスト(石綿)と健康
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
アスベスト(石綿)は、天然に採れる繊維状の鉱物で、丈夫で熱に強いため、昔は建物の断熱材や耐火材などに広く使われていました。しかし、細かい繊維を吸い込むと、肺の病気を引き起こすことがあります。
重要な事実
- アスベストを吸い込んでから病気が現れるまでに、多くの場合は20~40年かかります。
- アスベストによる健康被害は、多くが仕事で長期間アスベストを扱った人に起こります。
- たばこを吸うと、アスベストによる肺がんのリスクが高くなります。
アスベストは日本では2006年から使用が原則禁止されました。アスベストが原因となる病気は、過去に長期間アスベストを扱った人を中心に見られますが、一般の人にはまれです。
建設作業、造船、アスベスト製品の製造・加工、メンテナンス作業などに長年携わった人に多く見られます。また、作業着を通して家族に繊維が持ち帰られ、家族が病気になることもあります。
症状
- 急に激しい胸の痛みがある
- 血の混じったたんが出る
- 急に息ができなくなる
- ⚠長く続くせきや息切れが悪化する
- ⚠原因がわからない体重減少が続く
一般的な症状
- 息切れ(特に動いたとき)
- 長く続くせき
- 胸の痛みや圧迫感
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
原因
主な原因
- アスベストの繊維を吸い込むこと
- 大気中に飛散したアスベストを長期間吸入すること
リスク要因
- 仕事でアスベストを扱う環境にいた
- 古い建物や配管の解体・改修作業に携わった
- たばこを吸う
- アスベストにさらされていた人の家庭で暮らしていた
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が苦しくなってきた
- 血の混じったたんが出る
- 胸の痛みが続く
定期受診を予約すべき場合:
- 過去にアスベストを扱ったことがあり、せきや息切れが気になる
- 健診で肺に異常を指摘された
診断
医師があなたの症状と、アスベストにさらされた可能性があるかどうかを詳しく尋ねます。そのうえで、必要な検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線検査(レントゲン)
- CT検査(コンピューター断層撮影)
- 呼吸機能検査(肺活量や息の吐き出す量を調べる検査)
- 血液検査
- 場合によっては、肺の組織を採取する検査(生検)
診察で予想されること
呼吸器の専門医を紹介され、病気の診断や今後の経過について説明を受けます。診断がつくまでに数週間かかることもありますが、焦らずに医師の説明を聞きましょう。
治療
アスベストによる病気そのものを完全に治す治療法はまだありませんが、症状を和らげ、進行を遅らせ、生活の質を保つための治療は数多くあります。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(喫煙者は医師に禁煙の相談を)
- 風邪やインフルエンザの予防接種を受ける
- 感染症を予防するため、手洗いをこまめに行う
- 息切れに合わせて、無理のない範囲で体を動かす
医療治療
病気の種類や重症度に合わせて、息苦しさを和らげる薬、酸素を吸入する在宅酸素療法、肺の機能を高める呼吸リハビリテーションなどが行われることがあります。がんの場合には、抗がん剤治療や放射線治療が行われることもありますが、どの治療を受けるかは医師と十分に話し合って決めます。
手術が検討される場合
肺がんや中皮腫の場合、病変が限られていて体調が良ければ、手術で取り除くことを検討することがあります。ただし、手術が適しているかどうかは、がんの進行度や体調、年齢などによって異なります。
この病気と共に生きる
呼吸が苦しくなったら無理をせず、休憩をこまめにとりましょう。体調の波に合わせて、活動を調整することが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 呼吸がしやすい姿勢を身につける(前かがみで腕を支えるなど)
- ほこりや煙を避ける
- 医師のすすめに従って、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを受ける
食事と運動
バランスの良い食事をとり、体力を維持しましょう。運動は医師の許可のもと、無理のない範囲で呼吸リハビリを取り入れると、息切れの改善に役立つことがあります。
精神的健康と心の健康
将来への不安や、病気とうまく付き合っていくストレスはとても大きなものです。つらい気持ちをひとりで抱え込まないで、家族や友人、かかりつけ医に話しましょう。
予防
アスベストを吸い込まないようにすることが、もっとも大切な予防です。現在は使用が禁止されており、古い建物の解体や改修では、適切な飛散防止対策が義務づけられています。過去にアスベストにさらされた可能性がある人は、定期的に健康状態をチェックしましょう。
ワクチン
アスベストそのものを予防するワクチンはありません。ただし、石綿による肺の病気を悪化させないために、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは接種がすすめられることがあります。
検診プログラム
石綿にさらされた可能性がある人には、定期的な健康診断と、医師による胸部のチェックがすすめられます。早期発見が治療の選択肢を広げることにつながる場合があります。
合併症
治療しない場合
- 肺の線維化が進行すると、息切れが悪化し、体を動かすのが難しくなる
- 肺がんや中皮腫(肺や胸膜などにできるがん)が発生・進行する
- 呼吸不全に至ることもある
長期的な見通し
アスベストによる病気と診断された場合でも、治療やリハビリ、生活の工夫によって症状を和らげ、活動的な生活を続けられる人は多くいます。専門医と一緒に、自分に合った管理方法を見つけていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.