石綿肺(アスベスト肺)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
石綿(アスベスト)という繊維状の鉱物を長い間にわたって吸い込むことで、肺の中に傷(線維化)ができて、肺がかたくなり、呼吸が苦しくなる慢性の病気です。
重要な事実
- 症状が出るまでに数十年かかることがあります。
- 主な原因は仕事場でのアスベスト吸入です。
- 喫煙は症状を悪化させ、肺がんなどのリスクも高めます。
- 現在のところ根本から治す治療法はありませんが、症状を和らげる治療や生活の工夫はあります。
石綿肺は、昔アスベストを大量に吸い込んだ人に見られる病気で、現在の日本では新しく発症する人は減っています。
主に建設作業、造船所、アスベスト製品の製造などに長年携わっていた人に多く、症状は数十年後に現れます。
症状
- 突然の激しい息切れや胸の痛みがある場合は、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
- 唇や顔色が青白い、または紫色になっている場合も救急車を呼んでください。
- ⚠ふだんの動作でひどく息切れする
- ⚠せきやたんが増えて息苦しい
- ⚠熱が出て具合が悪い
一般的な症状
- 息切れ(特に体を動かしたとき)
- 乾いたせき
- 胸の痛みや圧迫感
- 指の先が太くなる(ばち指)
子供の症状
- 子どもで石綿肺と診断されることはほとんどありません。アスベストにさらされた場合でも、症状が現れるのは多くの場合大人になってからです。
高齢者の症状
- 高齢者では加齢による呼吸機能の低下が重なり、息切れやせきが目立つことがあります。心臓や他の病気を抱えていると、症状が重く感じられることもあります。
原因
主な原因
- アスベスト(石綿)の繊維を長期間にわたって吸い込むこと(主に仕事で)
- 吸い込んだアスベスト繊維が肺の中で分解されずに残り、炎症や傷(線維化)を引き起こします。
リスク要因
- 建設現場や建物の解体作業
- 造船所やアスベスト工場での勤務
- アスベストを含む建材や製品を扱う仕事
- アスベストを使っていた作業場のそばで働く(二次暴露)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 階段を上るだけで息切れする
- せきやたんが長く続く
- 胸の痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- アスベストを扱った職歴があり、健康診断や呼吸のチェックを受けたい
診断
医師が仕事の歴史や症状を詳しく聞き、聴診器で肺の音を確認し、画像検査や呼吸機能検査を行って診断します。職場でのアスベスト暴露歴が重要な手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線検査
- CT検査(コンピューター断層撮影)
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
- 血液ガス検査(血液中の酸素量を調べる)
- 場合によっては気管支鏡検査
診察で予想されること
診断の流れは、まず医師の診察から始まります。仕事でアスベストに触れたことがあるかを必ず伝えましょう。検査はほとんど痛みを伴いません。結果が出るまでに時間がかかることもありますが、医師が丁寧に説明してくれます。
治療
石綿肺を根本から治す治療法はまだありませんが、症状をやわらげ、進行を遅らせ、生活の質を保つための治療が中心になります。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(喫煙は症状悪化や肺がんのリスクを高めます)
- インフルエンザや肺炎の予防接種を受ける
- ほこりや煙、有害な粉じんを避ける
- 呼吸リハビリテーションに取り組む
医療治療
医師は症状に応じて、気管支を広げる吸入薬、炎症を抑える薬、酸素吸入などを検討します。どの薬を使うかは患者さんごとに医師が判断します。肺炎などの感染症にかかった場合は、その治療も行われます。
手術が検討される場合
石綿肺そのものに対する手術は通常行われません。ただし、肺がんなど合併症が見つかった場合には、手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
症状に合わせて無理のないペースで生活しましょう。息切れしやすい動作を工夫し、休憩をこまめにとることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- アスベストを扱う作業では必ず防護マスクを着用する
- 室内の換気を良くし、ほこりをためない
- 口すぼめ呼吸など呼吸法の練習をする
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、医師と相談した上で適度な運動を行うと、呼吸の維持に役立ちます。ただし、激しい運動は避け、息切れがひどくなったらすぐに休みましょう。
精神的健康と心の健康
慢性の病気と一緒に暮らすことは、不安やストレスになることがあります。気分の落ち込みや不眠が続く場合は、ひとりで抱え込まずに医療者に相談しましょう。心のケアも治療の一部です。
予防
アスベストを吸い込まないことが最大の予防です。現在の日本ではアスベストの製造・使用は原則禁止されていますが、古い建物の解体現場などでは、防護マスクの着用など適切な対策が必要です。
ワクチン
石綿肺そのものを予防するワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンは呼吸器の感染症を防ぐ効果がありますので、主治医に相談して受けると良いでしょう。
検診プログラム
過去にアスベストにさらされた経験がある人は、定期的な健康診断(胸部X線検査や肺機能検査)が勧められます。職歴がある場合は、厚生労働省や自治体の検診制度を利用できることがあります。
合併症
治療しない場合
- 進行すると呼吸不全になり、酸素吸入が必要になることがあります
- 肺がんや中皮腫(まれながん)のリスクが高くなることがあります
- 別の呼吸器感染症にかかったときに重症化しやすくなります
長期的な見通し
石綿肺はゆっくり進行する病気ですが、人にうつることはありません。治療や生活の工夫で症状を抑え、進行を遅らせることは十分可能です。早期に診断して禁煙や感染予防などのケアを続けることで、長く快適に過ごせる可能性が高いといえます。焦らず、医療者と一緒に付き合っていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
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