不妊治療(体外受精・顕微授精)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
体外受精と顕微授精は、不妊に悩むカップルを対象とした生殖補助医療(ART)です。体外受精は、女性の体内で受精させる代わりに、体外で卵子と精子を一緒にして受精させます。顕微授精は、精子の数や動きに問題がある場合に、一つの精子を直接卵子に注入する方法です。どちらも専門の医療機関で行われます。
重要な事実
- 体外受精は、排卵誘発剤を使って複数の卵子を育て、採卵処置で卵子を採取し、シャーレ上で精子と受精させます。
- 顕微授精は、男性因子による不妊で行われることが多く、精子を針で卵子に直接注入します。
- 日本の厚生労働省は、体外受精などの治療費を助成する制度を設けており、自治体によっては独自の支援もあります。
- ARTで生まれる子どもは年々増えており、日本では全出生のおよそ5%にのぼるという報告もあります。
日本では不妊に悩む夫婦が増えており、体外受精・顕微授精は一般的な治療法となっています。厚生労働省の調査でも、生殖補助医療を受ける人は年間数十万人に上り、決して特別な治療ではありません。
主に、避妊をせずに1年以上妊娠しないカップルや、卵子・精子に問題がある方、また年齢的な要因で自然妊娠が難しいと診断された方が対象になります。男性側に原因がある場合も、顕微授精で妊娠を目指せる可能性があります。
症状
- 採卵や胚移植後に突然の強い腹痛、お腹の張り、吐き気、息苦しさが出た場合は、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の可能性があります。すぐに119番に連絡してください。
- 発熱や激しい痛み、出血が多い場合も緊急対応が必要です。
- ⚠軽いお腹の張りや体重増加、少しの吐き気がある場合は、同じ日に医師の診察を受けてください。
- ⚠胚移植後の体調変化で不安がある場合は、クリニックにすぐ連絡しましょう。
- ⚠治療中に血の混じったおりものや異常な痛みがあれば、早めに受診してください。
一般的な症状
- 治療前に検査が必要なサインは、避妊なしで1年以上妊娠しないことです。
- 月経周期が不規則、無月経、生理痛が重いなど排卵に影響する可能性のある症状。
- 男性側では、性機能の問題や精液検査で異常を指摘された場合。
子供の症状
- 子どもに関する症状はありません。ただし、ARTで妊娠した場合は、通常の妊娠と同様の管理が必要です。
高齢者の症状
- 加齢とともに卵子の数や質が低下するため、治療の前年齢に応じた相談が推奨されます。
原因
主な原因
- 体外受精・顕微授精が行われる原因となる不妊には、排卵障害(卵子が正常に育たない・出てこない)、男性因子(精子の数や運動率の低下)、卵管因子(卵管が詰まっている)、子宮因子、原因不明不妊などがあります。
リスク要因
- 年齢(特に女性は35歳以上、男性は40歳以上で妊娠率が下がる傾向があります)、喫煙、過度な飲酒、肥満や瘦せすぎ、過度なストレス、生殖器の感染症や手術歴などが不妊のリスクを高めます。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 採卵後や移植後に、急激な腹痛・お腹の張り・息苦しさ・頻尿・体重増加(2kg以上/日)がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 高熱や性器からの大量出血、意識障害のような症状があれば緊急です。
定期受診を予約すべき場合:
- 35歳未満で避妊なしの性交を1年以上続けても妊娠しない場合は、不妊専門外来に相談してください。
- 35歳以上の方や、月経不順・精液検査の異常が分かっている方は、1年を待たずに早めの受診が勧められます。
- ARTを具体的に検討している場合は、専門の医療機関で夫婦一緒に受診するとよいでしょう。
診断
ARTを始めるかどうかを決めるために、ご夫婦それぞれに不妊の原因を調べる検査を行います。女性は排卵、卵管、子宮、ホルモンの状態を、男性は精液検査で精子の数と運動率を確認します。
行われる可能性のある検査
- 女性:基礎体温測定、月経周期のホルモン検査、経腟超音波検査、子宮卵管造影検査
- 男性:精液検査(精子濃度・運動率・形態)、ホルモン検査、場合によっては遺伝子検査
- ご夫婦:感染症スクリーニング、血液型・抗体検査
診察で予想されること
診察と検査は通常、外来で行われ、結果によって体外受精にするか顕微授精にするかを医師が説明します。検査には数週間かかることがあります。結果をもとに、治療のスケジュールや費用、成功率について詳しい説明を受けられます。
治療
体外受精と顕微授精は、不妊の原因に合わせて選択される生殖医療です。一般的な流れは、(1)卵子を育てるための薬を使う、(2)卵子を採取する、(3)体外で受精させる、(4)受精した胚を育てる、(5)子宮に胚を戻す、という段階です。顕微授精は、精子が少ない・動きが弱い場合に、一つの精子を直接卵子に入れる方法です。
自宅でのセルフケア
- 治療期間中は、体を冷やしすぎないようにし、十分な睡眠をとりましょう。
- 喫煙と飲酒は治療の効果を下げるため、禁煙・節酒を心がけてください。
- ストレスをため込まず、パートナーや周囲と話し合う時間を持ちましょう。
- 医師に相談せずに、市販のサプリメントを自己判断で服用しないでください。
医療治療
ARTでは、排卵誘発を促す薬やホルモン剤を医師の処方に従って使用します。採卵時は鎮静剤や麻酔を用いる場合があります。胚移植後は黄体ホルモンを補充する薬が用いられることもありますが、すべて医師の管理のもとで行われます。薬の名前や量は必ず医療者に確認し、自己判断で変更しないでください。
手術が検討される場合
採卵や胚移植は針やカテーテルを使う処置ですが、腹腔鏡手術が必要になる場合は、子宮筋腫や子宮内膜症など、ほかに原因がある場合です。治療前に医師が手術の必要性を説明します。
この病気と共に生きる
ARTは通院しながら治療を進めるため、仕事や家事との両立が課題になることがあります。周期に合わせて通院が増える時期を予想して、職場や家族に理解を求めておくとよいでしょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活と十分な睡眠を心がけ、疲れをためないようにしましょう。
- 禁煙・節酒を徹底し、カフェインのとりすぎに注意しましょう。
- パートナーと二人三脚で治療に取り組む姿勢が大切です。
食事と運動
バランスのよい食事を基本とし、特に葉酸(緑黄色野菜やレバーに含まれる)を十分にとることを勧められます。適度な運動(ウォーキングなど)は血流を良くしストレス解消にも役立ちますが、激しい運動は避けたほうがよい場合があります。
精神的健康と心の健康
不妊治療は結果が出るまでの長い道のりで、不安や焦り、孤独感を感じることもあります。気持ちの浮き沈みは自然なことです。気持ちを抑え込まず、パートナーや専門のカウンセラーに話してみましょう。
予防
すべての不妊を予防できるわけではありませんが、生活習慣を整え、性感染症を予防し、年齢に応じて早めに受診することで、ARTが必要になる可能性を下げられる場合があります。
検診プログラム
妊活を始める前の健康診断や、風疹などの抗体検査、性感染症の検査を受けておくことが勧められます。
合併症
治療しない場合
- 不妊の原因を放置すると、自然妊娠の可能性が低いまま時間が経つ可能性があります。
- 女性では加齢によって卵子の質がさらに低下するため、早期に相談しないと治療の成功率が下がることがあります。
- 男性側の原因(精子無力症など)が隠れている場合は、原因が分からないままストレスを抱えることになります。
長期的な見通し
ARTは万能ではありませんが、医学の進歩により成績は向上しています。治療を始める年齢や原因によって成功率は異なりますが、適切な医療機関で繰り返し治療することで、多くのカップルが子どもを迎えることができています。希望を持って、医師と二人三脚で進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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