喘息(ぜんそく)とあなたの職場
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
喘息は、肺の中の空気の通り道(気管支)が炎症を起こし、せきや息苦しさなどが現れる病気です。気管支が敏感になっているため、職場のほこりや化学物質、強い匂い、温度変化などの刺激がきっかけで発作が起こることがあります。治療を続ければ、働きながらコントロールできる病気です。
重要な事実
- 喘息は、きちんと治療を続ければ、仕事をしながらでも十分にコントロールできる病気です。
- 職場のほこりや化学物質、強い匂いなどが症状のきっかけになることがよくあります。
- 厚生労働省は、働く人の健康を守るために職場の空気環境や換気について基準を定めています。
日本では、成人の約10人に1人が喘息を持つと言われています。働く世代にも少なくない病気です。
子どもにも大人にも多く見られます。成人の喘息は特に20代から40代の働き盛りで診斷されることが多く、職場環境が症状に影響することがあります。
症状
- 息をしても十分に吸えず、話すこともできない
- 唇や爪の色が青紫色になっている
- 額や首に力を入れないと息を吐けないほど苦しい
- 今すぐ助けが必要だと感じる強い発作
- ⚠発作がおさまらず、ふだん処方されている薬を使っても改善しない
- ⚠夜間にせきや息苦しさで目が覚めることが何度もある
- ⚠仕事や家事の動作で息切れがひどくなっている
- ⚠喘息の症状が原因で仕事を休みがちになっている
一般的な症状
- せき(特に夜や朝方に出やすい)
- 息苦しさ
- ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸の音
- 胸が締め付けられるような感じ
- たんがからむ
子供の症状
- 夜にせきが続く
- 走ったり遊んだりするとせきや息苦しさが出る
- 呼吸のときに肋骨の下がへこむ(ひきこみ)
高齢者の症状
- 息切れが年のせいだと考えられ、気づかれにくい
- 息苦しさを感じにくく、症状が軽いと思い込むことがある
- ほかの持病があり、症状を混同しやすい
原因
主な原因
- 職場で吸い込むほこり、木くず、金属粉
- 塗料、接着剤、殺虫剤などの化学物質の蒸気
- 香水や化粧品、洗剤など香りの強いもの
- タバコの煙(受動喫煙)
- 冷たい空気や急な温度変化
- 精神的なストレスや長い時間の過重労働
リスク要因
- アレルギー体質(花粉、ダニ、ペットなど)
- 家族に喘息やアレルギーの病気がある
- 本人が喫煙している、またはまわりに喫煙者がいる
- 職場の換気が悪い
- 運動をすることでせきや息苦しさが出やすい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発作がふえていて、自分の薬では効かない
- せきや息苦しさで何夜も眠れない
- 仕事を休む回数がふえている
定期受診を予約すべき場合:
- 職場でせきや息苦しさを感じるが、どう対処すればよいかわからない
- 喘息と診断されたが、仕事と両立できるか不安がある
- 症状が落ち着いていても、年に1回の定期受診をする
診断
医師があなたの症状や職場での過ごし方を詳しく聞き、聴診器で呼吸の音を確認します。その上で、肺の働きを調べる呼吸機能検査などを行い、喘息の可能性を評価します。
行われる可能性のある検査
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
- ピークフロー測定(毎日息を強く吐く力を測る)
- アレルギー検査(血液など)
- 胸部レントゲン検査(ほかの病気を確認するため)
診察で予想されること
受診の日は、気になっている症状と、職場での仕事内容、症状が出た時間をメモに書いていくとよいです。検査は短い時間でおわり、体に負担はほとんどありません。結果に基づいて治療計画を一緒に立てます。
治療
治療の柱は、気管支の炎症を抑えて発作が起きにくい状態にすることです。おもに吸入タイプの薬を使いますが、一人ひとりの症状や生活に合わせて、医師があなたと話し合いながら決めていきます。
自宅でのセルフケア
- 職場ではマスクや換気などで刺激物を避ける工夫をする
- 手や顔を洗って、ほこりや化学物質を体に残さない
- 症状が出た時間や場所をメモに残す
- 休憩中に深呼吸をしてリラックスする
医療治療
吸入薬が中心です。気管支を広げて呼吸を楽にする薬と、炎症を鎮める薬があります。症状が続く場合には、毎日使う予防的な吸入薬を組み合わせながら経過を見ます。薬は必ず医師の指示どおりに使い、自己判断で止めないことが大切です。
手術が検討される場合
喘息そのものに対して手術が必要になることは、ほとんどありません。治療の中心は薬物療法と、職場環境を含めた生活環境の調整です。
この病気と共に生きる
職場では自分の状態を上司や同僚に伝え、必要な配慮を求めましょう。たとえば、換気をよくする、作業場所の掃除をふやす、マスク着用を許可してもらうといった工夫が役立ちます。産業医や保健師がいる職場なら、その人たちにも相談しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙し、家族や同僚にも室内での喫煙を避けてもらう
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスを発散する時間を作る
- 職場の換気・掃除・湿度調整など環境づくりを働きかける
- 症状が安定していて医師が許可した場合、適度な運動を続ける
食事と運動
喘息に特別に効く食事はありませんが、バランスの良い食事は免疫力や体力を保つ支えになります。運動は肺をきたえますが、運動中にせきや息苦しさが出る場合は、無理をせず医師に相談しながら進めましょう。
精神的健康と心の健康
喘息は、いつ発作が起きるかわからない不安や仕事への影響から、ストレスを感じることがあります。また、ストレスそのものが喘息を悪化させることもあります。気分がふさぐときは、家族や友人、職場の相談窓口、医師に話すことが助けになります。
予防
喘息そのものを完全に予防する方法はまだありません。しかし、職場の刺激物を避けて治療を続ければ、発作の多くは予防できます。職場の環境は上司や人事と話し合って改善することが可能です。
ワクチン
インフルエンザや一部の肺炎は喘息を悪化させるきっかけになります。予防接種が喘息の悪化を防ぐのに役立つことがあるため、自分に合うかどうか医師に相談しましょう。
検診プログラム
職場の定期健康診断で呼吸機能検査が行われることがあります。自覚症状がなくても検査の結果に異常があれば、早めに医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 症状が悪化し、繰り返す発作で仕事や家事の能率が落ちる
- 夜間の発作で睡眠不足が続き、疲労が重なる
- 重度の発作で救急受診が必要になる
- 長く炎症が続くと、気道に永続的な変化がおこることがある
長期的な見通し
喘息は、適切な治療と環境の調整で、多くの人が安定した状態を保ち、仕事を続けられます。職場とあなたの体にとって望ましい環境は必ず見つけられます。希望を持ちながら、かかりつけ医と一緒に工夫を続けていきましょう。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月14日
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