喘息(ぜんそく)の治療法ガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
喘息は、気管支などの空気の通り道に炎症が起こり、周りの筋肉が縮んだり、内側がむくんだりして、せきや息苦しさが発作的に出る慢性的な病気です。
重要な事実
- 喘息は治らない病気ではなく、適切な治療で症状をコントロールできます。
- 治療は『発作を防ぐ長期管理薬』と『発作を早く治す発作の薬』の2種類が中心です。
- 主治医と一緒に作る『ぜんそく計画書(アクションプラン)』が安全な日常生活の鍵になります。
喘息はとても一般的な病気で、日本では約10人に1人が経験すると考えられています。子どもにも大人にも見られ、小児期に診断されることも多い病気です。
喘息はどの年齢でも起こりえます。特に、子どもの頃に発症しやすい一方で、大人になってから初めて症状が出る方や、小児期の喘息が再び出る方もいます。
症状
- 息ができず、話すことも難しい(すぐに119番へ)
- 唇や爪が青紫色になる(すぐに119番へ)
- 意識がもうろうとしている(すぐに119番へ)
- 発作の薬を吸っても症状が改善せず、息が苦しい(すぐに119番へ)
- ⚠発作が増えて、夜間もせきや息苦しさで目が覚める
- ⚠発作の薬を使っても効き目が短く、何度も使う
- ⚠せきや息苦しさで学校や仕事に行けない
- ⚠自分で管理するのが難しく、家族が不安になっている
一般的な症状
- 夜間や早朝に起こりやすいせき
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音
- 息苦しさや胸の締め付け感
- 運動や笑ったときにせきや息切れが出る
子供の症状
- 遊ぶのを嫌がる、すぐ疲れて休む
- 笑ったときや泣いたときにせき込む
- 夜中にせきで目が覚める
- 胸や肋骨の下がぺこぺこと動く(呼吸が苦しそう)
高齢者の症状
- 階段や坂道で以前より息切れする
- せきが長引く、痰がからむ
- 元気がない、疲れやすい
- 動くと息苦しくなるため活動が減る
原因
主な原因
- アレルギー反応(ダニ、花粉、ペットの毛など)によって気道が炎症を起こす
- 風邪やインフルエンザなどのウイルス感染が引き金になる
- タバコの煙、冷たい空気、運動、ストレスなどで気道が刺激される
- 過労や体調不良など、体のバランスが崩れると症状が出やすくなる
リスク要因
- 家族にぜんそくやアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患がある
- 本人がアレルギー体質(アトピー素因)である
- タバコの煙を吸う環境(受動喫煙)にいる
- 幼児期に気管支炎や肺炎など呼吸器の感染症を繰り返した
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発作が治まらない、息苦しさが強くなる
- 処方された発作の薬を吸っても効果が短い、または効かない
- 夜間や早朝に症状で目が覚めることが続く
- せきが止まらず、胸の痛みや圧迫感を伴う
定期受診を予約すべき場合:
- せきが数週間以上続いている
- 風邪のあとにせきやぜんそくらしき症状が繰り返す
- 運動や季節の変わり目に症状が出やすい
- 吸入薬の使い方に自信がない、見直したい
診断
医師が症状の話を聞き、体の診察をしたうえで、呼吸機能を測る検査などを組み合わせて診断します。
行われる可能性のある検査
- スパイロメトリー:大きく息を吸って、できるだけ強く早く吐く力を測る検査
- ピークフロー検査:毎朝、息を強く吐いて、気道が狭くなっていないかを数値で確かめる検査
- アレルギー検査:血液検査などでダニや花粉に対するアレルギーがないかを調べる検査
- 呼気NO検査:息に含まれる物質を測り、気道の炎症の程度を調べる検査
診察で予想されること
検査は、姿勢を整えて、機械の管を口にくわえて深呼吸するだけなので、体に痛みはありません。少し息をうまく吐く練習が必要なことがありますが、検査技師や看護師が一つずつ説明します。
治療
喘息の治療は、『症状を起こさないようにする長期管理』と『起こってしまった発作を速やかに止める対症治療』の二本柱で進みます。吸入薬(スプレー式や粉薬式)が中心で、日本でも厚生労働省や呼吸器疾患の学会が示す治療指針に沿って、個々の症状や重症度に応じて組み合わせを調整します。
自宅でのセルフケア
- 主治医が渡した『ぜんそく計画書』を家族と共有し、対応を決めておく
- 毎日の体調とピークフロー値を記録する
- タバコの煙を避ける(家族の禁煙もお願いしましょう)
- 掃除と換気をして、ほこりやカビ、花粉を減らす
- マスクやうがいで感染予防を心がける
- せきや息苦しさが出たら、無理をせず早めに休む
医療治療
治療は、毎日使って気道の炎症を抑える『長期管理薬』と、発作を感じたときに一時的に気道を広げる『発作治療薬』の2つが基本です。長期管理薬として、吸入ステロイド薬(気道の炎症を抑える薬)が広く使われます。発作治療薬には、気道の筋肉を素早く広げて息苦しさを和らげる気管支拡張薬があります。そのほか、アレルギーが強い場合は、アレルギーを抑える治療や、症状に応じて飲み薬を併用することもあります。どの薬も、医師の指示に従って正しい吸入方法で使うことが最も大切です。
手術が検討される場合
重症で日常生活に支障があり、通常の治療だけでは改善しない場合に、専門病院で気道への処置(温熱療法など)が検討されることがあります。ただし、これは一般的な治療ではなく、まずは主治医との十分な相談と専門的な評価が必要です。
この病気と共に生きる
毎日を安心して過ごすためには、朝晩の呼吸の状態やピークフロー値を記録し、自分の症状の波を把握することが役立ちます。調子がいい日も治療を続け、『何が発作の引き金になるか』を意識しておきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙、そして家族や周囲の人の受動喫煙を避ける
- 寝室やリビングをこまめに掃除し、寝具を清潔にする
- 温度差を減らす工夫をする(部屋の温度を一定に、のどを冷やさない)
- 規則正しい睡眠と休息を心がける
- ストレスをためないように、趣味や気分転換の時間を持つ
食事と運動
栄養バランスのとれた食事を心がけ、食べすぎに注意しましょう。運動は、水分補給と入念なウォームアップを行えば可能なことが多いです。特に水泳は喘息の方にすすめられることがありますが、運動の種類や強さは主治医と相談して決めるのが安心です。
精神的健康と心の健康
喘息の症状は『また発作が起きたらどうしよう』という不安やストレスを生むことがあります。気分が落ち込んだり、睡眠が不調になったりしたら、それは主治医や医療スタッフに伝えてください。心のケアが必要な場合、適切な支援に繋ぐこともできます。
予防
喘息そのものを完全に予防する方法はありませんが、適切な治療を継続し、発作の誘因(タバコの煙、花粉、ダニ、風邪など)を減らすことで、症状が出るのを防ぐことができます。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌など、予防接種が喘息の悪化を防ぐために勧められることがあります。予防接種を受ける際は、自分の喘息の状態を医師に伝えましょう。
検診プログラム
特別な集団検診は一般的ではありませんが、長引くせきや息切れを感じる場合は、早めに医療機関を受診し呼吸機能検査など受けることが勧められます。
合併症
治療しない場合
- 発作を繰り返して気道が傷つき、元に戻りにくくなる
- 入院が必要な重度の発作(呼吸不全)のリスクが高まる
- 日常生活、仕事、学業への影響が大きくなる
- 睡眠不足や活動制限によって、気分が落ち込みやすくなる
長期的な見通し
喘息は『うまく付き合っていく』ことを学べば、多くの人が運動や旅行を楽しめるようになります。治療の目標は『つらい症状をなくし、普段通りの生活を送ること』。医師と一緒に、あなたに合った治療を見つけることができるので、希望を持って取り組みましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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