失調性脳性麻痺とは?~バランスと運動のサポートガイド~
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
失調性脳性麻痺(しっちょうせい のうせい まひ)は、赤ちゃんの脳が発達する時期に何らかの原因で傷つき、体のバランスを保ったり、スムーズに動かしたりすることが難しくなる障害です。完全にまひするわけではなく、動きがぎこちない、ふらつく、震えるなどの症状が特徴です。
重要な事実
- 出生前から生後にかけて、脳に傷ができることで起こります。
- 時間がたって悪化する病気ではありませんが、生涯にわたって症状は続きます。
- 症状には個人差が大きく、軽い人から日常生活に支援が必要な人までさまざまです。
- リハビリや福祉サービスを組み合わせることで、生活のしやすさを大きく向上できます。
脳性麻痺は約1000人に1〜2人の割合で見られます。その中で失調性は比較的まれなタイプで、脳性麻痺全体のおよそ5〜10%とされています。
男女を問わず発症します。多くはおなかの中にいる間に原因が起こり、早産や低出生体重の赤ちゃんにやや多いという報告があります。
症状
- 突然、意識がもうろうとする
- 片側の手足が動かせなくなる、力が入らない
- 激しい頭痛や嘔吐が続く
- けいれんが5分以上続く
- ⚠転んで強い痛みや腫れがある
- ⚠飲み込むことが急に難しくなり、水分もとれない
- ⚠38度以上の熱が続く
- ⚠傷口が腫れて化膿している
一般的な症状
- 歩くときによろつく、フラフラする
- 手足がプルプル震える(ふるえ)
- 細かい手作業が苦手(ボタンかけ、はさみを使う、絵を描くなど)
- 話し方がゆっくりで、言葉がはっきりしない
子供の症状
- 歩き始める時期がほかの子より遅い
- つかまり立ちのときに、体がぐらぐらして転びやすい
- おもちゃをうまく握れず、落としやすい
- 食べ物を飲み込みにくく、よだれが多い
原因
主な原因
- 妊娠中の感染症(風疹など)や酸素不足
- 早産や低出生体重で未熟な脳へのダメージ
- 出産時のトラブル(仮死状態など)
- 産後すぐの重症黄疸や脳の感染症
リスク要因
- 妊娠中の喫煙や飲酒
- 多胎妊娠(双子など)
- 胎児の発育が遅れて生まれる
- 母親が妊娠中にけいれん性疾患などの重い病気を抱えている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けいれんを起こしてしばらく呼びかけに反応しない
- 頭を強く打ってぐったりしている
- 急にろれつが回らなくなった
定期受診を予約すべき場合:
- 歩き始めやハイハイの仕方がとてもゆっくりだと感じる
- 手のふるえや動きのぎこちなさが気になる
- 学校や保育園で転びやすい、運動が苦手と指摘された
- 療育(発達の支援)やリハビリを受けたい
診断
失調性脳性麻痺の診断は、小児神経科や発達外来の医師が、赤ちゃんの動き方・姿勢・発達の様子を丁寧に診て行います。その際、脳の画像検査(MRIなど)や聴覚・視覚の検査を行い、ほかの病気でないことを確認します。
行われる可能性のある検査
- 運動発達の評価(寝返り、ハイハイ、歩行の様子)
- 神経学的診察(反射、筋の緊張、バランスの確認)
- 頭部MRI・CTなどの画像検査によって、脳の損傷部位を確認
- 目や耳の検査(視覚・聴覚の障害の有無)
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。乳児期は動きがまだ未熟なため、はっきり診断するまで数か月〜1年以上の経過観察が必要になることもあります。医師は「思ったように動かない」理由を、焦らず少しずつ確認していきます。
治療
現在のところ、失調性脳性麻痺そのものを治す薬や治療法はありません。中心となるのは、理学療法・作業療法・言語療法などのリハビリテーションと、日常生活での動作のくふうです。目標は「症状をなくすこと」ではなく、「その人らしい生活をやりやすくすること」です。
自宅でのセルフケア
- 家の中の段差をなくし、手すりを付ける
- 床にマットを敷き、転倒時のケガを防ぐ
- 服はマジックテープやゴムを使った着やすいものを選ぶ
- 食事は無理のない姿勢で、ゆっくりと行う
- 疲れを感じたら十分に休む
医療治療
症状に応じて、筋肉の緊張をやわらげる薬や、ふるえを軽くする薬が使われることがあります。ただし、薬は合う合わないがあり、必ず医師の診察と指導のもとで使用します。自己判断で市販薬を使うのは避けてください。
手術が検討される場合
筋肉や関節の強いこわばりや変形のために、立つ・歩く・座るなどの動作に支障がある場合は、整形外科での手術(筋肉や腱の延長など)が検討されることがあります。手術はリハビリと組み合わせて計画的に行われます。
この病気と共に生きる
失調性脳性麻痺があっても、多くの人は学校に通い、働き、地域で生活できます。実際の暮らしのしやすさは、住まいの環境や周囲の手助け、そして本人のペースを大切にできるどうかにかかっています。
生活習慣のアドバイス
- 毎日、無理のない範囲で体を動かす習慣をつくる
- 福祉用具(歩行器、車椅子、自助具)を上手に使う
- 睡眠をしっかりとり、体の疲れをためない
- 悩み事は一人で抱えず、家族や支援者に話す
食事と運動
食べ物は、飲み込みやすさに合わせて刻む・軟らかく煮るなどの調整をすると、誤嚥(えん)のリスクを減らせます。運動は、水中歩行やこぎ車式の自転車など、バランスを崩しにくい種目が安全です。理学療法士にアドバイスをもらいながら行うのがよいでしょう。
精神的健康と心の健康
自分の体が「思い通りに動かせない」もどかしさや、周囲との違いに悩むことは自然な気持ちです。また、家族も長期的なケアで疲れや不安を感じることがあります。気持ちのサポートは、心の健康のためにとても大切な一歩です。
予防
失調性脳性麻痺のすべてを予防することはできませんが、妊娠中にバランスの良い食事を心がけ、禁煙・禁酒を守ることで、早産や低出生体重のリスクを減らすことができます。また、妊娠中の感染症に注意し、体調の変化を早めに医師に相談しましょう。
ワクチン
妊娠中の風疹は赤ちゃんの脳に影響を与えることがあるため、妊娠する前に風疹の予防接種を済ませておくことがすすめられます。お子さんには、定期予防接種をきちんと受けることで、感染症による脳症などのリスクを減らせます。
検診プログラム
脳性麻痺を予防するための特別な出生前検査はありませんが、母子健康手帳の健診や、小児科での発達の確認をこまめに受けることで、早期に気づき、早めの支援につなげられます。
合併症
治療しない場合
- 転倒による骨折や頭部打撲
- 姿勢のくずれによる関節の変形
- 飲み込みにくさによる肺炎(誤嚥性肺炎)
- 運動不足による肥満・体力低下・骨密度の低下
長期的な見通し
失調性脳性麻痺は進行する病気ではありません。適切なリハビリや福祉サービスを利用すれば、自信をもって生活できる範囲は確実に広がります。ひとりひとりのペースを大切にする周囲の理解が、最も力になるものです。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月14日
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