動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
動脈硬化は、血管の内側にコレステロールなどの脂肪のかたまり(プラーク)がたまり、血管が硬くなったり狭くなったりする状態です。血管が狭くなると、心臓や脳などの大切な臓器に十分な血液が届かなくなることがあります。
重要な事実
- 動脈硬化は長い年月をかけてゆっくり進み、初期にはほとんど自覚症状がありません。
- 喫煙・高血圧・糖尿病・脂質異常症などがあると進行が速くなります。
- 健康的な生活習慣で進行を遅らせたり、予防したりすることができます。
とても一般的な状態で、加齢とともに誰にでもある程度進みます。日本では40歳以上の多くの方が、動脈硬化のリスク要因を1つ以上持っていると考えられています。
中年以降に多く見られますが、血管の変化自体は若い時期から始まります。男性では40代以降、女性では閉経後にリスクが高まります。喫煙習慣や生活習慣病がある場合は、より若い年齢でも進行することがあります。
症状
- 突然の強い胸の痛みや圧迫感
- 激しい息苦しさ・呼吸困難
- 意識を失う・倒れる
- 顔や手足の片側の麻痺・しびれ
- 言葉が話しにくい・ろれつが回らない
- 片目の視力が急に落ちる
- ⚠胸の痛みが繰り返す、または数分以上続く
- ⚠安静にしても良くならない息切れ
- ⚠足の痛みやしびれ、足の色が変わる、冷感がある
- ⚠日常生活に支障をきたすような症状がある
一般的な症状
- 自覚症状がないことが多い
- 胸を締め付けられるような痛みや圧迫感
- 歩くと足が痛くなり、休むと楽になる
- 階段や坂道で息切れがする
- めまいやふらつき
子供の症状
- 子どもではほとんど症状が現れません。
- 小児期から動脈硬化の進行が始まることはありますが、通常は検査や健康診断で指摘されるまで気づきません。
高齢者の症状
- 高齢者では症状が現れにくく、疲れやすさや活動量の低下として気づくことがあります。
- 認知機能の変化や、足の血流低下による歩行困難として現れることもあります。
原因
主な原因
- 血管の内側が傷つくことから始まります。高血圧・喫煙・高血糖・脂質異常症などが血管を傷つける原因になります。
- 傷ついた部分にコレステロールや脂肪、カルシウムなどがたまり、プラーク(かたまり)が形成されます。
- プラークが大きくなると血管が狭くなったり、プラークが破れて血栓ができ、血管を完全にふさいでしまうことがあります。
リスク要因
- 脂質異常症(悪玉コレステロールの高値など)
- 肥満・メタボリックシンドローム
- 運動不足
- 家族に心臓病・脳卒中・動脈硬化の人がいる
- ストレスが多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の胸の痛みや圧迫感がある
- 片側の手足が動かせない、またはしびれがある
- 言葉が話しにくい、ろれつが回らない
- 強い息苦しさがある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血圧・血糖・コレステロールの値を指摘された
- 家族に心筋梗塞や脳卒中になった人がいる
- 胸の痛みや歩行時の足の痛みを何度か感じたことがある
診断
医師が病歴や症状を聞き、診察と検査を行います。血液検査や血圧測定に加えて、血管の状態を調べる画像検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定
- 血液検査(脂質・血糖・腎機能など)
- 頸動脈エコー(超音波で首の動脈を見る検査)
- 足首と上腕の血圧比を調べるABI検査
- CT・MRI検査
- 血管造影検査
診察で予想されること
検査の多くは体に負担の少ないものです。結果にもとづいて、医師と一緒に今後の生活習慣や治療方針を決めていきます。不安なことがあれば、検査の前に遠慮なく質問しましょう。
治療
治療の目標は、動脈硬化の進行を抑え、心筋梗塞や脳卒中などの重い出来事を防ぐことです。生活習慣の改善が基本となり、必要に応じて薬物治療や処置が行われます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する
- バランスの良い食事を続ける
- 週に数回の有酸素運動を心がける
- 適切な体重を保つ
- ストレスをためない
- 飲酒は適量にする
- 処方された薬は指示通りに飲む
医療治療
血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬、血液を固まりにくくする薬などが、状態に合わせて処方されます。これらの薬は医師の指示に従って正しく使うことが大切です。自己判断でやめたり、量を変えたりしてはいけません。
手術が検討される場合
血管が強く狭くなったり閉塞したりした場合は、細い管を使うカテーテル治療で風船を膨らませて血管を広げる方法や、別の血管を橋渡しするバイパス手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
動脈硬化は慢性的な状態ですが、生活習慣の改善と適切な治療を続ければ進行を遅らせることができ、多くの人が普段通りの生活を送れます。症状が出たときにどうするか、あらかじめ医師と確認しておきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 定期的に診察を受ける
- 処方された薬を忘れずに飲む
- 血圧や体重を自分でも記録する
- 急な胸痛や息切れが起こったときの対処法を家族と共有しておく
食事と運動
野菜や果物、魚を多く取り、塩分と肉の脂身やバターなどの飽和脂肪酸を控えめにしましょう。運動は医師に相談しながら、1日30分ほどのウォーキングなど無理のない範囲で続けることがすすめられます。
精神的健康と心の健康
心筋梗塞や脳卒中への不安が強くなることがあります。不安やストレスは血圧や心臓の負担を増やすため、自分に合ったリラックス方法を見つけることも大切です。必要に応じて、医師やカウンセラーに相談してください。
予防
動脈硬化は完全に防ぐことは難しくても、健康的な生活習慣によって進行を遅らせ、心筋梗塞や脳卒中などの重い病気を予防することができます。特に禁煙と適度な運動、食生活の改善は大きな効果があります。
検診プログラム
日本では40歳以上を対象に特定健診(メタボリックシンドロームに着目した健診)が行われ、血圧・血糖・脂質などをチェックできます。年に1回は健診を受けて、自分の数値を把握しましょう。
合併症
治療しない場合
- 心筋梗塞(心臓の血管が詰まる)
- 脳卒中(脳の血管が詰まる・破れる)
- 末梢動脈疾患(足などへの血流が悪くなる)
- 大動脈瘤(大動脈の一部が膨らむ)
- 腎動脈の狭窄による腎機能低下
長期的な見通し
動脈硬化は加齢とともに進みますが、適切な治療と生活管理によって、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を大きく減らせる時代になりました。医師と一緒に長く付き合っていける病気であり、前向きに管理することが大切です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。