Atopic eczema in adults
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
アトピー性皮膚炎(アトピーせいひふえん)は、皮膚が乾燥しやすく、かゆみを伴う湿疹(しっしん)が繰り返し現れる慢性的な皮膚の病気です。アトピーという言葉は、アレルギーを起こしやすい体質を意味します。湿疹は、皮膚が赤くなったり、小さな水ぶくれができたり、かさかさになったりする状態です。
重要な事実
- アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質が関係していると考えられています。
- 湿疹は、かゆみが強く、掻くことで悪化するサイクルがあります。
- 適切なスキンケアと治療で症状をコントロールできます。
はい、アトピー性皮膚炎は日本でもよく見られる病気です。厚生労働省の調査によると、成人の約3%が経験するとされています。
子どもに多いですが、大人になってから発症する方や、子どもの頃の症状が大人になっても続く方もいます。特に20代から40代の女性にやや多い傾向があります。
症状
- 突然の激しいかゆみや湿疹に加えて、呼吸が苦しい、唇やまぶたが腫れるなど、アナフィラキシー(全身のアレルギー反応)の兆候がある場合(すぐに119番通報)
- ⚠湿疹の部分が広範囲に膿(うみ)をもち、熱が出た(感染の可能性)
- ⚠かゆみが非常に強く、眠れない、日常生活に支障が出ている
- ⚠湿疹が急に悪化して広がった
一般的な症状
- 皮膚が乾燥してかさかさする
- 強いかゆみがある
- 赤い湿疹(赤みやブツブツ)
- 湿疹が繰り返し現れたり消えたりする
- 皮膚が厚くなったり(苔癬化)ひび割れたりする
子供の症状
- 顔や頭皮、手足の関節の内側(ひじの内側やひざの裏)に湿疹が出やすい
- かゆみが強く、夜間に多く掻いてしまう
- 皮膚が感染しやすい(黄色いかさぶたができることも)
高齢者の症状
- 湿疹が全身に広がることがある
- 乾燥が強く、かゆみも長引く傾向がある
- 皮膚が薄くなりやすいため、掻き傷が治りにくい
原因
主な原因
- アレルギー体質(アトピー素因)が遺伝的な要因として関係している
- 皮膚のバリア機能が弱く、刺激やアレルゲン(アレルギーの原因物質)が入りやすい
- 免疫の働きが過剰になり、炎症が起こりやすい
リスク要因
- 家族にアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患(ぜんそく、花粉症など)を持つ人がいる
- 乾燥した環境や、気温・湿度の急な変化
- ダニやホコリ、ペットの毛などのアレルゲンにさらされる
- ストレスや疲れ
- 間違ったスキンケア(強い石けんを使いすぎるなど)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 湿疹が広範囲に広がり、痛みや熱を伴う
- 掻いたところが化膿(かノう)して、黄色いかさぶたやジュクジュクした部分がある
- かゆみで眠れない、または仕事や家事に支障が出ている
定期受診を予約すべき場合:
- 繰り返す湿疹で気になる
- 市販の保湿剤を使っても改善しない
- 症状が年に数回以上現れる
- 湿疹が治ってもすぐに再発する
診断
医師が皮膚の状態を診察し、症状の経過や家族のアレルギー歴などを聞いて診断します。特別な検査が必要になることもあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(アレルギーの原因となる免疫グロブリンEという物質の値を調べる)
- アレルゲン検査(血液または皮膚に少量のアレルゲンを付けて反応をみる)
- 皮膚のバリア機能を調べる検査(必要に応じて)
診察で予想されること
診断は通常、皮膚科で行われます。問診では、いつから症状があるか、どのような時に悪化するか、家族にアレルギー疾患の人がいるかなどを聞かれます。医師は湿疹の場所や見た目を詳しく観察します。必要に応じてアレルギー検査が行われることもあります。
治療
治療の基本は、皮膚のバリア機能を保つスキンケアと、湿疹やかゆみを抑える薬を使うことです。症状に合わせて段階的に治療します。
自宅でのセルフケア
- 保湿剤を毎日塗って、皮膚を乾燥から守る
- 刺激の少ない石けんを使い、ぬるま湯でやさしく洗う
- 爪を短く切り、掻きすぎないように注意する
- 綿の衣類を選び、肌に直接あたる素材に気を配る
- 部屋の湿度を50〜60%に保つ
医療治療
医師は、炎症を抑える外用薬(塗り薬)として、ステロイドや非ステロイドの抗炎症薬を処方することがあります。かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬(アレルギー症状を和らげる飲み薬)を使うこともあります。症状が重い場合には、免疫の働きを調整する飲み薬や、光線療法(紫外線を皮膚に当てる治療)が行われることもあります。治療は必ず医師の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
毎日のスキンケアがとても大切です。保湿剤を塗るタイミングを習慣にすると良いでしょう。かゆみが出たら、冷たいタオルで冷やすなど、掻く代わりの方法を試してください。ストレスをためないよう、リラックスできる時間を作ることも役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活リズムを心がける
- 十分な睡眠をとる
- ストレス管理をする(趣味や軽い運動など)
- タバコや過度のアルコールを避ける
食事と運動
特定の食べ物を避ける必要は多くの場合ありませんが、自分の症状を悪化させる食品があれば控えましょう(食品日記をつけると良いでしょう)。適度な運動はストレス解消に役立ちますが、汗をかいた後はすぐにシャワーで流し、保湿を忘れずに。
精神的健康と心の健康
かゆみや見た目の変化は、ストレスや自信の低下につながることがあります。また、ストレス自体が症状を悪化させることもあります。必要なら、医師や心理カウンセラーに相談し、支援を受けることをためらわないでください。
予防
アトピー性皮膚炎を完全に予防する方法はありませんが、スキンケアを徹底したり、アレルゲン(原因物質)を避けたりすることで、症状の重症化や再発を抑えられることがあります。
合併症
治療しない場合
- 皮膚への細菌やウイルスの感染(とびひやヘルペスなど)
- 掻き続けることで皮膚が厚くなり、色が変わることがある(色素沈着)
- 慢性的なかゆみで睡眠不足やストレスが続く
- 症状が全身に広がり、日常生活に大きな影響を与える
長期的な見通し
アトピー性皮膚炎は適切なケアと治療で症状をうまくコントロールできる病気です。大人になってから症状が軽くなる方も多く、治療を続けることで生活の質を大きく改善できます。長く付き合っていく病気ですが、希望を持って取り組みましょう。
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最終更新: 2026年7月9日
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