AT/RTがん(非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
AT/RTは、非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍という、まれで進行の速い脳のがんです。主に小さな子どもにできますが、どんな年齢でも起こり得ます。このがんは、細胞の増え方をコントロールする遺伝子に変化が生じることで発生すると考えられています。
重要な事実
- とてもまれながん(小児の脳腫瘍全体の1~2%程度)です。
- 多くは3歳未満の乳幼児に発生します。
- 診断と治療には、小児がん専門の医療チームによる集学的治療が必要です。
いいえ、AT/RTは非常にまれながんです。小児の脳腫瘍の中で1~2%程度とされています。
最も多く見られるのは3歳未満の赤ちゃんや幼児です。ただし、年長の子どもや成人でも発症することがあります。男女差はあまりありません。
症状
- 突然の激しい頭痛と嘔吐
- 呼びかけに反応しない、意識がもうろうとしている
- けいれんが止まらない(5分以上続く)
- 体の半分が動かない、言葉が出ないなど、脳卒中のような症状
- 呼吸が苦しそう、または呼吸が止まっている
- ⚠数日続く頭痛や嘔吐
- ⚠発熱を伴うけいれん
- ⚠まっすぐ歩けない、バランスを崩す
- ⚠視力が急に落ちた、物が二重に見える
- ⚠普段と違う強いぐずりや不機嫌が続く
一般的な症状
- 吐き気や嘔吐(特に朝の嘔吐)
- けいれん
- 元気がない、ぼんやりする
- 手足の力の入りが悪い
- 目つきがおかしい、視線が合わない
- 頭囲が急に大きくなる
子供の症状
- 乳幼児では、頭蓋骨がまだ閉じていないため、頭のサイズが急に大きくなったり、乳児の泉門(頭のてっぺんの柔らかい部分)が張り出すことがあります。
- 不機嫌になったり、ぐずりが続いたり、泣き声が変化したりすることもあります。
- 成長の停滞や、すでにできた動きができなくなることもあります。
高齢者の症状
- 大人では、頭痛が続いたり、手足に力が入らなかったり、言葉がうまく出なかったり、見え方の変化などが現れることがあります。
- 発症は極めてまれですが、症状は他の脳の病気と同じようなものが多いため、注意が必要です。
原因
主な原因
- 細胞の増殖を抑える働きを持つ「SMARCB1(INI1)」という遺伝子に変化が起こることが主な原因とされています。
- この遺伝子がうまく働かなくなると、細胞が異常に増えて腫瘍が形成されます。
- ほとんどの場合、生まれつきではなく、体の中で後から変化が発生すると考えられています。
リスク要因
- 3歳未満の年齢であること
- 「ラブドイド腫瘍素因症候群」という遺伝性の病気を持っている場合(非常にまれ)
- 過去に放射線治療を受けたことがある場合(非常にまれ)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 数日続く朝の頭痛や嘔吐
- けいれんを初めて起こした
- 手足が急に動かせなくなった、目がおかしい
- 急に元気がなくなり、反応が鈍い
定期受診を予約すべき場合:
- 頭を打ったわけではないのに長く続く頭痛がある
- 発達に遅れがあり、家族が気になる
- 頭囲が通常の成長曲線から大きく外れてきている
診断
まず、小児科や脳神経外科の医師が問診と診察を行います。症状から脳の検査が必要と判断されると、画像検査をします。その後、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で調べる「生検(せいけん)」で確定診断を行います。
行われる可能性のある検査
- MRI(磁気共鳴画像)検査:脳の細かい写真を撮り、腫瘍の場所や範囲を調べます。
- CT検査:腫瘍や出血の有無を調べます。
- 腰椎穿刺(ようついせんし):背中の腰椎から髄液(脳脊髄液)を採取し、がん細胞がないかを調べます。
- 生検:手術で腫瘍の組織を少し取り、顕微鏡で確認します。
- 遺伝子検査:SMARCB1遺伝子の変化を調べます。
診察で予想されること
診断のために、複数の検査が行われます。子どもには鎮静剤を使ったり、全身麻酔をかけて検査をする場合があります。結果が出るまでには数日から2週間ほどかかることがあります。医療チームは、画像や病理の専門家と連携して、診断と治療方針を家族に丁寧に説明します。
治療
治療は、小児がんの専門医・脳神経外科医・放射線治療医・看護師などが集まったチームで行われます。腫瘍の大きさや場所、年齢、全身状態によって治療計画を組みます。
自宅でのセルフケア
- 受診前から治療中まで、脱水にならないように水分をこまめに取ってください。
- 十分な休養を心がけ、無理をせずに過ごしてください。
- 医師から指示された受診や検査を予定通り受けてください。
医療治療
治療の柱は、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法です。まず、手術で腫瘍を可能な限り取り除きます。その後、残っている腫瘍を小さくするために化学療法を行います。放射線治療は、脳への影響を考慮し、特に幼いお子さんには年齢や病状に応じて慎重に適応を判断します。まれに、高用量の化学療法と併用して骨髄移植を行うこともあります。
手術が検討される場合
可能な限り手術で腫瘍を取り除きます。腫瘍が脳の深い場所や重要な神経の近くにある場合は、安全に取れる部分だけを切除することがあります。手術後にお子さんの状態を評価し、追加の治療を検討します。
この病気と共に生きる
治療中は、体力が落ちたり、だるさや吐き気が出たりすることがあります。無理をせず、毎日のリズムを大切にしましょう。寝返りや歩行などのリハビリが必要な場合もあります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がける
- 感染症予防のために手洗い・うがいを行う
- 体調の変化(発熱や嘔吐など)があればすぐに医療チームへ連絡する
- 家族や親しい人に気持ちを話す時間を作る
食事と運動
必要なエネルギーやたんぱく質を十分に取れるようにしましょう。吐き気や食欲がないときは、無理に食べず、少量を何回かに分けて食べる方法もあります。運動は医師の許可を得た範囲で、公園を散歩するなど無理のないものから始めると良いでしょう。
精神的健康と心の健康
がんの診断は、本人だけでなく家族にも大きな不安や悲しみをもたらします。気分の落ち込みが続くときや、眠れないときは、医師や心理士・緩和ケアチームに相談してください。気持ちを無理に抑える必要はありません。
予防
現在のところ、AT/RTを確実に予防する方法はありません。保護者の行動が原因になることはないことを知ってください。
ワクチン
AT/RTそのものを予防するワクチンはありません。ただし、治療中は免疫力が下がるため、季節性インフルエンザなどの予防接種の時期については、医師と相談して決めてください。
検診プログラム
一般的な集団を対象とした検診の方法はありません。非常にまれな遺伝性の症候群がある場合は、定期的な画像検査で早期発見を目指すことがありますが、その方針は専門医が判断します。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなり、脳の圧力が高まって意識障害や脳ヘルニアを起こすことがあります。
- 腫瘍が脊髄や他の中枢神経に広がることがあります。
- 治療を受けない場合、生命に関わるリスクが高まります。
長期的な見通し
AT/RTはたいへん難しいがんですが、医学の進歩により完全治癒を目指せる治療が開発されてきています。特にお子さんの年齢や治療に使える方法によって経過は異なりますが、希望を持って治療に取り組むことが大切です。医療チームは、お子さんと家族の生活の質を守りながら治療を進めてくれます。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。