非定型拒食症(アチピカル・アノレキシア)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
非定型拒食症は、食べることを極端に制限したり、体重が増えることを強く恐れたりする“摂食障害”のひとつです。ただし、典型的な拒食症と違って、体重はふつうの範囲内やそれ以上にあることが特徴です。このため、周りからは気づかれにくく、本人も「自分は病気ではない」と思いやすい病気です。
重要な事実
- 体重が標準的でも、命に関わる栄養不足になることがあります。
- 体型や体重に対する強いこだわりがありますが、外見からは分かりにくい場合が多くあります。
- 早期に適切な支援を受けることで、回復が期待できます。
- 本人の努力や気合だけでは治りにくい、れっきとした病気です。
- 男性や成人、高齢者にも見られることがあります。
近年、この病気への認識が広がり、以前考えられていたよりも多く見られることが分かってきました。ただ、体重が標準的であるために診断に至らないことも少なくありません。
10代から20代の若い女性に多いとされていますが、男性や中高年、高齢者にも起こる可能性があります。スポーツや芸術など、体重が重視される分野にいる人にも見られます。
症状
- 脈がとても遅い、または不規則で意識がぼんやりする
- 呼吸が浅くて苦しそう、または息ができない感じがある
- 胸の強い痛みや圧迫感がある
- 突然、意識を失いそうになる、または倒れる
- けいれんが起きる
- 脱水がひどく、水分を一切とれない状態が続く
- ⚠数日間まったく食事がとれず、水も飲めない
- ⚠めまいや立ちくらみが続き、立っていられない
- ⚠不整脈(心臓の拍動が乱れる感じ)がある
- ⚠自分を傷つけたい、または死にたいという気持ちがある
- ⚠体重が急激に減っている(例:数週間で何キロも)
一般的な症状
- 食べる量を極端に減らす、または食事を抜くことがある
- 体重や体型について「太っている」と感じる強い思い込みがある
- 体重が増えることに対して強い恐怖を感じる
- 過度な運動をしたり、下剤などを乱用したりする
- 食事の場を避ける、食べた量を隠すなど、食べ物へのこだわりが強くなる
- 体重が標準的であるにもかかわらず、さらに痩せようと頑張ってしまう
子供の症状
- 身長や体重の発育が停滞する
- 思春期の身体の変化に極端な不安を示す
- 学校の給食を食べずに隠すことがある
- 月経が始まらない、または止まってしまう
- 勉強や友達との関係よりも、食事や体重のことばかり考えるようになる
高齢者の症状
- 体重が減らない、または普通でも、筋肉が落ちて衰弱することがある
- 加齢による食欲低下や体調不良と間違われることがある
- 薬の副作用や他の病気と区別が難しい
- 体重が落ちていないので本人や家族が気づきにくい
原因
主な原因
- 神経質さや完璧主義などの性格的な傾向が関係することがある
- 家族関係や周囲とのトラブルなどの心理的なストレス
- やせていることが美しいとする社会的・文化的な影響
- 脳の働きや遺伝的な要素も関与していると考えられている
リスク要因
- 家族に摂食障害やうつ病の人がいる
- 過去にダイエットを経験したことがある
- 学校や職場で体型や体重に対するプレッシャーがある
- スポーツ、ダンス、モデルなど体重が重要視される環境にいる
- ストレスや環境の変化をきっかけに発症することがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 食事をほとんどとれず、水分も順調に飲めない状態が続く
- めまいや失神、動悸が強い
- 自分を傷つけたい気持ちがある
- 体重が急激に減少している、または徐々にでも減り続けている
定期受診を予約すべき場合:
- 食事や体重のことで頭がいっぱいになり、日常生活に支障が出ている
- 食事を避けたり、食べた後に罪悪感が強くなったりする
- 体重増加を強く恐れている、または過度な運動をやめられない
- 月経が止まった、または月経が始まらない
- 家族や友人が気づくほど、食事の様子が変わってきた
診断
医師があなたの話を丁寧に聞き、食行動や体重の変化、体型に対する考え方などを詳しく尋ねます。体重だけにとらわれず、心とからだの状態を総合的に評価します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:栄養状態や脱水、電解質のバランスを調べます
- 心電図:心臓のリズムの異常や栄養不良の影響がないか確認します
- 骨密度検査:骨が弱くなっていないかを確認することがあります
- 身長・体重・体格指数(BMI)の測定:標準値との比較だけでなく、これまでの変化を確認します
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。また、検査や診察で「まだ大丈夫」と言われることもありますが、それでも気になる症状が続く場合は、何度でも相談して大丈夫です。正直に自分の気持ちや行動を伝えることが大切です。
治療
治療は、医師、管理栄養士、心理の専門家、家族などが連携して行うのが一般的です。無理に体重を上げるのではなく、心とからだの回復を両方から支えていくことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 一人で抱え込まず、信頼できる人に気持ちを話す
- 体重計や食事のカロリー計算にこだわりすぎないようにする
- 自分を責める気持ちが強くなったときは、ひと休みする方法を見つける
- 医師や管理栄養士、心理士など専門家の指示に従って、少しずつ食事量を戻していく
医療治療
治療の中心は、心理的なサポートと栄養の回復です。認知行動療法などの精神療法と呼ばれる対話を通して、考え方や行動のくせを整えていきます。また、医師の指導のもとで食事の計画を立て、ゆっくりと栄養状態を改善していきます。必要に応じて、家族へのサポートも行われます。特定の薬だけですぐに治るわけではなく、あくまで治療の一部として使われることがあります。
手術が検討される場合
この病気に対して、外科的な手術が行われることは通常ありません。
この病気と共に生きる
回復は一直線にはいかず、良くなったり悪くなったりしながら進むこともあります。落ち込んだり焦ったりする気持ちは自然なことです。周りの助けを借りながら、自分のペースで進むことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に起きて、朝日を浴びる
- 睡眠を十分にとる
- 過度な運動は避け、医師と相談した範囲でからだを動かす
- 趣味や友達との時間を大切にして、食事と体重のことを考えすぎないようにする
食事と運動
栄養は、管理栄養士や医師のアドバイスにしたがってとることが大事です。極端な食事制限や特定の食品だけを食べるようなやり方は避けてください。運動は、体力を戻すためには適度に行うことがよいですが、消費カロリーを気にするための運動はおすすめできません。必ず専門家に相談して決めてください。
精神的健康と心の健康
この病気は、気分の落ち込みや不安、いらいらなどのこころの不調を伴うことがあります。それは決してあなたのせいではなく、栄養不足や脳の働きの変化が影響していることがあります。周りの人に理解を求めながら、専門家のサポートを受けることが回復への道になります。
予防
この病気を完全に予防する方法はまだ分かっていません。しかし、早期に兆候に気づき、早めに適切な支援を受けることで、重症化を防いだり、回復を早めたりすることができます。
ワクチン
この病気に直接関係するワクチンはありません。
検診プログラム
学校や職場の健康診断では、体重の変化だけでなく、こころの健康についても振り返ってみましょう。体重が標準的だから大丈夫と思うのではなく、食行動や体型へのこだわりが気になったら、一度専門家に相談してみてください。
合併症
治療しない場合
- 重度の栄養不足により、筋肉が衰え、体力が落ちる
- 骨がもろくなり、骨粗しょう症になる
- 心臓の働きに異常が出る(不整脈など)
- 腎臓や肝臓に影響が出る
- うつ病や不安障害などを引き起こすことがある
- 子どもや思春期の場合は、成長や発達に影響を及ぼす
長期的な見通し
適切な治療と周囲の支援があれば、多くの人が回復することができます。回復には時間がかかることもありますが、決して希望を失わないでください。あなたは一人ではありません。専門家の助けを借りて、ゆっくりと心とからだの健康を取り戻していくことができます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
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