自己免疫性腸症(じこめんえきせいちょうしょう)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
自己免疫性腸症(じこめんえきせいちょうしょう)は、からだの免疫(めんえき)の仕組みが、自分のおなかの中の小腸(しょうちょう)を、敵(てき)と間違えて攻撃してしまう、とてもまれな病気です。その結果、食べ物の栄養や水分を十分に吸収できなくなり、慢性的な下痢(げり)ややせ、栄養不足などの症状(しょうじょう)があらわれます。
重要な事実
- 免疫(めんえき)の異常(いじょう)が原因で、小腸の内側の粘膜(ねんまく)が傷つけられます。
- 食べ物の栄養や水分が吸収されにくくなるため、栄養不良(えいようふりょう)や脱水(だっすい)を起こしやすくなります。
- とてもまれな病気で、全国で報告される数も限られています。
- 人にはうつりません。
- 適切な診断と治療で、症状をコントロールすることが可能です。
とてもまれな病気です。一般的な下痢や胃腸炎とは違います。こどもから大人まで報告例はありますが、どの医師でも診た経験がないというほど、まれな病気です。
乳幼児(にゅうようじ)から大人まで、どの年齢(ねんれい)でも発症(はっしょう)する可能性があります。特に、ほかにも自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)を持っている方や、家族にそうした病気を持つ方がいらっしゃる場合に報告が多い傾向があります。
症状
- 意識(いしき)がもうろうとしている
- おなかに強い痛みがあり、動けない
- 便(べん)に血液(けつえき)が混じっている
- 高熱(こうねつ)が続き、ぐったりしている
- まったく水分が取れない、おしっこがほとんど出ない
- ⚠3日以上続く水のような下痢があり、口から水分を取っても不足している感じがある
- ⚠重度の脱水の兆候(めまい、激しいのどのかわき、皮膚や口が乾く)
- ⚠激しいへそ周りや下腹部の痛みに変わってきた
- ⚠絶え間ないおう吐で、水分も食事も摂れない
一般的な症状
- 水のような下痢が何週間も続く
- 体重(たいじゅう)が減る
- おなかが張る、痛む
- 吐き気(はきけ)やおう吐
- 疲れやすい、だるい
- 栄養が足りないための貧血(ひんけつ)
子供の症状
- 体重が増えない、発育(はついく)が遅れる
- 慢性的な下痢とおう吐
- おなかがふくれて見える
- 元気がない、泣き続ける
- 脱水症状(だっすいしょうじょう)になりやすい
高齢者の症状
- 水分不足によるめまいや立ちくらみ
- 電解質(でんかいしつ)バランスの乱れによる体のしびれや疲労感
- 心身の衰えが進みやすい
- 誤嚥(ごえん)などほかの病気との区別が難しい場合がある
原因
主な原因
- 免疫(めんえき)のシステムが、自分の小腸の細胞を異物(いぶつ)と誤認識してしまうこと
- その結果、免疫細胞が小腸の粘膜を攻撃し、炎症(えんしょう)が起こる
- 小腸の表面にある「微絨毛(びじゅうもう)」という栄養を吸収する小さな突起が壊れること
リスク要因
- ほかに自己免疫疾患(例:1型糖尿病、セリアック病、関節リウマチなど)を持っている
- 家族に免疫の異常が関係する病気を持つ人がいる
- 遺伝的な体質(けいしつ)が関係する可能性があるが、原因は完全には解明されていない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 下痢やおう吐が続き、脱水症状が見られる(口がすごく乾く、めまい、立っているのがつらい)
- 便に血が混じる、真っ黒な便が出る
- 強い腹痛が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 水のような下痢が2週間以上続く
- 体重が急に減った
- 食事の量が減った、食欲がない
- 疲れが取れない、発熱が続く
診断
自己免疫性腸症の診断は、ほかの病気を除外したうえで、内視鏡(ないしきょう)による組織検査(そしきけんさ)と血液検査などを組み合わせて行います。専門的な検査が必要なため、消化器内科の専門医の受診がすすめられます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(免疫の抗体(こうたい)の有無を調べる)
- 便の検査(感染性の下痢を除外する)
- 上部内視鏡(じょうぶないしきょう)・下部内視鏡(かぶないしきょう)による小腸の観察
- 内視鏡時に小腸の粘膜の一部を採取して顕微鏡(けんびきょう)で調べる(生検(せいけん))
- 画像検査(CTなど)でほかの病気を除外する
診察で予想されること
医師からの詳しい問診(もんしん)から始まり、場合によっては紹介状を書いてもらい、大学病院(だいがくびょういん)などの専門医療機関を紹介されることがあります。内視鏡検査は、前日の食事制限や鎮静(ちんせい)の薬を使うため、検査当日は体と時間の準備が必要です。検査や結果に時間がかかる場合もありますが、担当医や看護師にいつでも質問できます。
治療
治療の基本は、免疫の異常な反応を抑え、栄養状態を改善することです。症状の程度や年齢に合わせて、栄養療法と薬物療法を組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 総合診療の医師や看護師から指示された水分補給(ほきゅう)を心がける(経口補水液(けいこうほすいえき)など)
- 食事は少量を頻回(ひんかい)に、消化(しょうか)の良いものを食べる
- 自分の症状に合わせて、主治医(しゅじい)や栄養士に食事内容を相談する
- 脱水を防ぐために、電解質(でんかいしつ)やミネラルの補給について指導どおりに行動する
医療治療
自己免疫性腸症の治療は、免疫の異常な反応を抑えるお薬(免疫調整薬(めんえきちょうせいやく)や副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬など)を、病状に合わせて使うことが一般的です。お薬の種類や量、使用期間は専門医が個別に決めます。また、栄養状態を改善するために、中心静脈栄養(ちゅうしんじょうみゃくえいよう)という、直接血管から栄養を入れる方法や、成分栄養剤(せいぶんえいようざい)という特別な食事を使用することもあります。必ず専門医の指導のもとで治療を受けてください。
手術が検討される場合
自己免疫性腸症の治療で手術が必要になることはほとんどありません。ただし、重い合併症(例えば腸閉塞(ちょうへいそく)など)が起こった場合など、ほかの病気の治療として手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
自己免疫性腸症は慢性的な経過をたどることがあるため、日々の生活では、体調の変化に注意しながら、無理をしないことを心がけましょう。定期的に通院して状態をチェックすることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休養をとる
- ストレスをためない工夫をする(趣味、散歩、人との交流など)
- 感染症予防のため、手洗い・うがい(うがい)を習慣にする
- 数日で症状が変わることもあるので、体調記録をつけると医師に伝えやすい
- 脱水が起きやすいので、外出先では飲み物を忘れずに持つ
食事と運動
食事は、医師や管理栄養士の指導のもと、不足しがちなエネルギーやタンパク質、ビタミン、ミネラルを補うことが大切です。特に、脂肪(しぼう)を消化しにくい場合があるため、低脂肪(ていしぼう)で消化の良いものを選ぶことがすすめられることがあります。運動は、症状が安定していれば、軽いウォーキングなどから始め、体調と相談して無理のない範囲で行ってください。
精神的健康と心の健康
慢性の病気を抱えると、不安や気分の落ち込みを感じることも自然なことです。からだの症状だけでなく、こころのつらさも大事なサインです。ひとりで抱え込まず、医師や看護師、家族、信頼できる人に気持ちを話してみましょう。
予防
自己免疫性腸症は、免疫の異常が原因の病気で、現在のところ確実な予防法はありません。ただし、下痢や栄養状態の悪化を早期に発見して治療を始めることが、重症化を防ぐことにつながります。
ワクチン
特別な予防接種はありません。ただし、治療で免疫を抑えることがあるため、インフルエンザなどの定期接種(ていきせっしゅ)については、主治医と相談のうえで受けることがすすめられます。
検診プログラム
し、特別に受けるべき検診はありません。気になる症状があれば早めに受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 重度(じゅうど)の脱水(だっすい)と電解質(でんかいしつ)の乱れ
- 重度の栄養不良(えいようふりょう)による体力の低下
- こどもでは発育(はついく)の遅れ
- 免疫の弱りによる感染症(かんせんしょう)のリスク増加
- 貧血(ひんけつ)や骨粗しょう症(こつそしょうしょう)などの栄養不足に伴う合併症
長期的な見通し
自己免疫性腸症は難しい病気ですが、適切な治療と栄養管理を受けることで、多くの方が症状の改善を実感できます。治療には長い期間がかかることもありますが、医師と一緒に無理のない計画を立てることで、日常生活の質を保ちながら過ごすことができます。希望を持って、医療チームと協力していきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月1日
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