自己免疫性内耳疾患(AIED)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
自己免疫性内耳疾患(AIED)は、からだを守る「免疫」の働きに異常が起こり、自分の内耳を攻撃してしまうことで、聴力が低下したり、めまいが起こったりする病気です。内耳は音を感じたり、体のバランスを保ったりする大切な器官です。免疫がこの内耳を傷つけることで、症状が現れます。
重要な事実
- 免疫のバランスが崩れ、自分の内耳を攻撃する病気です。
- 多くは両耳の聴力が数週間から数ヶ月かけて悪くなります。
- めまいや耳鳴りをともなうことがあります。
- 早めの治療で聴力を守れる可能性があります。
まれな病気です。難病に指定されることがあるほどで、すべての耳の病気の中で占める割合も非常に小さいとされています。
20~60歳の女性にやや多いと報告されていますが、子どもや高齢者でも診断されることがあります。ほかの自己免疫疾患(リウマチなど)のある方に起こりやすいともいわれています。
症状
- 突然、ろれつが回らない
- 片方の手足に力が入らない・しびれる
- 顔がゆがむ
- 意識がはっきりしない・呼びかけに答えない
- ⚠突然、聞こえにくくなった
- ⚠激しいめまいで立っていられない・吐く
- ⚠めまいが何時間も続く
一般的な症状
- 聴力が数週間から数ヶ月で変動しながら低下する
- 両耳の聞こえにくさ(多くは両側)
- 耳鳴り(キーン、ザーなど)
- 耳のつまり感
- めまい・ふらつき
子供の症状
- 子どもでは、「聞こえにくい」「呼んでも振り向かない」「言葉が遅い」などの形で気づかれることがあります。めまいを言葉で説明できず、ぐずる、吐く、しがみつくなどの行動で表れることもあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、加齢による聞こえにくさと区別がつきにくいことがあります。急に聞こえが悪くなったり、めまいが続いたりする場合は、この病気の可能性を考える必要があります。めまいで転倒しやすいため注意しましょう。
原因
主な原因
- 免疫システムが自分の内耳の組織を異物とみなして攻撃することによって起こると考えられています。
- ほかの自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)にともなって発症することがあります。
- ウイルス感染や強いストレスがきっかけになることもあると報告されています。
リスク要因
- ほかの自己免疫疾患を発症している(またはその予備軍)
- 女性(特に20~60歳)
- 遺伝的な要因(家族に自己免疫疾患のある方)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の聞こえにくさ、数時間続くめまい、吐き気をともなうめまいがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 数週間単位で聞こえが悪くなってきた、耳鳴りが続く、軽いふらつきが続くなどの場合は、早めに耳鼻咽喉科を予約しましょう。
診断
主に耳鼻咽喉科で、問診、聴力検査、めまいの検査などを行い、ほかの内耳の病気(突発性難聴、メニエール病など)を除外して診断します。ほかの自己免疫疾患の有無も調べます。
行われる可能性のある検査
- 聴力検査(音の聞こえ方をグラフにします)
- 血液検査(炎症の程度や免疫の異常を調べます)
- めまいの平衡機能検査
- MRIなどの画像検査(脳や内耳に異常がないかを確認します)
診察で予想されること
診断が決まるまでに数回の通院が必要になることがあります。医師から説明を受けるときに、気になることはメモして質問しましょう。治療は長く続く可能性がありますが、症状の変化に合わせて進められます。
治療
治療の中心は、内耳の炎症を抑えて、聴力を保つことです。できるだけ早く治療を始めることが大切です。また、原因となる自己免疫疾患があれば、その治療も並行して行います。
自宅でのセルフケア
- 治療中は、耳を休めるために大きな音を避ける
- 十分な睡眠と休息をとる
- めまいがするときは、無理に動かず安全な場所で休む
- ストレスをうまく発散し、気分転換を心がける
医療治療
内耳の炎症を抑えるために、ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)を使うのが一般的です。ステロイド薬は免疫の働きをおさえ、内耳への攻撃を弱めます。効果が十分でない場合は、免疫の働きを調整する薬や、血行を改善する薬などを組み合わせることもあります。いずれの治療も医師があなたの状態をみながら進めます。薬の名前や量に不安があるときは、必ず医師または薬剤師に相談してください。聴力が低下した場合は、補聴器の使用が検討されます。
手術が検討される場合
手術は一般的ではありませんが、聴力の低下が非常に進み、補聴器では効果が不十分な場合は、人工内耳の手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
聴こえにくさやめまいは、生活の質に影響することがあります。補聴器を正しく使う・家族や職場に聞こえにくさを伝える・めまいのときは休むなどの工夫で、日常生活を維持できます。定期的な受診を続けることが何より大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に薬を飲み、指示どおりに通院する
- 聴力の変化に気づいたら、早めに受診する
- 転倒しにくいよう、家の中を整理整頓する
- 聞こえにくさで困ったときは、補聴器外来や難聴相談を利用する
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスのよい食事をとり、適度な運動を心がけましょう。ただし、めまいが強いときは運動を控え、症状が落ち着いてから再開してください。
精神的健康と心の健康
聴こえにくさやめまいが続くと、不安や孤独感、落ち込みを感じることがあります。それを「我慢」ととらえず、医療者や家族、友人に話してみてください。心理の専門家によるサポートも役立つことがあります。
予防
原因がはっきりしていないため、確実な予防法はありません。しかし、聴力低下やめまいを感じたらすぐに受診することで、悪化を防ぐことができます。
ワクチン
この病気を特別に予防するワクチンはありません。
検診プログラム
一般的な検診で見つかることはまれです。気になる症状がある場合は、耳鼻咽喉科の聴力検査を受けることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 両耳の聴力が急速に悪化し、重度の難聴になることがあります。
- 頻繁なめまいによって日常生活や仕事に支障が出ます。
- めまいによる転倒で骨折などのケガをするリスクが高まります。
長期的な見通し
早期に診断し、適切な治療を続ければ、聴力を維持・改善できる可能性があります。治療が長くかかることもありますが、補聴器や人工内耳などの支援機器も進歩しています。うまく付き合いながら、前向きに生活している多くの方がいます。希望を持って医師と一緒に治療を続けてください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年8月14日
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