バルトネラ感染症(猫ひっかき病を含む)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
バルトネラ感染症とは、バルトネラという細菌が体に入って起こる感染症の総称です。猫のひっかき傷や咬み傷からうつることが多く、猫ひっかき病(ネコひっかき病)として知られるものが代表的です。症状は、発熱、リンパ節の腫れ、皮膚の赤みやしこりなどです。
重要な事実
- 猫やノミを介してうつる細菌感染症です。
- 多くの人は自然に回復しますが、症状が長引くこともあります。
- 免疫力が弱っている人では、心臓や脳などに影響をおよぼすことがあります。
日本では、猫ひっかき病として最もよく見られ、毎年数百人から千人ほどが診断されていると考えられています。ただし、実際には軽症で医療機関を受診しない人も多いため、正確な患者数はわかっていません。
子どもや若い大人に多く見られますが、年齢は関係なく誰でもかかる可能性があります。猫(とくに子猫)と一緒に暮らしている人、野良猫と接する機会がある人、免疫力が低下している人は特に注意が必要です。
症状
- 突然の高熱と激しい悪寒
- 意識がもうろうとする
- 激しい頭痛と首の硬直
- 体の片側が動かない、言葉が話しにくい
- 呼吸が苦しい
- 緊急時は、すぐに119番に連絡してください。
- ⚠腫れたリンパ節が強く痛む、または急速に大きくなる
- ⚠38℃以上の発熱が3日以上続く
- ⚠視力の低下や物が二重に見える
- ⚠新しい発疹や出血斑(あざのような赤紫色の斑点)が増える
- ⚠動悸や胸の痛みが出たとき
一般的な症状
- 傷口や猫にひっかかれた場所が赤く腫れる
- 38℃前後の発熱
- 脇の下、首、足の付け根などリンパ節が腫れる
- だるさ、疲れやすさ
子供の症状
- 発熱が続くが、リンパ節の腫れに気づかれにくい
- 機嫌が悪い、いつもよりぐったりしている
- 食欲が落ちる、授乳や食事が進まない
高齢者の症状
- 高熱ではなく微熱が続くことが多い
- 関節の痛みやこわばりが目立つ
- 心臓の弁に感染する心内膜炎を起こすリスクがあり、息切れや動悸(どうき)があらわれることがある
原因
主な原因
- バルトネラ属の細菌(主に Bartonella henselae)による感染
- ネコノミのフンが傷口や皮膚の擦り傷から入る経路
- 猫(特に子猫)のひっかき傷や咬み傷、また猫の唾液が皮膚の傷に触れること
- まれに、蚤(のみ)やトコジラミ、サシバエを介してうつることもある
リスク要因
- 子猫やノミがいる猫と生活している
- 猫に遊んでもらうときに強く引っかかれる
- 傷のある皮膚で猫を触る
- 免疫力が低下している(病気や治療による場合)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 猫にひっかかれたり咬まれたりしてから数日後に発熱やリンパ節の腫れが出た場合
- 傷口が赤く腫れて痛みが強くなっている場合
- 38℃以上の発熱が2〜3日続いている場合
- 体に出たしこりが急速に大きくなっている場合
定期受診を予約すべき場合:
- 猫と暮らしていて、なんとなくだるい・熱があって、リンパ節が軽く腫れている
- ひっかき傷が治ったあとも、小さなしこりが残っている
- 子猫のノミの対策について相談したい
診断
医師は、あなたの猫との接触や海外での動物とのふれあいなどの身の回りの状況をうかがい、症状と体の診察の結果をあわせて診断します。血液検査が役立つこともあります。
行われる可能性のある検査
- 血液中の抗体検査(バルトネラに対する抗体の有無を見る)
- 血算(赤血球、白血球、血小板の数を調べる)
- 生化学検査(肝臓や腎臓の働きなどを見る)
- PCR検査(遺伝子を調べる方法で、リンパ節や血液に細菌のDNAがあるかどうかを見る)
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。発症してから2週間以上たたないと抗体が検出されないこともあるため、医師は症状の経過を見ながら必要な検査を順に行います。気になることは何でもメモして、診察で伝えましょう。
治療
健康な人では、症状は数週間〜数ヶ月で自然に治ることが多いですが、症状が重い場合や合併症がある場合は抗菌薬(抗生物質)による治療が行われることがあります。大切なのは、医師の診断と指示に従って治療することです。
自宅でのセルフケア
- 安静にして十分な睡眠をとる
- 激しい運動や活動を避ける
- 腫れている場所に温かいタオルを当てて血行を促す
- 水分をしっかり摂る
- 症状の経過をメモしておき、受診時に見せられるようにする
医療治療
通常は、患者さんの年齢や症状の重症度に合わせて選択された抗菌薬を、医師の指示にしたがって決められた期間服用します。軽症の場合は自然回復を待つこともあります。市販の薬で自己判断せず、医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
手術が必要になるのはまれです。リンパ節の膿(うみ)がたまって強い痛みがあるときには、医師が注射器で液体を抜く処置をすることがあります。ごくまれに心臓の弁の感染症(心内膜炎)などで外科的な治療が必要になる場合があります。
この病気と共に生きる
多くの人は完全に回復します。回復までの期間は人によって異なります。無理をせず、疲れたら休むようにしてください。家族や身近な人に症状を伝えて、家事などの協力をお願いするのもよい方法です。
生活習慣のアドバイス
- 猫の爪を定期的に切り、皮膚を傷つけないようにする
- 猫にノミ対策の薬を使う(動物病院に相談しましょう)
- 傷があるときに猫を触るのは避ける
- 猫と遊んだ後は石けんで手を洗う
食事と運動
バランスの良い食事と十分な水分で体の回復を助けましょう。動ける範囲で軽い散歩などを行うのは問題ありませんが、症状がつらいときは無理しないでください。医師の許可が出たら徐々に運動量を増やしましょう。
精神的健康と心の健康
症状が長引くと、気分が落ち込んだり、不安になることもあります。それは自然なことです。気持ちを信頼できる人に話すだけでも楽になることがあります。つらい気持ちが続くときは、医師や保健師、心の健康の専門家に相談してください。緊急の危機感がある場合は、すぐに支援につながることが大切です。
予防
猫との関わり方やノミの対策を工夫することで、多くの場合予防できます。野良猫を素手で触らない、猫と遊んだ後に手を洗う、猫を飼っている場合はノミ対策を徹底することが重要です。
ワクチン
人に対するバルトネラ感染症のワクチンはありません。
検診プログラム
かかりつけの健康診断などでバルトネラ感染症を予防するための特別な検査はありません。動物との接触後に症状が出た場合は早期に受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- リンパ節の腫れが数ヶ月単位で続くことがある
- 心内膜の感染症(心内膜炎)を起こすと、心臓の働きに影響することがある
- 目の中の神経と網膜が炎症を起こす神経網膜炎、脳の炎症(脳炎)などを引き起こすまれなケースがある
- 全身の疲労感や微熱が長引く
長期的な見通し
全体として予後(結果)は良好です。健康な人であれば数週間〜数ヶ月で自然回復することが多く、抗菌薬を用いれば症状を短くでき、重い合併症はまれです。診断を受けて治療方針を決め、定期的な経過観察を行えば、ほぼすべての人が日常生活に戻れます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月14日
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