Biliary colic
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
胆石疝痛(たんせきせんつう)とは、胆のうや胆管にできた石(胆石)が、胆汁の通り道を一時的にふさぐことで起こる、強いおなかの痛みのことです。痛みは数分から数時間続き、自然に治まることが多いですが、繰り返し起こることがあります。
重要な事実
- 胆石が胆汁の流れを妨げると、右上腹部やみぞおちに激しい痛みが生じます。
- 痛みは脂っこい食事の後によく起こります。
- 多くの場合、痛みは自然に治まりますが、何度も繰り返すことがあります。
胆石症自体は成人の約10~15%にみられる、比較的よくある病気です。そのうち、胆石疝痛を経験する人は少なくありません。
40代以降の女性に多くみられますが、男性や若い人でも起こりえます。肥満気味の方、急に体重が減った方、糖尿病の方はリスクが高まります。
症状
- 突然の激しい痛みで動けない、または息ができない
- 痛みとともに高熱(38度以上)がある
- 皮膚や目の白い部分が黄色くなった(黄疸)
- ⚠痛みが数時間続き、市販の痛み止めで治まらない
- ⚠痛みが繰り返し起こり、日常生活に支障をきたす
- ⚠吐き気やおう吐がひどく、水分も摂れない
一般的な症状
- 右上腹部やみぞおちの突然の強い痛み(締め付けられるような、または針で刺されるような感じ)
- 背中や右肩に広がる痛み
- 吐き気やおう吐
- 脂っこい食事をした後に症状が出やすい
子供の症状
- 子どもではおなかの痛みをうまく説明できないことがあります。機嫌が悪くなったり、食べたがらなくなったりします。
- 痛みが急に起きて数分から1時間ほどで治まることも多いですが、繰り返すことがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では痛みの感じ方が弱くなることがあり、症状がわかりにくい場合があります。
- 発熱や黄疸(皮膚や目が黄色くなる)を伴うことが多く、重症化しやすいため注意が必要です。
原因
主な原因
- 胆のうや胆管にできる胆石が、胆汁の出口(胆管)を一時的にふさぐことで起こります。
- 胆石はコレステロールや胆汁色素が固まってできるもので、大きさや数は人によってさまざまです。
リスク要因
- 肥満や急激な体重減少
- 女性であること
- 40歳以上の年齢
- 糖尿病や高脂血症
- 妊娠や出産の経験
- 胆石の家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上記「緊急の症状」に該当する場合
- 痛みが非常に強く、市販の鎮痛薬で治らない場合
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが繰り返し起こるが、自然に治まっている場合でも、一度医療機関を受診して原因を調べることをおすすめします。
- 胆石があることがわかっているが症状がない場合でも、定期的に医師の診察を受けると安心です。
診断
医師が症状を聞き、おなかを触診した後、画像検査を行って診断します。血液検査で炎症の有無も調べます。
行われる可能性のある検査
- 腹部エコー(超音波検査):胆石の有無や胆のうの状態を調べる、最も一般的な検査です。
- 血液検査:炎症や黄疸の程度を調べます。
- CT検査:詳しい胆石の位置や合併症の有無を確認するために行うことがあります。
- MRI(MRCP):胆管の状態を詳しく見たい場合に行います。
診察で予想されること
最初はかかりつけ医(内科医)を受診することが多いです。必要に応じて消化器内科や外科の専門医を紹介されます。検査は痛みを伴わないものがほとんどで、30分~1時間程度で終わります。
治療
胆石疝痛の治療は、痛みを和らげる対症療法と、根本的な原因である胆石を取り除く治療に分けられます。症状の程度や胆石の大きさ、合併症のリスクによって最適な方法が選ばれます。
自宅でのセルフケア
- 痛みが起きたら安静にし、脂っこい食事を避けてください。
- 市販の鎮痛薬(例:非ステロイド性消炎鎮痛薬)を使用してもよいですが、自己判断での長期使用は避け、医師や薬剤師に相談しましょう。
- 温かいタオルをおなかに当てると痛みが和らぐことがありますが、熱くなりすぎないよう注意してください。
医療治療
医療機関では、痛みを抑えるための注射や薬(消化管のけいれんをとる薬など)を使用したり、炎症がある場合は抗生物質の投与を行います。胆石を溶かす内服薬は一部の患者さんにのみ有効で、適応は医師が判断します。
手術が検討される場合
胆石疝痛を繰り返す場合や、合併症のリスクが高い場合には、胆のうを摘出する手術(腹腔鏡下胆のう摘出術)が検討されます。この手術は全身麻酔で行いますが、傷が小さく回復が早いため、現在広く行われています。手術の必要性は医師とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
胆石があっても、ほとんどの方は普段どおりの生活を送れます。ただし、胆石疝痛の発作を避けるため、食事や生活習慣に注意が必要です。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食生活を心がけ、1日3食きちんと食べる。
- 脂っこい食事(揚げ物、肉の脂身、バターなど)を控える。
- 急激な体重減少を避け、適正体重を維持する。
- 適度な運動(ウォーキングなど)を習慣にする。
食事と運動
食事は野菜や果物を多く取り、食物繊維を豊富に含む食品(全粒穀物、豆類)を積極的に摂りましょう。脂質の多い食事は避け、魚や鶏肉など脂肪の少ないタンパク質を選ぶとよいです。運動は週に数回、30分程度の有酸素運動が推奨されます。
精神的健康と心の健康
繰り返す痛みや手術への不安は、精神的な負担になることがあります。気持ちが落ち込んだり、眠れない日が続く場合は、一人で抱え込まずに医師やカウンセラーに相談してください。
予防
胆石そのものを完全に予防することは難しいですが、バランスのよい食事と適度な運動、適正体重の維持がリスクを下げると考えられています。特に、急激なダイエットは胆石のリスクを高めるため避けましょう。
検診プログラム
定期的な健康診断の腹部エコーで胆石が見つかることがあります。特に症状がなければ治療の必要はないことが多いですが、年に一度は医師の診察を受けると安心です。
合併症
治療しない場合
- 急性胆のう炎:胆のうが炎症を起こし、激しい痛みや発熱が続く。
- 総胆管結石:胆石が胆管にはまり込み、黄疸や胆管炎を引き起こす。
- 急性膵炎:胆石が膵臓の出口をふさぎ、膵臓に炎症が起きる。命に関わることもある。
長期的な見通し
胆石疝痛は適切な治療でほとんどの場合、症状を改善できます。手術を受けた方は胆のうがない状態でも日常生活に大きな支障はなく、再発の心配もほとんどありません。合併症が起きても、早めに治療すれば多くは回復します。不安なことは医師に相談しながら、前向きに治療に取り組みましょう。
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最終更新: 2026年7月17日
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