ブラストミセス症(真菌感染症)
概要
ブラストミセス症は、土の中にすむカビの一種(ブラストミセス)の胞子を吸い込むことで起こる感染症です。主に肺に影響しますが、皮膚や骨、脳など全身に広がることもあります。人から人へはうつりません。
重要な事実
- 原因は土壌中にいる真菌(カビ)で、胞子を吸い込むことで感染します。
- 人から人へは感染しません。
- 治療は抗真菌薬を数か月間、根気よく続けることが必要です。
日本では非常にまれな病気です。北米(アメリカやカナダ)の特定の地域では比較的多く見られます。
誰でも感染する可能性がありますが、30~60歳の成人や、免疫力が低下している人、土や野外で働く人などで多く報告されています。
症状
- 息が苦しくて息ができない
- 胸の強い痛みが続く
- 血の混じったたんが出る
- 意識がもうろうとする・反応が弱い
- ⚠高熱が続く(解熱剤が効かないなど)
- ⚠咳が1週間以上続き、悪化している
- ⚠皮膚の炎症やできものが広がっている
- ⚠免疫力が低下している(抗がん剤治療中など)で発熱や咳がある
一般的な症状
- 咳(長引くことが多い)
- 発熱や悪寒
- 胸の痛み
- 筋肉や関節の痛み
- 体重減少
- 皮膚のできものや潰瘍(皮膚に広がった場合)
子供の症状
- 発熱や咳が続く
- 疲れやすく元気がない
- 食欲不振や体重減少
- 皮膚に赤いできものが現れることもある
高齢者の症状
- 高熱や強い息切れなど、症状が重い傾向があります
- せん妄(意識がぼんやりする)など、脳への影響が出ることがあります
- 肺炎を起こしやすく、重症化しやすいです
原因
主な原因
- ブラストミセスという真菌(カビ)の胞子を吸い込むことが原因です
- この真菌は湿った土壌や腐った木材などのある場所に生息しています
- 感染した人や動物からうつることはありません
リスク要因
- ブラストミセスが多く見られる地域への旅行・滞在(北米の一部など)
- キャンプや農作業など、土のある場所での活動
- 免疫力が低下している(ステロイド使用、HIV感染、臓器移植後など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 長引く咳、発熱、胸の痛み、息切れがある
- 皮膚に治りにくい潰瘍やできものがある
- 海外の流行地域から帰国後に風邪のような症状が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 気になる症状が2週間以上続いている
- 肺炎と診断されたが治療に反応しない
- 慢性の咳や体重減少があり、原因がわからない
診断
まず医師が症状や渡航歴、職業などを詳しく聞きます。その後、たんや尿、皮膚の組織などを検査に出して、菌がいるかを確認します。必要に応じてX線やCTなどの画像検査も行います。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線やCT検査
- たんの培養検査(菌を育てて確認)
- 尿中抗原検査(尿に菌の成分がないか調べる)
- 皮膚病変の生検(組織の一部を取って調べる)
- 血液検査
診察で予想されること
診断には数日から数週間かかることがあります。真菌感染症に詳しい専門医(呼吸器科や感染症科)に紹介されることもあります。検査の結果に基づいて治療方針が決まります。
治療
ブラストミセス症の治療は、抗真菌薬という内服薬を中心的に行います。症状が重い場合は、入院して点滴での治療が必要になることもあります。治療期間は数か月以上に及ぶことが多いため、医師の指示に従って根気よく続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 処方された薬は指示通りに飲み切る(自己判断でやめない)
- 十分な休息と睡眠をとる
- 水分をしっかり補給する
- たばこを吸わない(肺への負担を減らす)
- 症状の変化をメモして医師に伝える
医療治療
治療の中心となるのは抗真菌薬です。具体的な薬の種類や量は、症状の重さや患者さんの状態によって医師が決めます。軽症の場合は内服薬で治療できますが、重症の場合や免疫が弱っている場合は、入院して点滴治療を行い、その後内服薬に切り替えることがよくあります。治療は数か月から1年以上続くこともあります。妊娠中やほかの持病がある場合は、医師と相談しながら安全な治療法を選びます。
手術が検討される場合
非常にまれですが、肺の中に大きな膿の塊(膿瘍)ができたり、骨の病変がひどい場合には、外科的な処置を検討することがあります。多くの場合は薬物治療が中心です。
この病気と共に生きる
長期間の治療が必要です。毎日決まった時間に薬を飲み、通院を継続しましょう。疲れやすい時期は無理をせず、体調に合わせて生活リズムを整えてください。感染症は人にうつさないので、周囲の人を心配させる必要はありません。
生活習慣のアドバイス
- 喫煙を避ける
- バランスのよい食事を心がける
- 適度な運動(医師と相談しながら)
- 睡眠を十分にとる
- ストレスをためない工夫をする
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、感染症と戦う体を支えるために、たんぱく質や野菜を中心とした栄養バランスのよい食事を心がけましょう。運動は、無理のない範囲で軽いウォーキングなどから始めるとよいです。息切れがある場合は医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
長引く病気の治療中は、不安や落ち込みを感じることがあっても自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人に話したり、医師に気持ちを伝えたりしましょう。もしも強い不安やつらい気持ちで眠れない日が続くときは、遠慮せずに医師に相談してください。万一、命の危険を感じるほどのつらい気持ちになった場合は、迷わず救急サービス(119番)に連絡してください。
予防
ブラストミセス症を完全に予防する方法はまだありません。しかし、感染力の高い地域の土やほこりを吸い込まないようにすることで、リスクを減らせます。免疫力が低下している人は特に注意が必要です。
ワクチン
現時点で、ブラストミセス症を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
一般的な健康診断で、この感染症を調べることはありません。流行地域に滞在して症状がある場合などに、医師が検査を検討します。
合併症
治療しない場合
- 肺炎の重症化や呼吸不全
- 皮膚の潰瘍が広がる
- 骨や関節への感染(骨髄炎など)
- 中枢神経系への感染(髄膜炎など)
- 全身に広がる播種性感染
長期的な見通し
治療をきちんと受ければ、多くの方は数か月で改善します。完全に回復するまでに時間がかかることもありますが、予後は一般に良好です。免疫力が非常に低下している方や重症の方は、治療が難しいこともありますが、医師と一緒に最善の治療を続けることが大切です。希望を持って治療に取り組みましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
情報源とガイダンス
この記事で使用した情報源には、以下に示す参考文献が含まれます。
最終更新: 2026年10月20日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.