血糖値と脳の健康―知っておきたい基礎知識
概要
血糖(けっとう)は血液中に含まれる糖のことです。体のエネルギー源であり、特に脳にとっては最も大切な燃料です。血糖値が高すぎる、または低すぎると、頭の働きや気分、体の調子に影響が出ることがあります。
重要な事実
- 脳は体の中で消費するエネルギーの約2割を使う、大変エネルギーを必要とする臓器です。
- 血糖値が低くなると、頭がぼーっとする、イライラするなどの症状が出ることがあります。
- 血糖値が高すぎる状態が続くと、長い時間をかけて脳や体の血管にダメージを与える可能性があります。
血糖値の変動は私たちの生活の中でよくあることです。糖尿病患者さんだけでなく、健康な人でも空腹時や食後などに一時的な変動を経験します。
特に糖尿病やその予備群の人、血糖を下げる薬を使っている人、食生活が不規則な人、高齢者に多く見られます。しかし、誰にでも起こり得る症状です。
症状
- 呼びかけに反応しない
- 意識がもうろうとする、または失う
- けいれん(ひきつけ)を起こす
- しゃべりにくい、片方の手足が動かせないなど、脳卒中のような症状
- 深く速い呼吸や果物のような甘いにおい(アセトン臭)、激しい嘔吐、急激な腹痛、混乱がある
- ⚠低血糖や高血糖の症状が、自分で対処しても改善しない
- ⚠血糖値が非常に高いまたは低い数値が続いている(自分で測れる場合)
- ⚠転んだり、頭を打ったりしてからぼんやりしている
- ⚠一日中だるい、頭痛が取れない
- ⚠水分がとれずに脱水が疑われる
一般的な症状
- 集中力の低下
- 頭がぼーっとする(頭のモヤモヤ感)
- イライラする
- 疲れやすい
- 思考がまとまらない
- 言葉がうまく出てこない
子供の症状
- 甘えがひどくなる
- かんしょく(癇癪)が増える
- 授業中に集中できない
- いつもより元気がない
- お菓子を異常に欲しがる
高齢者の症状
- 混乱や昼間の眠気
- 最近物忘れが多くなったような感じ
- ふらつきや転倒
- 動きが遅くなる
- 言葉の反応が鈍い
原因
主な原因
- 食事の間隔があきすぎる、抜かす
- 血糖を下げる薬の量やタイミングが合っていない
- 激しい運動をした後に補食をしない
- 大量にアルコールを飲む
- 食べ過ぎや運動不足
- 感染症やストレス
リスク要因
- 糖尿病またはその予備群である
- 糖尿病の薬を使っている
- 高齢である
- 腎臓や肝臓の働きが低下している
- 睡眠不足や不規則な生活
- ストレスが多い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- めまいや意識が飛びそうな感覚、強いふらつき、脈がすごく速いなどの症状が突然出た場合
- 低血糖や高血糖の症状が繰り返し出て、自分での対処が難しい場合
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れや頭のぼんやり感が何週間も続く
- 食後に決まって眠くなる
- 糖尿病の治療中で、低血糖や高血糖を繰り返す
診断
医師が問診と血液検査をもとに行います。糖尿病や低血糖が疑われる場合、食事前や食後に血糖値を測ります。HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という過去1〜2か月の平均血糖値を示す検査もよく使われます。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖値
- 食後血糖値
- 随時血糖値
- HbA1c
- 75g経口ブドウ糖負荷試験
- 血糖値の自己測定
診察で予想されること
採血は数分で終わります。糖尿病と診断された場合は、次に生活習慣の確認や合併症の検査(眼科・腎臓など)が行われることもあります。結果をもとに、医師があなたに合った治療の計画を立てます。
治療
治療の目標は、血糖値を健康な範囲に保ち、脳や血管のトラブルを予防することです。薬やインスリンだけでなく、食事、運動、生活習慣の見直しがとても大切です。自己判断で薬を休んだりせず、必ず医師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- 3食を規則正しく食べる
- 野菜、たんぱく質、良質な脂質を組み合わせる
- 糖が多い飲み物やお菓子をとりすぎない
- 低血糖を感じたら、医師や薬剤師に相談し、自分に合った対処法を知っておく
- アルコールを飲む時は、食事や間食を忘れない
- 日頃から体調や血糖値の記録をつける
医療治療
糖尿病と診断された場合、医師は生活習慣の改善に加えて、血糖を下げる薬(内服薬)やインスリン注射などを、必要に応じて処方します。どの薬が合うかは、体質や血糖値の状態、腎臓や肝臓の働き、妊婦かどうかなどによって異なります。薬を飲む時は、医師の指示どおりに使用してください。
手術が検討される場合
血糖値そのものを手術で治すことはできません。ただし、糖尿病の合併症(目の病気や腎臓の病気など)によって手術が必要になる場合は、血糖を整えることが手術の安全に重要です。
この病気と共に生きる
血糖値の変動は、日々の生活リズムに大きく影響されます。毎日の習慣を見直し、小さなことからコツコツ続けることが、脳と体の健康を守る近道です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に、同じくらいの量の食事をとる
- 仕事や家事の合間にこまめに体を動かす
- 睡眠時間を十分にとる
- ストレス解消法を見つける
- 家族や友人に低血糖の症状と対処法を伝えておく
食事と運動
主食・主菜・副菜をそろえ、野菜から食べるなどの工夫で血糖の上昇を和らげられます。運動は血糖値を下げる働きがあるため、無理のない範囲で継続しましょう。激しい運動の前には、食べる量や飲み物を工夫してください。
精神的健康と心の健康
血糖値の変動は気分や集中力に影響するため、うつや不安の原因になることがあります。『自分だけが頑張れない』と落ち込んだり、不安が続いたりする場合は、一人で抱え込まずに医師や看護師、薬剤師に相談してください。こころの専門家(精神保健福祉センターなど)に聞いてみるのも一つの方法です。
予防
多くの場合、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスをためない生活によって、糖尿病の発症を予防したり、血糖を安定させたりすることができます。ただし、すべての症例を予防できるわけではありません。早めに見つけて、早めに対処することが大切です。
ワクチン
糖尿病の人は感染症にかかると重症化しやすく、血糖値が乱れやすくなります。インフルエンザや肺炎球菌ワクチンの接種を、かかりつけ医と相談してみてください。
検診プログラム
職場や自治体の健診では、血糖値やHbA1cをチェックできます。40歳以上の人や、妊娠中の方、家族に糖尿病患者が多い方は、定期的な健康診断を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 網膜症(目の血管のダメージ)により視力が低下する
- 腎臓の機能が低下する(糖尿病性腎症)
- 神経障害により手足のしびれや痛みが出る
- 脳血管障害(脳卒中)や心筋梗塞のリスクが高まる
- 認知機能の低下や認知症のリスクが高まる
- 低血糖を繰り返すと、無自覚性低血糖になり注意が鈍くなる
長期的な見通し
血糖管理をしっかり行えば、糖尿病でも安心して生活できます。治療や生活の改善はすぐに結果が出ないこともありますが、継続することで脳や体の合併症を防ぎ、元気な毎日を送る確率が大きく高まります。
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最終更新: 2026年8月14日
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