ぶつけた・ぶつかったときのけが(鈍的外傷)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
鈍的外傷とは、刃物などで皮膚を切ることなく、『ぶつける・押しつける・たたく』ような鈍い力が体に加わって起こるけがです。打撲のほか、あざ、骨のひび、骨折、筋肉や靭帯の損傷、内臓の損傷などが含まれます。見た目に血が出ない場合でも、体の中では出血や傷が起きていることがあります。
重要な事実
- 皮膚が切れていなくても、内側の組織や臓器が傷ついていることがあります。
- 強い力が加わると、骨折や内臓の損傷など重いけがにつながることがあります。
- 症状は時間とともに変化することがあり、数時間後に現れることもあります。
- 多くは自然に治りますが、適切な診察と手当てが回復を早めます。
はい。日常で起こりやすいけがのひとつです。転倒、スポーツ中、事故などで頻繁にみられます。
すべての年代に起こり得ますが、特に小さな子ども、高齢者、スポーツをする人、体を動かす仕事をしている人は注意が必要です。
症状
- 意識を失った、または呼びかけに反応しない
- 呼吸が苦しい、または呼吸が浅い
- 激しい頭痛、何度も吐く、手足のまひやしびれ
- 勢いよく出る出血が止まらない
- お腹がひどく痛み、腹が板のように硬い
- 事故や高所からの転落など、かなり強い衝撃を受けた
- ⚠痛みがだんだん強くなる
- ⚠腫れやあざが広がる
- ⚠体重をかけられない、関節を動かせない
- ⚠ふらつく、見えにくい、しゃべりにくい
- ⚠尿に血がまじる、感覚がにぶい
- ⚠数時間たっても症状が改善しない
一般的な症状
- 痛み(押すと痛む)
- あざ(皮下出血)
- 患部の熱感や赤み
- 関節や手足を動かしにくい
子供の症状
- ずっと泣く、ぐずる
- 痛い場所を触らせない
- いつもより元気がない、ぼんやりしている
- 嘔吐(おうと)をくりかえす
- 事故直後と様子が違う
高齢者の症状
- 痛みを強く感じにくいことがある
- あざが広範囲に広がる
- めまい、立ちくらみ
- 転倒後にいつもと様子が違う(ぼんやり、混乱)
- 内出血が進んだときの血圧低下や疲れ
原因
主な原因
- 転倒や転落
- 交通事故
- スポーツ中の接触や衝突
- 物や人にぶつかられる・たたかれる
- 落下物や飛んできた物が当たる
リスク要因
- 年齢(子どもや高齢者)
- 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
- 運動不足による筋力低下
- バランス能力の低下
- 接触系スポーツ
- 安全用具を使用しない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識に違和感がある
- 激しい痛み、息苦しさ、吐き気が続く
- 骨折が疑われる(変形、強い痛みで動かせない)
- 目や頭、のど、お腹などを強く打った
- 血をサラサラにする薬を飲んでいる方は、けがが軽くても早めに相談する
定期受診を予約すべき場合:
- 腫れや痛みが数日たっても弱らない
- 痛みはあるが家庭で様子を見たいときに受診の目安を知りたい
- けがの後、不安が続く
診断
医師がけがの状況をくわしく聞き、痛み・腫れ・変形の有無などを確認します。体の動きも検査します。必要に応じて画像検査で骨や内臓の状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- X線(レントゲン)検査:骨のひびや骨折の確認
- CT検査:骨と同時に頭やお腹の内臓の出血などを詳しく確認
- 超音波(エコー)検査:お腹の中の出血や組織の損傷を確認
- 血液検査:出血量や体内の異常を調べる
診察で予想されること
診察では、打った部位や全体の状態をチェックされます。痛みが強い場合は、先に痛みを和らげる処置をしてくれることもあります。検査が必要なら説明を受け、結果に合わせて次のステップを決めます。
治療
けがの程度と場所によって治療は変わります。軽い打撲は自宅での応急手当てが中心になります。骨や内臓の損傷がある場合は、医療機関での治療や経過観察が必要です。
自宅でのセルフケア
- 直後から、アイスパックなどで15〜20分冷やし、腫れを抑える(皮膚に直接あてない)
- 腫れている部分を安静にし、心臓より高い位置に保つ
- 包帯などでやや軽く圧迫する
- 痛みが強い間は、その部位を無理に使わない
医療治療
痛みや炎症を和らげる薬は、医師や薬剤師に相談して適切なものを使用します。装具やギプスで固定する、理学療法を行う、安静を指示するなどの方法があります。いずれも医師の指示に従うことが大切です。
手術が検討される場合
骨がずれたり、お腹や頭の中の出血が止まらなかったり、臓器が傷ついたりした場合に、手術が必要になることがあります。必要かどうかは検査結果をふまえて、医師が判断します。
この病気と共に生きる
けがの回復具合に合わせて生活を調整しましょう。痛みが強い時期は無理をせず、睡眠と食事をしっかりとって回復を助けます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(たばこは血流や治りを悪くするため)
- 症状が軽くなっても急に運動を再開しない
- 主治医・理学療法士の指示に沿って段階的に動き始める
- 痛みや心配ごとを日記に書くと、経過と気持ちを整理しやすい
食事と運動
たんぱく質・野菜・果物を中心としたバランスの良い食事を心がけます。運動は、医師の許可が出てから、痛みのない範囲で少しずつ再開しましょう。
精神的健康と心の健康
事故や暴力によるけがは、心にも影響を与えることがあります。不安、眠れない、思い出してつらくなるなどの症状が続く場合は、一人で抱え込まずに医療機関や心の専門家に相談しましょう。地域の相談窓口を利用することも助けになります。
予防
すべてのけがを防ぐことはできませんが、リスクを大きく減らすことはできます。家の中の障害物を片づける、手すりをつける、スポーツや自転車ではヘルメットや防具を正しく着用する、お酒を飲みすぎないなどが効果的です。
合併症
治療しない場合
- 出血が続いて貧血になる
- 骨が正しい位置で治らず、体の動きに影響する
- 痛みが長引く
- 受傷した組織の周囲でこわばりや筋力低下が起こる
長期的な見通し
多くの鈍的外傷は、適切な手当てと時間でしっかり治ります。重症の場合でも、手術やリハビリテーションが発達しており、回復の可能性は十分にあります。医師の指示を守り、焦らず自分のペースで回復を目指しましょう。
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最終更新: 2026年8月14日
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