くり返す体いじり(BFRB)について知っておこう
概要
BFRB(Body Focused Repetitive Behavior)は、髪を抜く・皮膚をかむ・爪を噛むなど、自分自身の体にしてしまう繰り返し行動をやめられない状態です。本人の意志の弱さではなく、脳の習慣の仕組みやストレスと関係していると考えられています。自分を傷つけようとしているわけではありませんが、皮膚や髪にダメージを残すことがあります。
重要な事実
- 髪を抜く、皮膚をかむ、爪を噛むなどの行動を繰り返してしまう状態
- ストレスや不安、退屈な時間などがきっかけになることがある
- 本人はやめたくてもやめられず、つらさや恥ずかしさを感じることが多い
- 治療やサポートによって改善できる
決して珍しいものではありません。軽いものも含めると、人口のおよそ数パーセントの人が経験するといわれています。
子どもから大人まで、どの年齢でも起こりえます。特に10代ごろに始まることが多く、女性にやや多い傾向がありますが、男性にもよくみられます。
症状
- 自分や周りの人が重大な自傷行為をした
- 出血が止まらない、または広く深い傷がある
- 意識に異常がある、または自分を傷つけたいという強い考えがある場合は、すぐに119番など救急に連絡してください
- ⚠傷口が化膿している(赤くはれる、痛む、熱をもつ、膿が出る)
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠引っ張った髪の毛が最近急に大量に抜けた、または頭皮や皮膚に異常がある
一般的な症状
- 髪の毛を引っ張って抜く、ねじる、切る
- 皮膚をかむ、つまむ、引っかく
- 爪を深く噛む、爪の周りの皮をむく
- 唇や頬の内側を噛む
- やめようと努力しても続けてしまう
- 集中できない、仕事や勉強に支障が出る
- 行動した後に恥ずかしさや罪悪感を感じる
原因
主な原因
- BFRBの原因は一つではありません。感情のコントロールやストレスと関係していることが多く、退屈なとき、イライラしたとき、逆にリラックスしたいときなどに行動が出やすくなります。脳の習慣づけの仕組みが関係していると考えられています。
リスク要因
- 完璧主義や強い心配性の傾向
- 不安やうつなどの精神的な不調
- ストレスの多い生活環境
- 家族に同じような行動がある場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自分や周りの人が重大な自傷行為をした場合は、すぐに119番など救急に連絡してください。
- 傷口が腫れ上がる、熱がある、膿が出るなどの感染症のサインがある場合は、同じ日、遅くとも翌日には医療機関を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 癖をやめたくても自分では難しい
- 皮膚や髪にダメージがある
- 学校や仕事、人間関係に影響が出ている
- 恥ずかしさやつらさで毎日の生活がしんどい
診断
主に医師との問診によって診断されます。どんなときに行動が出るか、いつ始まったか、日常生活への影響などを詳しく聞きます。特別な検査はありませんが、同じような症状を引き起こす別の病気がないかを確認するために、皮膚の診察や血液検査などを行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 一般的に特別な検査はありません。
- 必要に応じて、甲状腺の病気や皮膚の病気、鉄欠乏などを調べる血液検査や皮膚の診察が行われます。
診察で予想されること
診察では、あなたの悩みに共感しながら、行動が起きる仕組みを一緒に整理していきます。診断名がつくことが治療の必要なすべてを決めるわけではありません。医師はあなたを責めたりせず、サポートする姿勢で接しますので、安心して話してください。
治療
BFRBの治療の中心は、心理的なサポートと自分でできる対策です。とくに『認知行動療法』という方法が効果的とされています。これは、行動のきっかけに気づき、別の行動で置き換えることを練習するものです。場合によっては、医師が薬物治療を検討することもあります。
自宅でのセルフケア
- 行動に出たときの気分や場面をメモして、きっかけに気づく
- 手を使って行う別の動作(手を握る、紙を折る、粘土を握るなど)を試す
- 爪を短く切る、手袋をするなど、物理的に行動しにくくする工夫
- ストレスをためないよう、十分な睡眠と運動を心がける
- 自分を責めず、少しでもできたことを認める
医療治療
医療的な治療としては、心療内科や精神科などの専門医による認知行動療法がよく行われます。医師の判断によって、気分の落ち込みや不安を和らげる薬が処方される場合もありますが、特定の薬をすすめるものではありません。必ず医師と相談し、指示に従ってください。自己判断でほかの薬やサプリメントを使うのは避けましょう。
手術が検討される場合
BFRBそのものに対して手術が行われることはありません。ただし、皮膚の傷が深い場合や感染症を起こした場合は、その処置として外科的な治療が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
まずは『完璧にやめよう』と思わないことです。ときには行動が出てしまうこともありますが、それで失敗ではなく、長い目で見て少しずつ変化していけば良いと考えましょう。自分の行動のパターンを理解すると、コントロールしやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の睡眠時間をしっかり確保する
- 適度な運動や趣味でストレスを発散する
- リラックスする時間を意識的に作る
- 手が空いて無意識に行動してしまう時間を減らすために、簡単な作業や読書などを見つける
食事と運動
特別な食事療法はありません。ただし、肌や髪の健康を保つためには、バランスの良い食事と十分な水分が大切です。運動はストレスを減らしたり、気分を安定させたりする効果もあります。
精神的健康と心の健康
BFRBは、恥ずかしさや孤独感、自信の低下につながることがあります。また、不安やうつを伴う方も少なくありません。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まずに、精神科や心療内科などの専門家に相談してください。もし、命に関わるような強い危機感や自傷の考えがある場合は、ためらわずに119番に連絡してください。
予防
BFRBを完全に予防することは難しいですが、ストレスをため込まず、十分な睡眠や自分に合ったリラックス法を身につけることで、症状が強くなりにくくできます。
ワクチン
この状態を予防するためのワクチンはありません。
検診プログラム
特定の検診はありませんが、気になる症状が続く場合は早めに医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 髪の毛が減る、皮膚の損傷が残る
- 傷口から細菌が入って感染する
- 恥ずかしさや自己否定でうつや不安が悪化する
- 仕事や学業、人間関係に支障が出る
長期的な見通し
BFRBは『治らない』ものではなく、多くの人が適切なサポートによって症状を軽くし、自分らしい生活を取り戻しています。回復のペースは人それぞれです。焦らなくても大丈夫です。一歩ずつ、あなたのペースで進んでいきましょう。
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最終更新: 2026年8月14日
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