骨のがん(骨肉腫・軟骨肉腫など)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
骨のがんとは、骨にできる悪性腫瘍(あくせいしゅよう)のことです。がん細胞が骨の中で無秩序にふえ、健康な骨を壊しながら大きくなります。ほかの臓器から骨に広がる「転移性骨腫瘍」と、骨自体から発生する「原発性骨腫瘍」があります。ここでは、骨自体から発生する骨のがんについて説明します。
重要な事実
- 骨自体から発生する骨のがんは、全がんの中でごくまれです。
- 代表的なものに骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫があります。
- 早期に治療すれば、治る可能性がある病気です。
原発性(骨自体から発生する)骨のがんは非常にまれで、日本では年間におよそ1,000人(全がんの約0.2%)と推定されています。
骨肉腫は10代から20代の若い世代に多く、軟骨肉腫は40代以降に多く見られます。しかし、どの年齢でもかかる可能性があります。
症状
- 突然、激しい頭痛や意識のぼんやりが起こる
- けいれんがある
- 急に息が苦しくなる
- 大量の出血がある
- 強い痛みで全く動けなくなる
- ⚠骨折の疑いがある(骨が変な形に曲がる、激しく腫れる)
- ⚠我慢できないくらいの強い骨の痛みがある
- ⚠高熱が続く
- ⚠突然、足に力が入らず歩けない
- ⚠しびれや排尿・排便のトラブルがある
一般的な症状
- 骨の痛みが続く(夜間や安静にしていても痛む)
- 骨の周りが腫れる、しこりが触れる
- 少しの衝撃で骨が折れる
- 体を動かしにくい、歩きにくい
- 原因不明の疲れや発熱
子供の症状
- 膝や肩の近くの痛みや腫れ
- 成長痛と間違われることがある
- 夜、痛みで目が覚める
- 足を引きずって歩く
- 転んだわけではないのに骨が折れる
高齢者の症状
- 腰や背中、骨盤の痛みが続く
- 背中が丸くなったり、身長が縮んだりする
- 手足のしびれや力が入らない
- 特にけがをしていないのに痛む
- だるさや体重減少がある
原因
主な原因
- 骨のがんの正確な原因はまだ完全にはわかっていません。
- 遺伝子の変化が関係していると考えられています。
- 過去にほかの病気で放射線治療を受けたことがあると、骨のがんのリスクがわずかに上がるといわれています。
- 骨の病気(パジェット病)がある場合、まれに骨のがんを発症することがあります。
リスク要因
- 10代から20代である(骨肉腫)
- 40代以上である(軟骨肉腫)
- 過去に放射線治療を受けた
- パジェット病などの骨の病気がある
- しばしば同じ種類の骨のがんが家系に見られる(非常にまれ)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 骨の痛みが2週間以上続く、または悪化する
- 夜間や安静にしているときも骨が痛む
- けがの記憶がないのに骨折した
- 骨の周りの腫れがどんどん大きくなる
定期受診を予約すべき場合:
- なんとなく骨の調子が悪いと感じる
- 体重が減ったり、熱が続いたりする
- 治療後も定期的な検診が必要と言われている
診断
骨のがんの診断は、問診、診察、画像検査、そして組織検査(生検)を組み合わせて行います。まずは整形外科を受診するとよいでしょう。
行われる可能性のある検査
- X線(レントゲン)検査
- CT検査
- MRI検査
- 骨シンチグラフィー検査
- PET検査
- 生検(組織の一部を取って顕微鏡で調べる検査)
診察で予想されること
生検は骨のがんの診断で特に大切で、全身麻酔や局所麻酔で骨の組織の一部を採取します。結果が出るまでに数日かかりますが、確定診断がないと正しい治療方針は決められません。検査の意味や不安なことは、遠慮せず医師や看護師に聞いてください。
治療
骨のがんの治療は、手術、放射線治療、薬物治療(抗がん剤など)を組み合わせて行います。がんの種類や進行度、年齢、体の状態などを考慮して、医師が患者本人と話し合いながら方針を決めます。日本では、厚生労働省の指針に基づき、がん診療連携拠点病院などで専門的な治療を受けることができます。
自宅でのセルフケア
- 治療中は十分な休養をとる
- 痛みがあるときは無理をせず、主治医に相談する
- 食事をとれないときは、少しずつでも好きなものを口にする
- 感染予防のため手洗いをこまめにする
- 不安や悩みは家族や医療者に話す
医療治療
骨のがんの治療には、がんを切り取る手術、高エネルギーの放射線でがんを壊す放射線治療、抗がん剤などの薬でがんを抑える薬物治療があります。薬物治療には、吐き気やだるさなどの副作用がありますが、それを和らげる治療も一緒に行われます。最近では、がんの特徴に合わせて治療を選ぶ個別化医療も進んでいます。
手術が検討される場合
手術は、がんを完全に取り除くことを目指す治療です。手足の骨のがんでは、できるだけ手足を残す「温存手術」が行われます。がんが広い範囲に及ぶ場合は切断せざるを得ないこともありますが、最近は人工関節や骨移植などの技術で、切断せずにすむことも増えています。
この病気と共に生きる
骨のがんの治療は長くかかることがあります。気分がよい日は普段どおりに過ごし、つらい日は休む、というように、体調に合わせて生活のリズムを整えることが大切です。定期的な通院とリハビリを続け、経過をしっかり見守りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 痛みの範囲で無理なく体を動かす
- バランスのよい食事を心がける
- 十分な睡眠で体を休める
- たばこは吸わない
- 飲酒は控えめにする
食事と運動
骨の健康のために、カルシウムやビタミンDを含む食品(牛乳、小魚、緑黄色野菜など)を積極的にとりましょう。運動は医師や理学療法士の指導のもと、骨に負担をかけすぎない範囲で行うことが大切です。
精神的健康と心の健康
がんと診断されると、不安や悲しみ、怒り、孤独感など、さまざまな感情がわいてきます。これは自然な反応です。つらいときは一人で抱え込まず、家族や友人、医師、看護師、精神科医などに話してみましょう。もし自分を傷つけたいという気持ちになったときは、すぐに信頼できる人や医療者に相談し、地域の精神保健福祉センターや相談機関に連絡してください。
予防
骨自体から発生する骨のがんを、確実に予防する方法はまだわかっていません。ただし、骨の痛みや腫れなどの異常を早めに医師に相談し、早期の検査を受けることが、進行を防ぐために大切です。
合併症
治療しない場合
- がんが周りの骨や筋肉に広がる
- 骨がもろくなり、骨折や強い痛みをくり返す
- 肺などほかの臓器に転移する(とくに骨肉腫で多い)
- しびれや麻痺などの神経症状が出る
長期的な見通し
骨のがんは進行度によって治療成績は異なりますが、近年の治療の進歩によって、治る可能性は大きく高まっています。また、手足を温存できる手術方法も増えています。診断されたときは不安が大きくても、医師や医療チームと十分に話し合い、一歩ずつ治療を進めていくことが大切です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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