ボツリヌス中毒について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
ボツリヌス中毒は、ボツリヌス菌という細菌が作る毒素によって起こる、まれではありますがとても重い病気です。この毒素が体の神経に影響し、筋肉が働かなくなります。
重要な事実
- ボツリヌス菌は、土や海の中など自然の中に広く存在しています。
- 毒素が体内に入ると、まぶたが下がる、物が二重に見える、飲み込みにくいなどの症状が現れます。
- 早く見つけて治療すれば、治る可能性が高い病気です。
ボツリヌス中毒はとてもまれな病気です。日本では毎年の発症例はごくわずかで、厚生労働省も注意を呼びかけています。
どんな人でもかかる可能性がありますが、特に1歳未満の赤ちゃんと、手作りのびん詰め食品などを食べた人に多くみられます。
症状
- 呼吸が苦しい
- 飲み込みができず、よだれが流れる
- 手足の力が急に抜けて、立っていられない
- 意識がもうろうとする
- ⚠まぶたが下がる、物が二重に見える
- ⚠ろれつが回らない
- ⚠食べ物や水分を飲み込むのがいつもより難しい
- ⚠おなかの張りや便秘が続く
一般的な症状
- 口のかわき
- まぶたが下がる
- 物が二重に見える
- ろれつが回らない
- 飲み込みにくい
- 体に力が入らない、脱力感
子供の症状
- 便秘が続く
- 泣き声が弱い
- ミルクを飲みにくい
- 体がぐにゃりとしていて、首がすわらない
高齢者の症状
- 症状はたいていの年齢層で同じですが、高齢者の方は脱水や誤嚥性肺炎(物が肺に入って起こる肺炎)などの合併症を起こしやすくなります。
原因
主な原因
- ボツリヌス菌に汚染された食品を食べる(食事性ボツリヌス症)
- 傷口が菌に汚染されて、体内で毒素が作られる(創傷性ボツリヌス症)
- 1歳未満の赤ちゃんが菌を腸内で増殖させる(乳児ボツリヌス症)
リスク要因
- 自家製のびん詰めや缶詰、低酸性の食品(にんにくの油漬けなど)
- 1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えること
- 土や泥のついた傷の手入れをしないこと
- 注射薬(薬物)の使用
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 症状の項目に書いた緊急の症状がある場合、すぐに119番に電話してください。
- まぶたが下がる、物が二重に見える、飲み込みにくいなどがあれば、たとえ軽くても救急外来を受診しましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- ボツリヌス菌の可能性がある食品を食べた後、少しでもだるさや口のかわきがある場合は、かかりつけ医や救急外来に相談しましょう。
- 1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えてしまった場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。症状がなくても確認が必要です。
診断
医師が話を聞き、体の神経の症状を調べたうえで、ボツリヌスを疑って検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(毒素がないか調べます)
- 便の検査(菌や毒素がないか調べます)
- 食べ残した食品の検査(原因の特定に役立ちます)
- 神経の伝わる速さを調べる検査(筋肉の反応を確認します)
診察で予想されること
ボツリヌス症は重い病気なので、検査は入院しながら行われることが多いです。結果が出るまで時間がかかる場合もありますが、治療は検査と並行してすぐに始まります。
治療
ボツリヌス中毒は入院しての治療が必要です。毒素を中和する薬や、呼吸を助ける設備がある医療機関で集中的に治療します。
自宅でのセルフケア
- ボツリヌス中毒が疑われる場合、自宅で様子を見るのは危険です。
- 安静にしている、水分を取るといった対処では改善しません。
- 速やかに医療機関を受診してください。
医療治療
治療では、ボツリヌス毒素の働きを抑える薬(抗毒素)が使われます。呼吸や飲み込みの筋肉が動かなくなった場合には、呼吸を助ける機械(人工呼吸器)を使ったり、栄養を点滴で補ったりしながら、体の回復を待ちます。創傷性ボツリヌス症では、傷の洗浄や取り除きが必要です。
手術が検討される場合
創傷性ボツリヌス症の場合、菌が入った傷口を切開・洗浄する手術的な処置が行われることがあります。
この病気と共に生きる
回復はゆっくりと進みます。数週間から数か月かかることがありますが、多くの人は時間とともに完全に近い回復を見込めます。リハビリテーションを行うこともあります。
生活習慣のアドバイス
- 主治医の指示に従って、無理のない範囲で体を動かしましょう。
- 食欲がないときは、無理に食べず、医師や管理栄養士に相談しましょう。
- 家族や周囲の人は、患者の気持ちに寄り添い、焦らずに見守りましょう。
食事と運動
飲み込みの機能が戻るまでは、食事は医師や栄養士の指示に従ってください。飲み込みが可能になったら、少しずつ食べる量を増やし、運動は医師の許可が出てから始めます。
精神的健康と心の健康
動けない、話しにくいといった症状が続くと、不安や落ち込みを感じることがあります。気持ちのつらさは、医療者に遠慮なく伝えてください。必要に応じて心のケアを受けることもできます。もし強い絶望感や自分を傷つけたい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の精神保健センター、電話相談を利用しましょう。命に関わる危機的な状態では、ためらわず119番に連絡してください。
予防
はい。食品をしっかり加熱する、傷を清潔に保つ、1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えないなどの工夫で、ほとんどのボツリヌス症は防げます。
ワクチン
現在、日本で一般的に使用されているボツリヌス症の予防ワクチンはありません。
検診プログラム
健康診断でボツリヌス中毒を予防したり検査したりすることはありません。いつもと違う症状を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 体の神経が広い範囲で麻痺し、歩けなくなったり、話せなくなったりすることがあります。
- 呼吸の筋肉が動かなくなり、生命の危険が生じることがあります。
- 誤って飲んだものが肺に入り、肺炎を起こすことがあります。
長期的な見通し
ボツリヌス中毒は早く治療を始めれば、命にかかわる危険を回避できる可能性が高い病気です。症状が重くても、回復までに時間はかかるものの、多くの人が日常生活に戻っています。治療中も医療者が丁寧に関わってくれるので、一人で悩まないでください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。