おなかの病気の急性増悪(フレアアップ)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
腸のフレアアップとは、特に潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患で、症状が落ち着いている状態から、急に腹痛や下痢、血便などが強く出る状態のことをいいます。ふだんの生活に支障が出るほど症状が続くこともあります。
重要な事実
- フレアアップは、症状が落ち着いている状態(寛解期)と、症状が強い状態(活動期)を繰り返す病気で起こりやすいです。
- 食事、ストレス、疲れ、薬の変更、感染症などがきっかけになることがありますが、原因がはっきりしないこともあります。
- 早めに医療機関に相談すれば、症状を軽くし、長引くことを防げる可能性があります。
慢性の腸の病気を持つ人にとっては、よくあることです。日本では潰瘍性大腸炎とクローン病を合わせて約30万人の患者さんが治療を受けているといわれています。
潰瘍性大腸炎やクローン病は、10代後半から40代までの若い世代に多く見られます。しかし、子どもや高齢者でも起こることがあります。
症状
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番に電話して救急車を呼びましょう。
- 大量の血便(便に鮮血が混じる、血の塊が出る)
- 激しい腹痛が続く、または急に強くなる
- 40度近い高熱が出る
- 意識がもうろうとする、冷や汗が出る、脈が速い(ショックの恐れ)
- ⚠翌日まで待つのは危険です。当日中に医療機関に連絡しましょう。
- ⚠血便が続いている
- ⚠1日に10回以上の下痢がある
- ⚠吐き気や嘔吐で水分がとれない
- ⚠強い腹痛で体を動かせない
- ⚠急に体重が減った
一般的な症状
- 水のような下痢が続く
- 下腹部を中心とした腹痛
- 便に血や粘液が混じる
- 吐き気や食欲の低下
- 体重が減る
子供の症状
- 体重が増えない、背が伸びないなど成長の遅れ
- 腹痛や下痢をがまんして、学校に行けないことがある
- 貧血による顔色の悪さや疲れやすさ
高齢者の症状
- 脱水症状になりやすい
- 意識がぼんやりする、血圧が下がるなどの重い状態に進みやすい
- 食事がとれず体重減少や衰弱がおきやすい
原因
主な原因
- 炎症性腸疾患の炎症が再び活発になること
- 胃腸の感染症(ウイルスや細菌)
- ストレスや過度の疲労
- 痛み止めや抗生物質など、一部の薬の影響
リスク要因
- 治療を自己判断で中断する
- 睡眠不足や不規則な生活
- 香辛料の強いものや脂っこい食事
- 心理的なストレス
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- おなかの症状がいつもより強く、日常生活が送れない
- 血便が続く、または回数が増えた
- 下痢が続いて脱水症状が心配
- 強い腹痛や発熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢や腹痛が2週間以上続く
- 便の状態が以前と違う気がする
- 体重が減っていることに気づいた
- 貧血やだるさが続く
診断
まず、医師が症状やおなかの状態を診察し、そのうえで必要に応じて検査を行います。消化器内科の受診が適しています。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症の程度や貧血の有無)
- 便検査(便に血や炎症の成分がないか)
- 大腸内視鏡検査(肛門から細いカメラを入れ、腸の中を直接観察する)
- 腹部エコー(超音波)やCTなどの画像検査
診察で予想されること
検査は、腸の炎症の範囲や程度を正確に確認するために行います。大腸内視鏡検査は、前日の食事制限や下剤を飲む準備がありますが、多くの場合、鎮静薬を使うためあまり痛みを感じずに受けられます。
治療
フレアアップの治療は、腸の炎症を抑えて症状を早く落ち着かせ、再発を防ぐことを目指します。症状の強さに合わせて治療方法を選びます。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとる
- おかゆやうどんなど、消化の良いものを食べる
- 脂肪分の多いものや刺激の強いものを控える
- 安静にして体を温かくする
- タバコを控える
医療治療
治療には、腸の炎症を抑える薬、免疫の働きを調整する薬、炎症を引き起こす物質の働きを抑える薬などがあります。治療薬は、症状や検査結果に基づいて医師が選択します。自己判断で量を変えたりやめたりしないでください。
手術が検討される場合
薬で効果が十分でない場合や、腸に穴が開く、大量出血などの合併症があるときは、手術が必要になることがあります。手術をする場合は、体への負担が少ない方法を医師とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
フレアアップは、うまく付き合いながら生活することが大切です。症状が落ち着いているときも、腸の状態をいたわる生活を続けることで、再発を減らすことができます。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠時間をとる
- ストレスをため込まず、気分転換の方法を見つける
- 喫煙は避ける
- 食事は規則正しく、ゆっくり食べる
- かかりつけ医との連絡を欠かさず、薬は指示どおりに使う
食事と運動
バランスのよい食事を基本に、自分の体に合わない食べ物を把握することが大切です。フレアアップのときは、食物繊維の多い食品は下痢を悪化させることがあるため、医師や管理栄養士に相談しましょう。ウォーキングなどの軽い運動は腸の調子を整えるのに役立ちますが、激しい運動は避けましょう。
精神的健康と心の健康
おなかの症状が続くと、不安になったり、気分が落ち込んだりすることがあります。これは決して弱さではなく、病気の一部として現れることもあります。つらいときは、遠慮せずに医師や看護師、薬剤師に相談しましょう。
予防
慢性的な腸の病気のフレアアップは、完全に防ぐことはむずかしいですが、治療を続け、生活習慣を整えることで回数を減らすことができます。特に、自己判断で治療をやめないことが大切です。
ワクチン
感染症をきっかけにフレアアップが起こることがあるため、インフルエンザなどの予防接種を検討することがあります。予防接種の可否は、かかりつけ医と相談して決めましょう。
検診プログラム
炎症性腸疾患の方は、大腸がんになるリスクがやや高いといわれています。症状が落ち着いていても、定期的に大腸内視鏡検査を受けることがすすめられています。
合併症
治療しない場合
- 腸に穴が開く(穿孔)
- 大量の出血
- 腸が狭くなって便が通りにくくなる(狭窄)
- 栄養不足や貧血が進む
- 関節炎、皮膚症状、目の炎症などの合併症
長期的な見通し
近年は、さまざまな治療薬が登場し、フレアアップをうまくコントロールできるようになってきました。多くの患者さんが、仕事や学校、趣味を続けながら生活しています。一つひとつの症状に真剣に向き合い、医師と一緒に治療を続けていくことで、良い状態を保てる可能性は十分にあります。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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