高齢者の便通(べんつう)の悩みと対策
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
便通とは、食べたものがおなかを通って、『うんち』として体の外に排出されることをいいます。年を重ねると、筋力や消化の働きが変化するため、便秘になったり、便がゆるくなったりすることがあります。これらはよくあることですが、適切な対策で改善できることが多いです。
重要な事実
- 便秘とは、排便が週3回未満だったり、便が硬くて出すときに痛みがある状態をいいます。
- 加齢にともない、腹筋(おなかの筋肉)や腸の動きが弱くなると、便秘になりやすくなります。
- 水分と食物繊維、適度な運動が便通を整える基本です。
とてもよくあります。高齢者の約30%が便秘を経験すると言われており、便秘薬をのんでいる方も少なくありません。
65歳以上の男女に多く見られます。特に、運動量が減ったり、筋肉が弱ったりすると、排尿・排便の働きに影響がでることがあります。また、他の病気の薬を長く飲んでいる方にもよく見られます。
症状
- 突然の激しいおなかの痛みがある
- 便に鮮やかな赤い血が混ざっている、または黒いタール状の便が出る
- 便が全く出ず、吐き気や嘔吐が続く(腸閉塞の可能性)
- ⚠血便がある(便に血が混じる)
- ⚠吐きけやおう吐があり、便やガスが止まっている
- ⚠熱をともない、おなかの痛みが強い
- ⚠急に便秘になった、または便の形が細くなった
一般的な症状
- 便が硬く、出すときにおなかや肛門(こうもん)に痛みを感じる
- 排便の回数が少ない(週に3回未満)
- おなかが張る、ガスがたまる
- 便を出し切れない感じ(残便感)が続く
- 下痢や軟便が続くことがある
- 便がゆるんで漏れそうになる(便失禁)
高齢者の症状
- 便が硬くなり、いきんでも出にくい
- 便もれ(便失禁):ゆるい便が肛門から漏れてしまう
- 出し切れない感じが続き、何度もトイレに行く
- おなかの張りや不快感が日常的にある
- 便の色が黒い(消化管出血の可能性)
原因
主な原因
- 腸の動きが弱くなる(加齢による消化管の運動低下)
- 腹筋や骨盤底筋(こつばんていきん)の低下により、いきむ力が弱くなる
- 水分や食物繊維が不足しがちになる
- 運動不足による全身の筋力低下
- 薬の副作用(一部の降圧薬、鎮痛薬、抗コリン薬など)
- 痔や直腸の病気、内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)
リスク要因
- 高齢(特に75歳以上)
- 寝たきりや運動不足
- 水分をあまりとらない
- 低栄養、食欲不振
- 複数の薬をのんでいる
- うつや認知症などでトイレに行くことを我慢してしまう
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血便、黒い便、激しい腹痛、吐き気をともない排便が止まっている場合はすぐに受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 便秘が1〜2週間以上続く
- 便の状態が急に変わった
- トイレに行く回数が急に増えた、または減った
- 体重が減った
診断
医師が症状を詳しく聞き、おなかの状態を触診します。必要に応じて血液検査やおなかのレントゲン、大腸の検査(内視鏡など)を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(便の状態、頻度、飲んでいる薬など)
- おなかの触診・聴診
- 直腸診(肛門から指を入れて直腸の状態を調べる)
- 血液検査(貧血や甲状腺の病気などがないか)
- 腹部レントゲン・腹部超音波検査
- 大腸内視鏡検査(大腸がんなどがないか調べる)
診察で予想されること
診察室では、これまでの便の様子や生活習慣を聞かれます。気になることは何でも話しましょう。検査は短時間で終わることが多く、すぐに結果がわかる検査もあります。
治療
治療の中心は生活習慣の見直しと、必要に応じた薬の調整です。まずは食事や水分・運動で改善を目指し、それでも良くならない場合に医師が薬を検討します。
自宅でのセルフケア
- 毎日決まった時間にトイレに行く習慣をつける(朝食後など)
- 水分を1日1.5〜2リットルを目安に飲む(ただし心臓や腎臓の病気がある場合は医師の指示に従う)
- 食物繊維を増やす(野菜、果物、海藻、豆類など)
- 腹筋や骨盤底筋を意識した軽い運動を行う
- 便意を感じたら我慢せずにトイレに行く
- いきみすぎず、リラックスしてトイレに座る
医療治療
便秘や下痢を整える薬(下剤や整腸剤など)は、医療機関で処方されることがあります。市販薬を使う場合も、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。薬の使い方、量、期間は必ず医師や薬剤師の指示に従いましょう。
手術が検討される場合
まれに、腸がねじれたり、狭くなったり、腫瘍がある場合は手術が必要になることがあります。通常は検査と相談を重ねて慎重に判断されます。
この病気と共に生きる
排便のリズムは人それぞれです。完璧を目指さず、自分のパターンを知りましょう。トイレに長く座りすぎないこと、いきみすぎないことも大切です。もし便もれが心配な場合は、アンダーウェアやライナーなどを使って快適に過ごす方法もあります。
生活習慣のアドバイス
- 朝起きたらコップ一杯の水を飲む
- 食後に軽い散歩をする
- テレビや音楽を楽しみながら排便の時間をリラックスして過ごす
- 骨盤底筋を鍛える体操を日常に取り入れる
食事と運動
食事は、1日3食、規則正しくとることが基本です。食物繊維は野菜、きのこ、海藻、豆類などに豊富です。ただし、急にたくさんとるとおなかが張るため、少しずつ増やしましょう。適度な運動は、ウォーキングや座ってできる体操などで十分です。
精神的健康と心の健康
便通のトラブルは、恥ずかしいと感じて誰にも相談できず、悩みを一人で抱えてしまうことがあります。また、トイレへの不安が外出を控える原因にもなります。気分の落ち込みや不安が続く場合は、家族や医療者に話すことが大切です。
予防
多くの場合、生活習慣の改善で予防や症状の軽減が可能です。特に水分、食物繊維、運動の3つを習慣にすることが役立ちます。
ワクチン
高齢者向けの肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンは、便通に直接関係しませんが、感染症を予防することで体調を整える助けになります。予防接種についてかかりつけ医にご相談ください。
検診プログラム
便通の変化は大腸がんのサインであることもあります。便潜血検査(便に微量の血液が混ざるかを調べる検査)などを、自治体の大腸がん検診で定期的に受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 痔(いぼ痔)や裂肛の悪化
- 宿便(とても硬い便が直腸にたまる)
- 腸閉塞(腸がつまってしまう)
- 便失禁の悪化
- 大腸がんなどの病気の見逃し
長期的な見通し
便通の問題は多くの場合、生活の見直しや医療的なサポートで改善できます。あきらめずに、まずは相談することから始めましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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