腸閉塞(ちょうへいそく)
概要
腸閉塞(ちょうへいそく)は、食べ物や水分、ガスが腸の中を通過できなくなる病気です。腸が詰まることで、おなかの張りや痛み、吐き気やおう吐(おうと)などの症状が出ます。
重要な事実
- 腸閉塞は早く対処すれば、多くの場合改善します。
- 治療では、食事を一時的に止めて腸の負担を減らす「絶食(ぜっしょく)」が基本的な対応です。
- 原因や状態によっては、手術が必要になることもあります。
腸閉塞は、それほどまれな病気ではありません。特に、過去に腹部の手術を受けた人で起こりやすくなります。
どの年齢でも起こる可能性がありますが、高齢者、腹部の手術歴がある人、大腸がんなどのがんの治療をしている人に多くみられます。
症状
- 我慢できないほどの激しい腹痛が続く
- 何度もおう吐して、水分が取れない
- おなかがパンパンに張って息苦しい
- 便に血が混じる、または黒い便が出る
- 顔色が青白く、冷や汗が出る
- これらの症状が一つでもある場合は、ためらわずに119番へ連絡してください
- ⚠強い腹痛に加えて発熱がある
- ⚠吐き気やおなかの張りが続く
- ⚠水分が取れず、口が渇く、尿が少ない
一般的な症状
- おなかの強い痛み(波のようにくり返し起こることがあります)
- おなかが張って苦しい感じがする
- 吐き気やおう吐(吐いたものに便のようなにおいがすることがあります)
- 便やガスがまったく出ない
子供の症状
- 突然の激しいおなかの痛み
- 何度もおう吐する
- 便やガスが出ない
- ぐったりして機嫌が悪い
高齢者の症状
- 痛みがはっきりせず、単に食欲がないだけのこともあります
- 元気がなくなり、活動量が減る
- 熱もないのに、ぼんやりしたり混乱したりすることがある
原因
主な原因
- 腹部の手術後の癒着(ゆちゃく)…腸がおなかの内側にくっついて狭くなる
- ヘルニア(脱腸)…腸がおなかの壁の弱い部分から飛び出して締めつけられる
- 大腸がんなどのがんが腸をふさぐ、あるいはおさえつける
- 腸がねじれる(腸捻転)腸の一部がねじれて通らなくなる
リスク要因
- 腹部または骨盤の手術を受けたことがある
- 高齢である
- 大腸がんなどの腹部のがんの治療中または治療歴がある
- 慢性的な便秘がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい腹痛や嘔吐が続いている場合
- 便やガスがまったく出ず、おなかが張る場合
- おなかを触ると強く痛む場合
定期受診を予約すべき場合:
- 便秘やおなかの張りが徐々に続く場合
- 腹痛が断続的に起こり、気になる場合
診断
医師がおなかを診察し、聴診器で腸の音を聞くなどの検査から始めます。必要に応じて画像検査を行い、詰まりの場所や原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:炎症や脱水の有無、腎臓の状態を調べます
- 腹部レントゲン(X線)検査:腸にガスがたまっていないか確認します
- CT検査:詰まりの場所と原因を詳しく調べます
- 超音波(エコー)検査:外来でも受けやすい検査です
診察で予想されること
まず、これまでの病気や手術の有無、服用中の薬を聞かれます。その後、おなかを触る診察があり、必要に応じて採血や画像検査を行います。
治療
腸閉塞の治療は、腸の中の圧力を下げることと、原因を取り除くことの2つが柱です。状態によっては入院して治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 食事を一時的にすべて止めます(絶食)。医師の指示なしに口にしてはいけません
- 水分補給は点滴で行うことが多く、指示に従いましょう
- 安静にし、からだに負担をかけすぎないようにします
医療治療
治療法には、鼻や口から入れた管(チューブ)で胃や腸にたまったガスや液体を外に出す減圧、点滴による水分・栄養補給、原因に応じた薬物療法(腸の動きを整える薬など)があります。使う薬や方法は、患者さんの状態に合わせて医師が選択します。
手術が検討される場合
腸が壊死(組織が死んでしまう)している場合や、がんやねじれが原因の場合は、手術が必要になることがあります。手術では、ふさがっている部分を取り除いて腸をつなぎ直したり、癒着をはがしたりします。
この病気と共に生きる
治療後は、食事を少しずつ再開します。最初はおかゆや軟らかい食べ物など消化の良いものから始め、体の反応を見ながら通常の食事に戻すのが基本です。
生活習慣のアドバイス
- ウォーキングなど軽い運動を無理のない範囲で続ける
- 便秘を防ぐため、水分を十分に取り、食物繊維を意識した食事を心がける(医師の指示がある場合)
- 体重の急な変化に注意し、気になることがあれば相談する
食事と運動
退院後は、1日3食を規則正しく、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。一度に大量に食べたり、油っこいものを一気に食べたりするのは避けましょう。適度な運動は腸の動きを助けますが、強い腹圧がかかる運動は様子を見ながら行ってください。
精神的健康と心の健康
腸閉塞は再発することもあるため、不安やストレスを感じる方が少なくありません。気持ちが落ち込んだり、どうしても不安が続くときは、ひとりで抱え込まずに医師や看護師、薬剤師などの専門家に話しましょう。
予防
腸閉塞のすべてを予防することはできませんが、便秘に気をつけること、腹部の手術後は規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけること、腹部の違和感を悪化させないことが、リスクを減らす助けになります。
検診プログラム
大腸がんも腸閉塞の原因になるため、全国の自治体や職場で行われるがん検診を定期的に受けることが勧められています。厚生労働省も検診の大切さを推奨しています。
合併症
治療しない場合
- 腸の壁に穴が開く(穿孔)
- おなかの中が感染する(腹膜炎)
- 腸の組織が壊死して、全身に重い感染が広がる
- 脱水や電解質異常が進み、意識障害を起こす
長期的な見通し
腸閉塞は、適切なタイミングで治療を始めれば、多くの場合改善します。原因や全身状態によって経過は異なりますが、医療チームと一緒に治療を進め、焦らずに回復を目指しましょう。
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最終更新: 2026年8月14日
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