脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)について
概要
脳動脈瘤は、脳の血管の一部が風船のように膨らむ病気です。多くの場合、破裂するまで症状が出ませんが、破裂するとくも膜下出血(くも膜と脳の間の出血)を引き起こし、命に関わることがあります。
重要な事実
- 脳動脈瘤は脳の血管にできる小さな風船のような膨らみです。
- 破裂するとくも膜下出血という重い状態を引き起こす可能性があります。
- すべての脳動脈瘤が破裂するわけではなく、経過観察だけで済むこともあります。
脳動脈瘤は決して珍しいものではありません。一般に、成人の約3~5%に存在すると言われています。
40代以降の成人に多く、女性は男性よりやや多いとされています。高血圧の方や喫煙習慣のある方は、より注意が必要です。
症状
- 突然の、これまでに経験したことのないような激しい頭痛
- 吐き気や嘔吐を伴う激しい頭痛
- 意識を失う、または意識がもうろうとする
- けいれん発作が起きる
- 片方の手足のまひ、しびれ、言葉が出にくい
- ⚠持続する頭痛や、時間とともに悪化する頭痛
- ⚠目のかすみや物が二重に見える
- ⚠顔半分のしびれや力が入りにくい
一般的な症状
- 多くの脳動脈瘤は、破裂するまで症状を引き起こしません。
- 大きくなった動脈瘤では、片側の目の奥の痛み、物が二重に見える(複視)、顔の片側のしびれなどが現れることがあります。
子供の症状
- 子どもの脳動脈瘤はまれです。現れる場合の症状として、頭痛、嘔吐、けいれん、意識の異常などがありますが、これらの症状は他の病気でも起こり得ます。
高齢者の症状
- 高齢者では、無症状のことが多く、健康診断などで偶然見つかることがよくあります。破裂した場合は、突然の激しい頭痛、吐き気、意識の低下などが現れます。
原因
主な原因
- 脳動脈瘤の正確な原因はまだ十分にわかっていませんが、血管の壁が部分的に弱くなり、血圧の影響で膨らむと考えられています。
- 血管の壁が生まれつき弱い場合や、動脈硬化(血管が硬くもろくなること)が関係する場合があります。
リスク要因
- 高血圧(血圧が高いこと)
- 多量の飲酒
- 脳動脈瘤やくも膜下出血の家族歴
- 結合組織病(血管の材料である組織が弱くなる病気)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい頭痛、吐き気や嘔吐、意識の異常がある場合は、すぐに119番に電話して救急車を呼んでください。
定期受診を予約すべき場合:
- 脳動脈瘤と診断されている方、または家族に脳動脈瘤の人がいる方は、定期的に医師の診察を受けましょう。
- 高血圧や喫煙など危険因子がある方は、かかりつけ医に相談し、血圧管理や生活習慣の改善についてアドバイスを受けましょう。
診断
脳動脈瘤は、頭部のCT検査(コンピュータ断層撮影)やMRI検査(磁気共鳴画像)、脳血管造影検査などで診断されます。これらの検査により、脳の血管の形や大きさ、血流の状態を詳しく調べます。
行われる可能性のある検査
- 頭部CT検査
- 頭部MRI検査
- MRA(磁気共鳴血管造影)
- 脳血管造影検査(カテーテルを血管に入れて造影剤を流す検査)
診察で予想されること
検査は専門の医療機関で行われます。造影剤を使う検査では、事前に食事制限や薬の調整が必要なことがあります。検査自体は数十分で終わり、痛みはほとんどありません。結果は医師から説明され、今後の方針を一緒に決めていきます。
治療
治療の目的は、動脈瘤が破裂するのを防ぎ、命と脳の機能を守ることです。動脈瘤の大きさ、場所、形、年齢、全身の健康状態などを考慮し、経過観察を含むいくつかの選択肢があります。
自宅でのセルフケア
- 血圧を管理する(高血圧の場合は医師の指導に従う)
- 禁煙する
- 過度な飲酒を控える
- ストレスをためすぎない
- 規則正しい生活を送る
医療治療
治療法としては、開頭手術で動脈瘤の根元をクリップで挟む方法と、カテーテルを使って血管の中から動脈瘤を塞ぐ血管内治療があります。どちらの方法が適しているかは、動脈瘤の状態や患者さんの体質によって専門医が判断します。また、破裂のリスクが低い場合は、手術をせずに定期的な画像検査で経過を見ることもあります。
手術が検討される場合
動脈瘤が大きい、形が不規則、症状がある、または破裂するリスクが高いと判断された場合には、手術や血管内治療の実施が検討されます。
この病気と共に生きる
治療後も、定期的に画像検査を受け、動脈瘤の再発や新たな動脈瘤の出現がないかを確認することが大切です。日々の生活では、血圧を安定させ、無理をせず、医師の指示に従って過ごしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日血圧を測る習慣をつける
- 禁煙を続ける
- 飲酒はほどほどにする
- 定期的に医療機関を受診する
- 重いものを持ち上げる、強い力でいきむなど、急に血圧が上がる動作を避ける
食事と運動
塩分を控えめにし、野菜や果物を多くとるバランスの良い食事を心がけましょう。適度な有酸素運動(ウォーキングなど)は血圧の安定に役立ちますが、激しい運動や無理なトレーニングはかえってリスクになる場合があります。運動を始める前には医師に相談しましょう。
精神的健康と心の健康
脳動脈瘤と診断されると、「いつ破裂するのだろう」という不安や恐怖を感じるのは自然なことです。しかし、その不安を一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に話しましょう。必要に応じて、心の健康を専門に支援するカウンセラーや精神科医の助けを求めることも大切です。
予防
脳動脈瘤そのものを完全に予防することはできませんが、破裂のリスクを減らすことはできます。厚生労働省も、健診における血圧測定や、禁煙・節酒などの生活習慣の改善を推奨しています。
検診プログラム
すべての人に検査を勧めるわけではありませんが、家族に脳動脈瘤やくも膜下出血の人がいる場合、または特定の遺伝性の病気がある場合は、医師に相談し、必要に応じて検査を検討しましょう。
合併症
治療しない場合
- 破裂によるくも膜下出血と、それに伴う脳の損傷
- 脳血管のけいれん(血管れん縮)による脳梗塞
- 水頭症(脳の中に脳脊髄液がたまる状態)
- 再破裂による症状の悪化
長期的な見通し
脳動脈瘤の診断・治療技術は大きく進歩しています。破裂する前に見つかれば、経過観察や治療によって、多くの方が普段の生活を維持できます。たとえ破裂した場合でも、救急搬送から適切な治療を受けることで、社会復帰を果たす方もいます。未来は明るいと考え、前向きに治療に取り組むことが大切です。
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最終更新: 2026年10月20日
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