脳腫瘍(のうしゅよう)について
概要
脳腫瘍とは、頭の骨の内側にある脳やその周りの組織に、本来とは違う細胞のかたまり(腫瘍)ができる病気です。腫瘍には「良性」と「悪性」のものがあります。良性はゆっくり育つことが多く、悪性は周りの組織に広がることがあります。ただし、どちらも頭の中の圧力が高まることでさまざまな症状が出ることがあります。
重要な事実
- 脳腫瘍は、良性と悪性の大きく2種類に分けられます。
- 良性の脳腫瘍は、多くは進行がゆっくりで、治療で治ることもあります。
- 悪性の脳腫瘍は、進行が速く、治療が必要になることが多いです。
- 頭痛やけいれん、手足のまひなどの症状が出ることがあります。
- 早期にみつけて治療することで、経過が良くなることがあります。
脳腫瘍は「まれ」とまでは言えませんが、非常によくある病気というわけでもありません。日本では年間に10万人あたり約10〜15人程度の方が新たに診断されるといわれています。
脳腫瘍は子どもから大人まで、どの年齢でも起こり得ます。種類によって好まれる年齢が異なりますが、大人では中高年に多くみられるものもあります。
症状
- 突然、これまでにない激しい頭痛が起こった
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- けいれんが止まらない、または何度も繰り返す
- 片方の手足が急に動かせなくなった
- 急に視力が失われた、または物が二重に見え続ける
- ⚠頭痛が数日間続き、食欲がなく吐き気がある
- ⚠頭をぶつけたわけではないのに、嘔吐を繰り返す
- ⚠言葉がうまく話せず、ろれつが回らない
- ⚠ふらつきやバランスの違和感が続く
- ⚠けいれんを初めて起こした
一般的な症状
- 頭痛(特に朝方に強い、吐き気を伴うもの)
- 吐き気や嘔吐
- けいれん(発作)
- 視力の低下や物が二重に見える
- 手や足のまひ、しびれ
- 言葉がわかりにくくなる、話しにくい
- 物忘れがひどくなる
- 歩き方のふらつきやバランスが取りにくい
子供の症状
- 頭の大きさが急に大きくなる
- 朝方の頭痛や吐き気
- 目つきがおかしい(斜視など)
- 機嫌が悪い、泣きやすい
- 体のバランスが悪く、よく転ぶ
- 発達や成績の後れが気になる
高齢者の症状
- 物忘れやぼんやりすることが多くなる
- 歩き方が不安定になる
- 元気がなくなる、意欲が低下する
- 言葉が出にくくなる
- 認知症のような症状と似ていることがある
原因
主な原因
- 脳腫瘍の多くは、原因がはっきりわからないとされています。
- がん細胞と同じように、遺伝子の変化がかかわると考えられていますが、生活習慣やけがによって起こることはほとんどありません。
- 一部の脳腫瘍は、遺伝性の病気と関連することがあります。
リスク要因
- 高い線量の放射線を頭部に受けたことがある
- 脳腫瘍を起こしやすい特定の遺伝性の病気をもっている
- 家族に脳腫瘍を繰り返す人がいる(まれ)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 頭痛がひどくなっている、または吐き気やけいれんを伴う
- 手足のまひやしびれが続く
- 物が二重に見える、視力が急に落ちた
- 言葉がうまく話せなくなった
- 意識がぼんやりする、または性格が急に変わった
定期受診を予約すべき場合:
- ときどき頭痛があるが、ひどくはない
- 最近、物忘れが気になる
- 体のバランスがなんとなく悪いと感じる
- けいれんを起こしたことがある(ただし、初めてのけいれんはすぐに救急対応が必要)
診断
医師は、まず症状の話を詳しく聞き、手足の動きや目、言葉などの神経の状態を確認する診察を行います。その後、必要に応じて画像検査を行い、脳の状態を調べます。診断は「問診」「神経学的診察」「画像検査」をもとに行われますが、確定診断には組織の一部を取って調べる「生検」が必要になることもあります。
行われる可能性のある検査
- 神経学的診察(手足の力、感覚、バランス、目の動き、反射などの確認)
- CT検査(コンピューター断層撮影)
- MRI検査(磁気共鳴画像)
- 生検(腫瘍の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)
- 場合によっては、視力・聴力の検査や血液検査
診察で予想されること
病院では、まず脳神経内科や脳神経外科を受診することが多いです。診察や検査の流れを医師が説明してくれます。検査の結果、腫瘍が見つかった場合は、専門の治療が行える病院を紹介されることもあります。不安なことや治療のことについて、何度でも医師に質問して大丈夫です。
治療
脳腫瘍の治療は、腫瘍の種類・大きさ・場所・進行具合・年齢・体の状態などによって異なります。主な治療には、手術、放射線治療、薬を使った治療などがあります。医師が患者さんと話し合いながら、最適な治療方針を決めていきます。
自宅でのセルフケア
- 治療中は、十分な休養と睡眠を心がける
- 頭痛やけいれんなどの症状が変わったら、記録しておく
- 飲んでいる薬やサプリメントを医師に必ず伝える
- 多すぎる情報にふりまわされず、担当医に確認する
医療治療
医療による治療には、手術で腫瘍を摘出する方法、放射線を当てて腫瘍を小さくする方法、抗がん剤などの薬を使って細胞の増殖を抑える方法があります。これらの治療は単独で行うことも、組み合わせて行うこともあります。薬の種類や量は患者さんの状態に合わせて医師が慎重に決定します。
手術が検討される場合
腫瘍が脳の表面に近い場所にあり、安全に取り出せる場合は、手術で腫瘍を摘出することが第一選択となることがあります。場所が近くならず危険な場合は、生検だけを行ったり、ほかの治療を優先したりすることもあります。
この病気と共に生きる
治療中や治療後は、体調に合わせて生活のリズムをつくることが大切です。無理をせず、疲れたときは休むことを心がけましょう。リハビリが必要な場合は、専門のスタッフと一緒に筋力やバランス、言葉の機能を少しずつ取り戻していきます。
生活習慣のアドバイス
- 定期的に医師の診察を受け、指示を守る
- 規則正しい睡眠をとる
- 無理のない範囲で体を動かす
- 家族や友人と話す時間を持つ
- 運転など、症状によっては危険な活動を控える
食事と運動
特別な食事が脳腫瘍に効くという科学的な証拠はありません。しかし、バランスの良い食事は体力と免疫力を保つ助けになります。食べられる範囲で、ご飯、野菜、たんぱく質を組み合わせた食事をとりましょう。運動は医師に相談してから、散歩や軽いストレッチなどから始めると良いです。
精神的健康と心の健康
脳腫瘍と診断されると、不安や悲しみを感じるのは自然なことです。また、治療の副作用や症状によって気分が落ち込むこともあります。こうした気持ちを一人で抱え込まず、家族や医療者、カウンセラーに話すことが大切です。もしも自傷行為を考えたり、生きるのがつらくなったりしたときは、すぐに誰かに助けを求めてください。日本では、精神的なつらさを相談できる相談窓口や、こころの健康に関するサポートがあります(例:厚生労働省が提供する心の健康相談の案内など)。
予防
現時点で、脳腫瘍を確実に予防する方法はわかっていません。ふだんの生活習慣や食事が脳腫瘍の発生に直接関係しているという証拠はありません。健康を保つために、規則正しい生活と適度な運動を心がけることは、病気の早期発見や体力維持に役立ちます。
ワクチン
脳腫瘍そのものを予防するワクチンはありません。
検診プログラム
一般的な健康診断で脳腫瘍を調べるスクリーニングは推奨されていません。気になる症状がある場合は、早めに医療機関で相談することが早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなり、頭の中の圧力が高まって激しい頭痛や吐き気が続く
- 脳の大切な働きを圧迫して、まひや言葉の障害が重くなる
- けいれんや意識障害が起こる
- 腫瘍の種類によっては、周りの組織に広がり進行する
- まれに、脳ヘルニアという命にかかわる状態を起こすことがある
長期的な見通し
脳腫瘍の経過は、腫瘍の種類や場所、発見の時期、治療の内容によって大きく異なります。良性の腫瘍は手術で取り切れれば長期間元気に過ごせることもあります。悪性の腫瘍でも、治療により症状を抑えながら生活の質を保つことが可能です。最新の医療は日々進歩しており、希望を持って治療に取り組むことが大切です。
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最終更新: 2026年10月20日
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