グリオーマ(脳腫瘍の一種)
概要
グリオーマは、脳の中の神経細胞を支える「グリア細胞」からできる腫瘍(できもの)です。良性のものから悪性(がん)までさまざまなタイプがあり、腫瘍が大きくなると脳を圧迫して、頭痛やけいれんなどの症状が出ることがあります。
重要な事実
- グリオーマは脳腫瘍のなかでは最も多いタイプです。
- 進行の遅いタイプ(低悪性度)と進行の速いタイプ(高悪性度)があります。
- 治療は手術・放射線治療・薬物療法を組み合わせて行うことが多く、腫瘍の状態に応じて計画されます。
まれな病気ではありませんが、一般的な病気でもありません。脳腫瘍全体ではグリオーマが最も多い種類ですが、がん全体で見ると発生数は少ない部類です。
どの年齢でも起こりますが、一部のタイプは子どもに多く、別のタイプは中年から高齢者に多く見られます。誰にでも発症する可能性があります。
症状
- 突然の激しい頭痛がある場合は、すぐに119番に電話してください。
- けいれん(てんかん発作)が止まらない場合や、初めてのけいれんは、119番に電話してください。
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない場合は、119番に電話してください。
- 突然、片方の手足が動かなくなり、言葉がしゃべれない場合は、119番に電話してください。
- ⚠数日から1週間以上続く頭痛(特に朝方)は、当日中の受診を検討してください。
- ⚠吐き気や嘔吐を伴う頭痛がある場合は、早めに受診してください。
- ⚠初めてけいれん(発作)を起こした場合は、その日のうちに救急外来を受診してください。
一般的な症状
- 頭痛(朝方や横になったときに強くなることがあります)
- けいれん(てんかん発作)
- 手足のしびれや力の入りにくさ
- 言葉が出にくい、相手の話が理解しにくい
- ものが二重に見える、視野が欠ける
- ふらつき、バランスをとりにくい
- 性格の変化や物忘れ
子供の症状
- 頭囲が急に大きくなる
- 朝に繰り返す吐き気や嘔吐
- 機嫌が悪い、ぐったりする
- 歩き方がうまくならず、つまずきやすい
高齢者の症状
- 物忘れやぼんやりすることが目立ち、認知症と見間違われることがある
- 体の片側の力が入らない、言葉の出にくさなど、脳卒中に似た症状が現れることがある
- 頭痛やめまいが続く
原因
主な原因
- グリオーマの正確な原因はまだわかっていません。
- 遺伝子(DNA)の変化によって、細胞が異常に増えて腫瘍になると考えられています。
リスク要因
- 過去に脳への放射線治療を受けたことがある
- 一部の遺伝性の病気(神経線維腫症など)
- まれですが、家族の中にグリオーマの患者がいる場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けいれん発作が初めて起きた
- 頭痛がどんどん強くなり、吐き気やおう吐を伴う
- 手足の力が入らない、言葉が話しにくいなどの症状が急に出た
定期受診を予約すべき場合:
- 同じような頭痛やめまいが何週間も続く
- 物忘れや集中力の低下が気になり始めた
- 体の片側のしびれやバランスの悪さを感じ続けている
診断
診断の手順としては、まず医師が症状の詳しい話を聞き、手足の力、感覚、目の動き、反射などの神経診察を行います。そのうえで、必要に応じて画像検査や、組織を調べる検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- MRI検査(磁気を使った脳の精密な画像)
- CT検査(X線を使った脳の断面画像)
- 造影剤を使った検査(血管や腫瘍の状態を詳しく見る)
- 生検(腫瘍の一部を小さく採取して、顕微鏡で細胞の性質を調べる)
診察で予想されること
こうした検査は、脳神経外科や神経内科のある専門の医療機関で行われます。結果をふまえて治療方針を決めるため、時間がかかることがありますが、医師や看護師が説明してくれます。まだ確定していない段階では、焦らずに、話をしっかり聞くことが大切です。
治療
治療は、腫瘍の種類、悪性度、大きさ、場所、年齢、健康状態をふまえて、専門のチームが計画します。主な治療法は手術、放射線治療、薬物療法で、これらを組み合わせることが多いです。目標は、腫瘍をできるだけ取り除き、症状を抑え、生活の質を保つことです。
自宅でのセルフケア
- 治療中は、体調に合わせて十分に休む
- 気になる症状や不安は、我慢せずに医療チームへ伝える
- 医師の許可が出るまで、車の運転や危険を伴う動作は控える
- 家族や友人にサポートを頼む
医療治療
医療的な治療としては、腫瘍を摘出する手術、高エネルギーの放射線を当てて腫瘍を抑える放射線治療、抗がん薬を使用して細胞の増殖を抑える薬物療法があります。脳の腫れを軽くするために、ステロイド薬などの薬が一時的に使われることもあります。具体的な治療の選択や薬の名前・量は、担当する医師が患者さんごとに説明します。
手術が検討される場合
腫瘍が安全に切除できる位置・大きさであれば、手術が最初の治療として選ばれることがあります。ただし、腫瘍が脳の大切な場所に近い場合は、手術のリスクを避けるために別の治療を先に行うこともあります。
この病気と共に生きる
治療後は、定期的にMRIなどの画像検査を行いながら、経過を見守ります。手術や放射線治療のあとに体の麻痺や言葉の障害が残る場合は、リハビリテーションを続けることで、できることを増やしていけます。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとり、疲れたら無理をせず休む
- カレンダーやメモを活用して、記憶をサポートする
- 治療や診察の記録を整理しておく
- 禁煙や節酒など、負担の少ない生活習慣を心がける
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスの良い食事をとり、体力が続く範囲で散歩などの軽い運動を取り入れることが勧められます。運動の内容や量は、医師や理学療法士に相談して決めましょう。
精神的健康と心の健康
診断を受けたときはもちろん、治療中も不安や気持ちの落ち込みを感じるのは自然なことです。気分がゆううつになったり、眠れなかったりする日が続く場合は、一人で抱え込まずに、医師や看護師、心理の専門家に相談してください。もし、自分を傷つけるような考えや強い絶望感に襲われた場合は、すぐに119番や救急外来に連絡してください。
予防
現時点では、グリオーマを確実に予防する方法は見つかっていません。原因がはっきりしないことが多く、生活習慣だけで予防できる病気ではないと考えられています。もし気になる症状があれば、早めの受診が最善の対策です。
ワクチン
この病気を予防できるワクチンはありません。
検診プログラム
特定の原因がない限り、脳腫瘍を対象にした健康診断や検診は、一般的ではありません。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍が大きくなり脳の圧力が上がると、激しい頭痛や吐き気、意識障害が出ることがあります。
- けいれん発作が繰り返し起こることがあります。
- 言葉、運動、記憶など、脳の働きに影響が出ることがあります。
- 高悪性度の場合は、腫瘍が周りに広がり、命に関わることがあります。
長期的な見通し
見通しは、腫瘍のタイプと悪性度、場所、診断時の年齢、治療への反応によって大きく異なります。低悪性度では、治療後に長期間安定して過ごせる人も多くいます。高悪性度でも、治療によって症状を抑え、生活の質を保ちながら前向きに過ごしている人はたくさんいます。医学の進歩が続けられているので、希望を持って治療に取り組むことが大切です。
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最終更新: 2026年10月20日
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