乳がんとエストロゲン(女性ホルモン)の関係
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
乳がんは、乳房の中にある乳腺の細胞ががんになる病気です。エストロゲンは女性ホルモンのひとつで、このホルモンが一部の乳がんの細胞の増え方を促すことがあります。これを「ホルモン受容体陽性の乳がん」といいます。
重要な事実
- 乳がんは日本人女性で最も多く見られるがんで、生涯で約9人に1人がかかるとされています。
- エストロゲンへの曝露が長いほど、乳がんのリスクが高まる可能性があります。
- 乳がんは早期に発見できれば治る可能性が高い病気です。
- 男性も乳がんになることがありますが、女性に比べてまれです。
乳がんは女性の間でとても多く、検診の普及によって早期に見つかる人も増えています。
主に40歳以降の女性に多く見られますが、若い女性や男性でもかかることがあります。
症状
- 突然の強い息切れや呼吸困難が起きた場合は、直ちに119番に連絡してください。
- 意識がもうろうとする、けいれんが起きた場合も緊急です。
- 胸の激しい痛みや、息をすると強く痛む場合も救急車を呼んでください。
- ⚠乳房の赤みや腫れ、熱感、強い痛みが急に出た場合
- ⚠乳頭から急に大量の出血がある場合
- ⚠治療中に高熱や悪寒が続く場合
一般的な症状
- 乳房のしこり(自分で触って気づくことが多い)
- 乳房の皮膚がへこむ、オレンジの皮のように凸凹する
- 乳頭から血や透明な液体が出る
- 乳房の一部が赤く腫れる、痛みがある
- わきの下のリンパ節が腫れる
子供の症状
- 小児では乳がんは極めてまれです。思春期にしこりのようなものが触れることがありますが、多くは乳腺の正常な発育によるものです。
高齢者の症状
- 高齢になると、症状に気づきにくくなることがあります。
- 痛みがないしこりや、皮膚の変化があっても放置せずに受診しましょう。
- 治療中の方では、腕や手のむくみ(リンパ浮腫)が見られることもあります。
原因
主な原因
- 乳がんの原因ははっきりとはわかっていませんが、乳腺の細胞の遺伝子に異常が起こることで発生します。
- エストロゲンは、がん細胞の中にある受容体(受け皿)に結合して、細胞の増殖を促すことがあります。
リスク要因
- エストロゲンに長くさらされること(初経が早い、閉経が遅い、出産経験がないなど)
- 血縁者(特に母親や姉妹)に乳がんや卵巣がんの人がいる
- 閉経後の肥満
- 過去に乳房への放射線治療を受けたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 乳房のしこりが急に大きくなった、または強い痛みを伴う場合
- 乳頭から血が混じった分泌液が出る場合
- 乳房の皮膚が赤く腫れて熱を持っている場合
定期受診を予約すべき場合:
- 自己検診でしこりや変化を感じた場合
- 定期的な乳がん検診(40歳以上では2年に1回が推奨されています)
- 家族に乳がんの人がいて心配な場合
診断
まず医師が問診と視触診(見て触って調べる)を行います。その後、画像検査で詳しく調べ、必要に応じて組織の一部を採取して顕微鏡で確認する生検を行います。
行われる可能性のある検査
- マンモグラフィ(乳房のX線検査)
- 乳房超音波(エコー)検査
- 細胞診・針生検(針で組織を採取して調べる検査)
- MRI(磁気共鳴画像)検査が必要な場合もある
診察で予想されること
検査は外来で行われることがほとんどで、比較的短時間で終わります。針生検では局部麻酔をすることもありますが、検査後の出血や痛みはわずかです。結果が出るまで数日かかることがあります。
治療
乳がんの治療は、手術、放射線療法、薬物療法(ホルモン療法、抗がん剤治療、分子標的治療など)を組み合わせて行います。エストロゲンの影響を受ける乳がんでは、ホルモン療法が効果的な選択肢になります。
自宅でのセルフケア
- 治療中は十分な休息とバランスの良い食事を心がける
- 腕のむくみを防ぐために、その腕で重いものを持ちすぎない
- 痛みや副作用がつらいときは早めに医療者に相談する
- 禁煙し、飲酒は控えめにする
医療治療
薬物療法には、ホルモンの働きを抑えるホルモン療法や、細胞の増殖を抑える抗がん剤などがあります。どのような治療が適しているかは、がんの性質や進行度、年齢、体調によって医師と相談して決めます。放射線療法は手術後に行うことで、再発を減らす効果が期待できます。
手術が検討される場合
がんの大きさや位置に応じて、乳房を温存する手術(部分切除)か、乳房をすべて摘出する手術かを選択します。医師と十分に話し合い、再建(形成)手術についても相談できます。
この病気と共に生きる
治療後も、定期的な検診や自己検診を続けることが大切です。腕や手のむくみ(リンパ浮腫)に注意し、皮膚を清潔に保ちましょう。疲れやすい時期は無理をせず、体調に合わせて生活リズムを整えます。
生活習慣のアドバイス
- 自分に合った運動を無理なく続ける(ウォーキングやストレッチなど)
- 睡眠をしっかりとる
- ストレスをため込まず、リラックスする時間を持つ
- 定期的な外来受診と画像検査を忘れない
食事と運動
野菜や果物を多くとり、脂肪の多い食事を控えめにすることが勧められます。赤身の肉や加工肉の摂り過ぎに注意しましょう。運動は週に150分程度の軽い有酸素運動(速歩きなど)が目安とされています。
精神的健康と心の健康
乳がんと診断されると、不安や落ち込み、怒りなどさまざまな感情が起こるのは自然なことです。一人で抱え込まずに、医療者や家族、友人に気持ちを話すことが大切です。
予防
乳がんを完全に予防する方法はありません。しかし、定期的な検診と生活習慣の改善により、リスクを下げたり、早期発見したりすることができます。
ワクチン
乳がんを予防するためのワクチンは現在ありません。
検診プログラム
厚生労働省は40歳以上の女性に対して、2年に1回のマンモグラフィ検診を推奨しています。しこりがなくても、定期的に検診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- がんが周囲の組織に広がり、皮膚や胸の筋肉に及ぶ
- リンパ節や肺、肝臓、骨など遠くの臓器に転移する
- 骨に転移した場合は痛みや骨折が起こりやすくなる
- 治療が複雑になり、治る可能性が低くなる
長期的な見通し
乳がんは早期に発見できれば、治る可能性が高いがんです。治療の選択肢も年々増えており、たとえ進行していても、長く安定した状態を保つ治療法があります。あきらめずに、医療者と一緒に治療方針を決めていきましょう。
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地域の団体
- がん情報サービス ↗ · 日本
- 厚生労働省(乳がん検診について) ↗ · 日本
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年8月2日
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