男性の乳がん – 知っておきたい基礎知識
概要
男性の乳がんは、乳房にできるがんの一種です。男性も女性と同じように乳房組織がありますが、量が少ないため、がんができることはまれです。それでも、男性にも乳がんは起こり得るので、正しい知識を持ちましょう。
重要な事実
- 男性の乳がんは非常にまれで、全乳がんの約1%未満です。
- 乳房のしこりや乳頭からの分泌物などが主なサインです。
- 早期に見つかれば、治療しやすく、予後も良好なことが多いです。
- 胸の痛みやしこりに気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。
男性の乳がんはとてもまれな病気です。全乳がん患者さんのうち男性は約1%未満とされています。しかし、決してゼロではありません。まれだからこそ、異常を感じたときは早めに相談することが大切です。
主に50代から70代の男性に見られますが、若い世代でも可能性はあります。加齢や遺伝的要因によってリスクは高くなります。
症状
- 突然の激しい胸の痛みや呼吸困難を伴う腫れ(この場合は直ちに119番へ)
- 乳頭から大量の出血が止まらない(直ちに119番へ)
- 意識を失うような強い症状が現れた(直ちに119番へ)
- ⚠乳房のしこりが急速に大きくなる
- ⚠乳頭からの血性分泌物が続く
- ⚠乳房の皮膚が赤く腫れて熱を持つ
- ⚠脇の下のしこりが触れる
一般的な症状
- 乳房のしこり(多くの場合、痛みを伴わない)
- 乳頭からの分泌物(血液が混じることもある)
- 乳頭や乳房の皮膚のくぼみ・ただれ・赤み
- 乳房の腫れや硬い部分を触れる
- 脇の下のリンパ節が腫れてしこりを触れる
原因
主な原因
- 乳がんの正確な原因は分かっていませんが、遺伝子の変化により細胞が異常に増殖することが原因と考えられています。
- 男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの変化が関与することがあります。
- 遺伝性の要因(BRCA1・BRCA2などの遺伝子変異)が一部で見つかっています。
リスク要因
- 50歳以上
- 近しい血縁者(家族)に乳がんや卵巣がんの人がいる
- BRCA2などの遺伝子変異
- 肥満や肝疾患などで女性ホルモン(エストロゲン)が多くなる状態
- 睾丸の病気や外傷の既往
- 胸部への放射線照射の既往
- 過度の飲酒や喫煙
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 乳房にしこりや硬い部分を触れる
- 乳頭から血や茶色い分泌物が出る
- 乳房の皮膚がくぼむ・赤くなる・ただれるなど変化がある
- 脇の下のしこりを触れる
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や人間ドックで乳房の異常を指摘された
- 家系に乳がんの人がいて、リスクが心配
- 胸の違和感や軽い痛みが続く
診断
男性乳がんの診断では、まず医師が問診と視触診(胸や脇の下を触って診ること)を行います。異常が疑われる場合は画像検査で詳しく調べ、最終的には組織の一部を採取して顕微鏡で確認する「生検」で確定診断を行います。
行われる可能性のある検査
- 乳房超音波(エコー)検査:超音波の反射で乳房の内部の状態をチェックします。
- マンモグラフィ:乳房をX線で撮影する検査です。男性でも必要に応じて行われます。
- 生検(針生検):細い針でしこりの組織を採取し、がん細胞があるか調べます。
- 血液検査:腫瘍マーカーやホルモン状態の確認に使われますが、単独で診断はできません。
- CT・MRI検査:がんの広がりや転移の有無を確認するために行われることがあります。
診察で予想されること
検査は外来で行われることが多く、特別な入院は通常不要です。生検は局所麻酔を使うため強い痛みはありません。結果が出るまでに数日かかる場合があります。医師は結果と今後の治療方針について、丁寧に説明してくれます。不安なことは何でも質問してください。
治療
治療は、がんの進行度や種類、患者さんの全身状態に応じて、手術・放射線治療・薬物療法などを組み合わせて行います。治療方針は医師と相談しながら、納得して決めることが大切です。早期の男性乳がんは治療しやすく、予後が良好なことが多いです。
自宅でのセルフケア
- 治療中は十分な休養と栄養をとる
- 手術後は腕のむくみ(リンパ浮腫)を予防するため、患側の腕で重い物を持ちすぎない
- 創部は医師の指導に従って清潔に保つ
- 副作用や体の変化で気になることがあれば、担当医や看護師に早めに相談する
医療治療
薬物療法には、ホルモンの働きを抑えるホルモン療法、がん細胞の増殖を抑える抗がん剤治療、特定の分子を標的とする分子標的治療などがあります。どの治療を選ぶかは、がんのタイプや進行度、ホルモン受容体や遺伝子の状態によって専門医が判断します。放射線治療は、手術後の再発予防や痛みの緩和のために行われることがあります。具体的な薬や治療計画は担当医が患者さんごとに決めます。
手術が検討される場合
手術は男性乳がんの治療で中心となる方法の一つです。しこりの部分だけを切除する乳房温存術と、乳房全体を切除する乳房切除術があり、多くはリンパ節の生検や切除を伴います。がんの状態や患者さんの希望を考慮して、最適な手術方法を検討します。
この病気と共に生きる
治療後は、定期的な通院と胸の自己チェックが大切です。手術後は違和感や腕のむくみが出ることがありますが、時間とともに軽くなることが大半です。仕事や日常生活への復帰は、医師と相談しながら無理のないペースで進めましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がける
- 飲酒はほどほどにする(できれば控える)
- バランスの良い食事をとる
- 適度な運動を習慣にする
- 気分転換や休息でストレスをためない
- 月に一度は胸のセルフチェックをする
食事と運動
特別な「がんに効く食べ物」はありません。野菜や果物、全粒穀物を中心としたバランスの良い食事を心がけ、加工肉や高脂肪食品をとりすぎないことがすすめられます。体力に合わせてウォーキングなどの軽い運動を週数回行うと、治療による疲れや気分の落ち込みの軽減に役立ちます。
精神的健康と心の健康
乳がんと診断されると、男性は特に「自分だけが珍しいのでは」という孤独感や不安を感じやすいことがあります。つらい気持ちを抱え込まず、医療者やがん相談支援センター、必要に応じてカウンセラーなどの専門家に相談しましょう。家族や友人に気持ちを伝えることも支えになります。
予防
乳がんを完全に予防する方法はまだありません。しかし、肥満を避けて適正体重を保つ、飲酒を控える、禁煙するなどの生活習慣がリスクを下げる可能性があります。家族歴や遺伝子変異が分かっている人は、定期受診や対策について医師と相談できます。
検診プログラム
現在、日本で男性を対象にした乳がんの定期検診は推奨されていません。そのため、日頃から胸のセルフチェックを習慣にし、しこりや変化に気づいたら早めに医療機関を受診することが重要です。
合併症
治療しない場合
- がんが胸の筋肉や皮膚に広がり、痛みや潰瘍(ただれ)を伴うことがある
- 脇の下や鎖骨のリンパ節に転移する
- 骨・肺・肝臓など体の他の臓器に転移し、全身症状を引き起こす
- 早期に治療した場合に比べて、治癒や長期コントロールが難しくなる
長期的な見通し
男性乳がんはまれですが、早期に発見されれば治る可能性が高い病気です。治療法も進歩しているため、進行したがんであっても、長期にわたってコントロールできることがあります。診断後の生活は、医師と相談しながら前向きに取り組むことができます。
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最終更新: 2026年10月20日
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