呼吸(いき)についての基礎知識
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
呼吸とは、空気を肺に吸い込んで、体に必要な酸素を取り入れ、不要になった二酸化炭素を出すことです。顔、口、のど、気管、肺などが関係し、心臓や脳ともつながっています。
重要な事実
- 呼吸は、ふだんは無意識にできますが、意識して速くしたりゆっくりしたりもできます。
- 大人はふつう、1分間に12~20回呼吸をしています。
- 息苦しさは、必ずしも肺の病気のせいとはかぎりません。心臓や血管、筋肉、こころの問題が原因のこともあります。
呼吸のトラブルはとてもありふれたもので、多くの人が一時的な咳や息苦しさを経験します。多くの場合は軽いものですが、なかには治療が必要なこともあります。
年齢を問わず、子どもからお年寄りまで誰にでも起こりえます。ただし、たばこを吸う人、早産で生まれた人、高齢者、ぜんそくなどの持病がある人は、呼吸のトラブルが起きやすいとされます。
症状
- 次の症状があるときは、ためらわずに119番へ連絡してください。
- 息が止まりそうなほど苦しくて話ができない
- 唇や顔の色が青白い、または紫色になっている
- 胸の激しい痛みや圧迫感がある
- 物をのどに詰まらせて呼吸ができない
- 意識がもうろうとしている、または呼びかけに反応しない
- ⚠次の症状があるときは、当日中に医療機関を受診してください。
- ⚠38度以上の熱があり、せきや息苦しさがある
- ⚠せきが3週間以上続いている
- ⚠安静にしていても息苦しい
- ⚠たんに血が混じっている
- ⚠呼吸をするたびに胸やあばらが痛む
一般的な症状
- 息を吸うときや吐くときに、ゼーゼー・ヒューヒューと音がする
- 少し動いただけでも息が切れる
- 胸が締めつけられるような感じや痛みがある
- せきが長く続く、またはたんが出る
- 息を吸うたびに胸が深くへこむなどの呼吸の苦しさがある
子供の症状
- 呼吸が速い(1分間に60回以上など)
- 息を吐くときに音がする、うめき声のような音がでる
- 鼻の穴を広げて呼吸している
- のどや胸、あばらのあたりがひきつる(陥没呼吸)
- ミルクや食事が飲みにくい、ぐったりしている
高齢者の症状
- ふだんより息切れがしやすくなる
- ぼんやりしたり、意識がもうろうとする
- 疲れやすい、食欲がない
- 顔色が青白い、または唇が紫色になる
- せきやたんが長引く
原因
主な原因
- 風邪(かぜ)やインフルエンザ、肺炎などの感染症
- ぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの肺の病気
- 心不全などの心臓の病気
- 強いストレスや不安、パニックのような状態
- アレルギーやほこり、化学物質などの刺激物を吸い込むこと
- 運動不足や体力の低下
リスク要因
- たばこを吸うこと(本人だけでなく受動喫煙も含む)
- 大気汚染や職場での粉じん・化学物質に触れること
- ぜんそくやアレルギー体質
- 心臓や肺の病気の家族歴
- 早産・低出生体重で生まれたこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息苦しさが急に悪化して、ふだんの生活に支障が出ている
- 胸痛や圧迫感を伴う息苦しさがある
- 唇や顔が青白くなる、または意識がうつろになる
定期受診を予約すべき場合:
- せきや息苦しさが2週間以上続いている
- 早足で歩く、階段を登るなど、少しの運動で息が切れる
- 息苦さのために夜眠れない
- ぜんそくやCOPDなどの持病があり、症状がふだんより悪い
診断
医師が、あなたの症状や経過を詳しく聞き、聴診器で呼吸の音を確認します。そのうえで、必要に応じて呼吸の機能や画像の検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー):大きく息を吸って吐き、肺活量や空気の流れを測ります。
- パルスオキシメーター:指にはめる道具で、血中の酸素の値(血中酸素飽和度)を調べます。
- 胸部X線(レントゲン)写真:肺や胸の状態を写して、感染や異常の有無を確認します。
- 血液検査:感染症や貧血などの有無を調べます。
診察で予想されること
特に難しい準備は必要ありません。検査中は息を吸ったり吐いたりするだけです。必要に応じて、背中や胸を触るなどして診察しますので、受けた後はすぐに日常生活に戻れます。
治療
治療は、呼吸のトラブルの原因によって変わります。感染症であれば原因となる菌やウイルスへの対応、ぜんそくやCOPDなら気道の炎症を鎮めて空気の通りを良くする治療、心臓が原因なら心臓の治療が中心になります。
自宅でのセルフケア
- たばこを吸っている場合は、禁煙を検討する(医師や薬剤師に相談を)
- ほこりや花粉、冷たい空気などの刺激物を避ける
- 呼吸を整える練習(口をすぼめてゆっくり吐くなど)をする
- 医師の指示に従って、無理のない範囲で体を動かす
医療治療
治療には、気道を広げる吸入薬(くすり)、炎症を抑える薬(ステロイドなど)、感染症がある場合は抗菌薬や抗ウイルス薬などが使われることがあります。どの薬を使うかは医師が症状や原因に合わせて決めます。また、酸素の値が下がっている場合は、酸素吸入が必要になることもあります。
手術が検討される場合
肺がんや重症の肺気腫など、一部の進行した肺の病気では手術が検討されることがありますが、多くの呼吸の問題は手術なしで治療できます。
この病気と共に生きる
呼吸の状態を毎日観察し、医師から指示された薬を規則正しく使うことが大切です。息苦しさが続くときは、無理をせず休養をとり、必要に応じて医療機関に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 空気のきれいな場所で過ごし、受動喫煙や排気ガスを避ける
- インフルエンザや肺炎球菌の予防接種を受ける
- 睡眠を十分にとる
- ストレス解消の方法を見つける
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、適度な体重を保つことが呼吸を楽にします。運動は、主治医と相談しながら、ウォーキングなどの無理のない有酸素運動を少しずつ取り入れるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
息苦しさは不安や恐怖を強くすることがあり、その不安がさらに息苦しさを悪化させることがあります。つらい気持ちを誰かに話したり、リラックス法を身につけたりすることも大切です。
予防
すべての呼吸のトラブルを予防できるわけではありませんが、感染症を防ぐ手洗い・うがい、禁煙、規則正しい生活、適度な運動などによって、多くの呼吸の問題は予防または悪化を防ぐことができます。
ワクチン
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、呼吸器の感染症を防ぎ、重症化を避けるのに役立ちます。接種について医師に相談してみてください。
検診プログラム
健診や人間ドックの胸部X線検査や肺機能検査で症状が出る前の問題を見つけることができます。特に喫煙したことがある人や長年せき・たんがある人は、検診を利用しましょう。
合併症
治療しない場合
- 呼吸の状態が悪化して、日常生活が制限される
- 体内の酸素が不足する(低酸素血症)
- 心臓に負担がかかり、心不全などの合併症を起こすことがある
- 重症の場合は入院や集中治療が必要になることがある
長期的な見通し
呼吸のトラブルの多くは、原因をしっかり調べて適切な治療を受け、生活習慣を整えることで改善・管理できます。症状が続く場合でも、早めに医療機関を受診することで、より良い見通しが立てられます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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