太ももの付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)
概要
太ももの付け根(股関節の一部)の骨が折れてしまうことです。特に骨が弱くなったお年寄りに多いけがです。転んで骨盤に近い部分の太ももの骨が折れることを指します。
重要な事実
- 特に高齢者に多い骨折です。
- 骨粗鬆症で骨が弱ると、軽い転倒でも起こります。
- 手術が必要になることが多く、術後にはリハビリが重要です。
- 放置すると歩けなくなることがあり、早めの治療が大切です。
- 家の中の転倒予防が、予防の第一歩です。
日本では高齢者の転倒による骨折が多く、特に骨が弱くなった女性に多く見られます。厚生労働省のデータでも、高齢者の骨折の代表的なものの一つです。
高齢者、特に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の女性、骨が弱っている人に多く起こります。若い人でも交通事故や高いところからの転落で起こることがあります。
症状
- 転倒後に太ももの付け根に強い痛みがあり、全く動けない
- 脚を動かすと激しい痛みがあり、脚の形がいつもと違う
- 高齢者が転んで強い痛みを訴えたら、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください
- ⚠転倒後に股関節の痛みが続き、歩くとき痛い
- ⚠痛みはあるが何とか杖を使って歩ける
一般的な症状
- 股関節や太ももの付け根の痛み
- 立ったり歩いたりできない
- 足を動かすと痛みが増す
- けがをした足が外側に向いている、または少し短く見える
- あざや腫れがある
子供の症状
- 子どもの大腿骨骨折はまれですが、高いところから落ちたり強い衝撃を受けたりした場合に起こることがあります。同じように痛みで歩けない、足を動かさないといった症状が出ます。
高齢者の症状
- 高齢者では、転んだ後に強い痛みを感じ、立ち上がれないことが多いです。中には認知症のため痛みをはっきり言えず、動かなくなった、元気がない、といった変化だけが見られることもあります。
原因
主な原因
- 転倒や高いところからの落下などの外傷
- 骨粗鬆症(骨が脆くなる病気)などで骨がもろくなっている
- 交通事故などの強い衝撃
リスク要因
- 女性(特に閉経後)
- カルシウムやビタミンD不足
- 運動不足で筋力が低下している
- 視力や平衡感覚の低下
- 骨を弱くする薬や病気がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 転倒などで股関節に強い痛みがあり、動けない場合はすぐ救急車(119番)を呼んでください。
- 脚の形が変わるなどの変形がある場合も緊急です。
定期受診を予約すべき場合:
- 転んでしばらく経つのに股関節の痛みが治らない場合は、整形外科を受診してください。
診断
医師が問診と体の診察を行い、X線(レントゲン)検査で骨折の有無を確認します。わからない場合はCTやMRIなどの詳しい検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- X線(レントゲン)検査
- CT検査
- MRI検査
- 必要に応じて骨密度検査
診察で予想されること
診察では、痛みの場所や転倒の状況を聞かれます。脚を動かしてもらい、痛みの程度や脚の向きなどを確認します。検査の結果、骨折が見つかれば治療方針について説明があります。
治療
治療の中心は手術と、その後のリハビリテーション(機能回復訓練)です。骨折した部分を固定して、早期に立ち上がって歩く練習を始めることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 転倒直後は動かさず、無理に立たない
- 痛む部分を冷やす(医療機関を受診するまでの応急処置として)
- 脱水を防ぐため、水分を少しずつ取る(飲み込みが可能な場合)
医療治療
痛みに対しては、医師が適切な鎮痛薬を処方します。骨をつなぐために手術が行われることが多く、傷の状態や体力に合わせて、プレートやスクリュー、人工の関節などを使う方法があります。また、血のかたまりを防ぐ薬や、骨を強くする薬などが治療に合わせて使われることもあります。薬の種類や量は医師が決定します。
手術が検討される場合
大腿骨近位部骨折のほとんどで手術が必要です。手術を行って固定し、早くからリハビリを始めることで、寝たきりを防ぎ、歩く機能を取り戻すことを目指します。ただし、年齢やすでにある病気によっては手術の方法やタイミングを慎重に決めます。
この病気と共に生きる
手術後は、医師や理学療法士(りがく りょうほうし)の指導のもと、段階的に体を動かします。まずベッドの上で足を動かし、次に座る、立つ、歩く、という順に練習を進めます。ご自宅に戻った後も、しばらくは歩行器や杖が必要なことがあります。床の段差をなくすなど、安全に暮らすための環境を整えましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日のストレッチや、無理のない範囲での筋力訓練
- 転倒しにくいように、家の中の照明を明るくする、手すりを付ける
- かかりつけ医に骨粗鬆症の治療を相談する
食事と運動
骨を強くするために、カルシウムやビタミンDを多く含む食べ物を積極的にとりましょう。乳製品、小魚、緑黄色野菜、きのこ類などがその例です。運動は、医師や理学療法士の指導に従って、安全に行うことが大切です。
精神的健康と心の健康
骨折後の入院やリハビリは長く感じられ、気分が落ち込んだり、不安になったりすることがあります。また動きが制限されることで、生活の楽しみが減ってしまうこともあります。そうした気持ちは自然なものであり、家族や医療者に相談することが支えになります。
予防
はい、骨を丈夫に保ち、転倒を防ぐことで、ある程度予防することができます。骨粗鬆症が疑われる場合は、医師に相談して治療を受けることも予防につながります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症にかかると体力が落ち、転倒のリスクが高まることがあります。ワクチン接種は、感染症による体力低下を防ぐ間接的な予防になります。
検診プログラム
骨密度検査は、骨粗鬆症かどうかを調べる検査で、特に更年期以降の女性や骨折のリスクが高い方に勧められます。健診や医療機関で受けることができます。
合併症
治療しない場合
- 歩けなくなり、寝たきりになる
- 寝たきりによる床ずれ(褥瘡)や筋肉の衰え
- 深い静脈血栓症(血のかたまり)ができる
- 痛みが続き、生活の質が大きく下がる
長期的な見通し
適切な治療とリハビリを行えば、多くの方が再び歩く力をとりもどせます。年齢や骨折の状態、持っている病気などによって回復の程度は異なりますが、諦めずに治療を続けることが大切です。最近は早期からのリハビリや低侵襲の手術も進み、回復できる方も増えています。
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最終更新: 2026年10月20日
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