肋骨の骨折・打撲(あざ)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肋骨は胸を囲んでいる骨で、肺や心臓を守っています。肋骨の骨折(折れた状態)と打撲(強くぶつかってあざができた状態)は、どちらも胸に強い痛みを起こします。骨にひびが入ったり折れたりしていなくても、周りの筋肉や組織が傷つくと痛みが出ます。
重要な事実
- 肋骨の骨折や打撲は、強い痛みを伴いますが、多くの場合は特別な手術をせずに数週間で治ります。
- 呼吸や咳をすると痛みが強くなることが特徴です。
- 高齢者の場合、痛みで動かなくなり肺炎などの合併症を起こすことがあるため、注意が必要です。
はい、比較的よく見られるけがです。転んだり、ぶつかったり、運動中に胸を打つことで起こります。
子どもから高齢者まで誰にでも起こりますが、骨が弱くなっている高齢者や、コンタクトスポーツをする人に多く見られます。
症状
- 息がひどく苦しい、呼吸が速い、呼吸ができない
- 咳や吐いたものに血が混じっている
- 胸の痛みが強く、肩やあご、腕に広がる
- 顔色が青白い、唇が紫色になる
- 意識がぼんやりする、意識を失いそうになる
- ⚠普通に歩いたり、話したりするだけで息切れがする
- ⚠発熱がある(38度以上)
- ⚠咳やたんがひどく、痰がからんで出せない
- ⚠痛みが日ごとに強くなる
- ⚠尿や便の色がいつもと違う(血尿や黒い便など)
一般的な症状
- 胸やわき腹に強い痛みがあり、押すと痛む
- 息を吸う、咳をする、くしゃみをするときに痛みが強くなる
- 痛みのある場所が腫れたり、あざ(紫色や青色の変色)ができる
- 体をひねる、前かがみになるなどの動作で痛む
子供の症状
- 子どもは痛みをうまく言葉で説明できないことがあります。
- 泣き続ける、動きたがらない、胸を触られるのを嫌がる、深呼吸や咳を嫌がるなどのサインが見られます。
高齢者の症状
- 高齢者は痛みの感じ方が弱くなることがあり、骨折していても気づきにくい場合があります。
- 痛みのために動かずにいると、痰が出にくくなり、肺炎を起こしやすくなります。
- 転んだ後などに「なんとなく調子が悪い」「息苦しい」といった症状が現れることもあります。
原因
主な原因
- 転んだり、高いところから落ちたりする
- 車や自転車の事故、スポーツの接触などで胸を強く打つ
- 重いものを持ち上げるときに胸の筋肉を強く引っ張る
- 強い咳やくしゃみが続いて肋骨にひびが入る(特に骨が弱っている人)
リスク要因
- 骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)がある
- 高齢で骨の強度が低下している
- コンタクトスポーツ(ラグビー、柔道、サッカーなど)をする
- 長期間ステロイド薬を使用している(骨が弱くなることがある)
- 激しい咳が続く病気(喘息、気管支炎など)にかかっている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が苦しい、息切れがする
- 強い痛みで眠れない、動けない
- 痛みに加えて発熱がある
- 咳に血が混じる
- 背中やおなかに激しい痛みが広がる
定期受診を予約すべき場合:
- 転んだりぶつけたりしてから数日たっても痛みが続く
- 胸の押さえる場所がはっきりと痛む
- 痛みで浅い呼吸が続いている
- 仕事や学校に行くのに支障があるほどの痛み
診断
医師が問診(いつ、どのようにけがをしたかなど)と診察を行います。痛みの場所を押したり、聴診器で呼吸の音を聞いたりして、肋骨や肺に問題がないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線(レントゲン)検査:肋骨のひびや折れを確認します(ただし、すべてのひびが写るわけではありません)。
- CT検査:骨折や肺の損傷、出血などをもっと詳しく確認したいときに行います。
- 超音波(エコー)検査:あざや骨折の場所を確認するために使われることがあります。
診察で予想されること
診察では、痛い場所を少し押したり、深呼吸や咳をしてもらったりすることがあります。骨折が疑われる場合は画像検査が行われます。診察は痛みを伴うこともありますが、普段より力を入れる必要はなく、数分で終わります。
治療
治療の中心は、痛みをやわらげて呼吸や動きをしやすくすることです。ほとんどの場合、手術は必要なく、自然に治るのを待ちながら自宅で自己ケアを行います。
自宅でのセルフケア
- ケガをした後24〜48時間は、痛い場所を氷などで冷やす(1回15〜20分、数時間おきに)。
- 痛みが強い間は無理をせず、安静にし、動くときはゆっくりと行う。
- 咳やくしゃみをするときは、枕や手で胸を軽く押さえて痛みを和らげる。
- 呼吸を浅くしないように、ゆっくり深く息を吸う練習をする(痛みで呼吸が浅くなると肺炎のリスクが高まる)。
- 湿布や市販の痛み止めを使うときは、薬剤師や医師に相談する。
医療治療
痛みが強い場合には、医師が鎮痛薬(痛み止め)を処方することがあります。市販薬で十分な効果が得られない場合は、医師に相談してください。また、痛みで咳ができず痰がたまる場合は、痰を出しやすくする医療的ケアが行われることもあります。いずれの場合も、医師の指示に従って使用することが大切です。
手術が検討される場合
肋骨が大きくずれて肺を傷つけている場合や、重度の骨折で胸の形が保てない場合は、手術で骨を固定することがあります。ただし、これはまれなケースです。
この病気と共に生きる
痛みはだんだん和らぎますが、治るまでに数週間から数ヶ月かかることがあります。日常生活では、急な動きや重い物を持つのは避け、痛みのある方をかばいすぎずに、少しずつ体を動かすようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 眠る時は、少し上体を起こした姿勢や、痛い側を上にした横向きが楽なことがあります。
- 姿勢をよく保ち、猫背にならないようにする。
- 便秘を防ぐため、水分を十分にとり、食物繊維のあるものを食べる(いきみによる痛みを防ぐ)。
- 喫煙は治りを遅くし、肺炎のリスクを高めるため、禁煙がすすめられます。
食事と運動
骨の回復を助けるために、カルシウムやビタミンDを含む食品(牛乳、小魚、緑黄色野菜など)をバランスよくとりましょう。運動は、痛みのない範囲で軽い散歩などから始めるのがおすすめです。激しい運動や体をねじる動作は、医師の許可が出るまで控えてください。
精神的健康と心の健康
痛みが続くとイライラしたり、眠れなくなったり、気分が落ち込むことがあります。これは自然な反応です。痛みが続く時期は、無理をしすぎず、自分のペースで回復することを大切にしましょう。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、リスクを減らすことはできます。特に高齢者は転倒に注意し、バランスを保つ運動や筋力トレーニングを行うことが大切です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌の予防接種は、激しい咳による肋骨への負担を減らし、肺炎を防ぐ効果が期待できます。年齢や体調に合わせて医師に相談しましょう。
検診プログラム
骨粗しょう症が心配な方には、骨密度検査が役立つことがあります。該当するかどうかはかかりつけ医にご相談ください。
合併症
治療しない場合
- 肺炎(痛みで咳や深呼吸ができず、肺に痰がたまる)
- 肺に空気や血液がたまり呼吸が苦しくなる(気胸や血胸)
- 肋骨のズレが肺や他の臓器を傷つける
- 治るまでの間の痛みが続き、日常生活や睡眠に支障が出る
長期的な見通し
肋骨の骨折や打撲は、多くの場合6週間から8週間ほどで痛みが和らぎ、数ヶ月で日常生活に戻れます。適切なケアと医師のフォローアップを受ければ、ほとんどの人は完全に回復し、後遺症が残ることはまれです。
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最終更新: 2026年8月2日
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