手首の骨折(橈骨遠位端骨折)について
概要
手首の骨折とは、手首を構成する骨が折れてしまうけがです。最も多いのは「橈骨遠位端骨折」で、転んで手のひらを突いたときに起こりやすい骨折です。
重要な事実
- 手首の骨折は、転んで手を突いたときによく起こります。
- 治療はギプス固定や手術など、骨折の状態によって異なります。
- 多くの人は数か月の治療とリハビリで日常生活に戻れます。
- 小児と高齢者に特に多く見られます。
はい。手首の骨折は、全身の中でも特に頻度が高い骨折のひとつで、子どもから高齢者まで幅広い年代で見られます。
子どもでは骨が成長途中で柔らかいため、転倒で手を突いて折れやすくなります。高齢者では骨が弱くなっていることが多く、軽い転倒でも折れることがあります。スポーツをする人や骨粗しょう症の人もリスクが高くなります。
症状
- 骨が皮膚を突き破っている(開放骨折)
- 指先の色が青白い、または紫になっている
- 手や指に強いしびれや麻痺がある
- 手首が明らかに変形している
- 強い出血がある
- ⚠激しい痛みが続く
- ⚠腫れがひどく、手首を全く動かせない
- ⚠しびれや感覚がおかしい
- ⚠転倒後すぐでなくても、強い痛みや変形がある場合は同じ日に医療機関を受診する
一般的な症状
- 手首の痛み
- あざ(内出血)
- 手首を動かすと痛む
- 手に力が入らない
- 手首の形が変形している(ずれて見える)
- 指や手のしびれ、感覚の異常
子供の症状
- 痛みをうまく言葉で伝えられず、泣いたり不機嫌になったりする
- 手を使わないようにしてかばう
- 手首が腫れている、触ると強く痛がる
- 指や手を動かそうとしない、動かしにくそうにする
高齢者の症状
- 痛みが強くないこともある
- 腫れやあざが目立つ
- 手首が曲がったように見える
- 手を使った日常の動作(着替え、食事、トイレなど)がしにくくなる
- 転んだあとに手首をかばい、使わなくなる
原因
主な原因
- 転んで手のひらを突く(最も多い原因)
- スポーツ中の転倒や接触
- 交通事故
- 高いところからの転落
- 骨が弱くなっている場合の軽い衝撃
リスク要因
- 子ども(骨が未熟)
- 高齢者(骨粗しょう症)
- 骨粗しょう症(骨密度の低下)
- スポーツをよくする
- 転倒しやすい環境(段差、滑りやすい床、照明が暗いなど)
- カルシウムやビタミンDの不足、運動不足
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 骨が皮膚を突き破っている
- 指先の色が悪い、しびれが強い
- 手首が明らかに変形している
- 激しい痛みで動かせない、体重もかけられない
定期受診を予約すべき場合:
- 転倒後、数日たっても手首の痛みや腫れが続く
- 手首を使うと痛む
- 腫れやあざがなかなか引かない
- 日常生活に支障がある
診断
医師が手首を見て、触って、動かして診察します。次に、X線(レントゲン)検査で骨の状態を確認します。骨折の形やずれの程度、関節への影響を詳しく調べるために、CTやMRIが行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 身体診察(痛みの場所、腫れ、変形、動きの確認)
- X線(レントゲン)検査
- CTスキャン(複雑な骨折や関節内の骨折の詳しい評価)
- MRI検査(軟部組織や神経、腱の損傷が疑われるとき)
診察で予想されること
診察室では、どのようにけがをしたか、いつから痛むのかを聞かれます。X線は痛みを伴わず、数分で終わります。診察後、医師から骨折の状態と治療方針について説明があります。必要に応じて、整形外科専門医や手術可能な医療機関を紹介されることもあります。
治療
治療の目的は、骨を正しい位置で治し、手首の機能を回復させることです。骨折の型や骨のずれの程度によって、ギプス固定や手術などの方法が選ばれます。
自宅でのセルフケア
- 医師に指示されたギプスや装具は外さない
- ギプスが濡れないように入浴時はカバーをする
- 痛む手を使いすぎない
- 指示された範囲で指や肩、肘を動かす
- 腫れを抑えるため、痛む手を心臓より高い位置に保つ
医療治療
骨のずれが少ない場合は、ギプスやシーネ(添え木)で固定します。ずれがある場合は、麻酔をして骨を元の位置に戻す「整復」を行った後、ギプスで固定します。ずれが大きく不安定な骨折や関節の中の骨折では、手術で骨をピンやプレートなどで固定することがあります。また、治ったあとの機能を回復するために、理学療法士などによるリハビリテーションが行われます。
手術が検討される場合
骨のずれが大きく、ギプスだけでは正しい位置に保てない場合や、関節の面が大きく傷ついた場合、皮膚を破って骨が出ている場合、神経や血管の損傷がある場合には、手術が検討されます。
この病気と共に生きる
ギプスや装具をしている間は、着替え、食事、入浴、トイレなどに不便を感じることがあります。病院の看護師や作業療法士に、日常生活での具体的な工夫を相談しましょう。家族や職場の協力も得ながら、無理のない範囲で過ごすことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 痛む手をかばい、使いすぎない
- 入浴時はギプスが濡れないように防水カバーなどを利用する
- 医師の指示に従って、指や肩、肘を動かして関節のこわばりを防ぐ
- 自宅の中の段差や滑りやすい場所を整えて、転倒を防ぐ
- 喫煙は血流を悪くし骨の治りを遅らせるため、禁煙を検討する
食事と運動
骨の回復には、カルシウムやビタミンD、たんぱく質を含むバランスのよい食事が役立ちます。医師の許可が出たら、リハビリを継続し、全身の筋力やバランスを保つための運動も取り入れましょう。厚生労働省も、転倒予防のための運動習慣を推奨しています。
精神的健康と心の健康
骨折の回復には数か月かかることがあり、日常生活の不便さや仕事の休みなどで気持ちが落ち込むこともあります。無理をせず、自分のペースで回復に向かうことが大切です。気分のつらさが続く場合は、医師や相談機関に話してみましょう。
予防
手首の骨折は、転倒を防ぐことで予防できる可能性が高まります。家の中の段差をなくす、滑りにくい床にする、照明を明るくする、運動で筋力とバランスを保つことが効果的です。骨粗しょう症の予防には、カルシウムやビタミンDを含む食事と、適度な運動が役立ちます。
ワクチン
手首の骨折を直接予防するワクチンはありません。ただし、高齢者の転倒を防ぐための健康管理は大切です。
検診プログラム
骨粗しょう症が心配な方は、骨密度検査を受けることができます。高齢者や閉経後の女性は、医師に相談して検査を検討してもよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 骨がずれたまま治ってしまい、手首の変形や機能障害が残る
- 関節の動きが制限され、手を使った動作がしにくくなる
- 神経や血管の損傷が長引く
- 長期間固定することで関節がこわばる、筋力が落ちる
長期的な見通し
適切な治療とリハビリを行えば、手首の骨折はほとんどの場合しっかり治ります。回復には数か月かかりますが、焦らずに医師や理学療法士の指導に従って取り組むことで、日常生活への復帰が期待できます。
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情報源とガイダンス
このトピックは、この臨床教科書を参照しています。
最終更新: 2026年10月21日
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