いじめについて: 心と体を守るために
概要
いじめとは、相手にわざと何度も傷つくようなことをしたり、無視したり、仲間外れにしたり、暴力をふるったりすることです。ふつうの言い争いとはちがい、力の差があり、くり返しおこるのが特徴です。いじめられる側に原因はありません。
重要な事実
- いじめは体の不調や心のつらさを引き起こすことがあります。
- いじめは子どもの学校だけでなく、職場やインターネットの上でもおこります。
- いじめられた人のせいではありません。まわりの助けを求めてよいのです。
- 早く相談するほど、心への影響を小さくすることができます。
はい、いじめは子どももおとなも経験することがある身近な問題です。日本でも多くの子どもたちがいじめを経験し、職場や高齢者の間でもおきることがあります。
いじめは子どもだけの問題ではありません。小学生、中学生、高校生、大学生、働くおとな、そして高齢者など、あらゆる世代でおこる可能性があります。
症状
- 自分を傷つけたい、死にたいという気持ちが強い
- 今すぐに生命や安全がおびやかされている危険がある
- 暴行や深刻なけがをしている
- ⚠いじめによって強い恐怖やパニックを感じている
- ⚠食事や睡眠がまったくとれず体調が悪化している
- ⚠学校や職場に行くのが怖くて、安全が保証できない
一般的な症状
- おなかや頭が痛くなる
- 眠れない、悪夢をみる
- 食欲がなくなる、または食べすぎてしまう
- 気分が落ち込む、不安になる
- 学校や職場に行きたくなくなる
- 自分を責めてしまう
子供の症状
- 学校に行きたがらない
- 持ち物をなくしたり、こわれたりすることが増える
- 体にあざや傷がある
- 急に静かになったり、かんしゃくを起こしたりする
- 親や先生に「いじめられている」と言えずに態度で示す
高齢者の症状
- 人との交流を急に避けるようになる
- 物忘れがひどくなったようにみえるが、実際は不安やうつによるもの
- 体の痛みや不調をくり返し訴える
- 家に閉じこもりがちになる
- 金銭や財産をとられたり、お世話をされているように見えて実は虐待がある
原因
主な原因
- 力の差や立場のちがいを利用した行動
- 集団のなかで「ちがっている」とみられることへの嫌がらせ
- 相手の気持ちを考えないコミュニケーション
- インターネットやSNS上での匿名性を利用した攻撃
- いじめを見ても止めない、または見て見ぬふりをする環境
リスク要因
- 年の差や体力の差がある
- 集団のなかで孤立しやすい環境にある
- 見た目や性格、趣味などがまわりとちがうという理由で標的にされる
- 相談できる人が身近にいない
- 職場や学校でパワーハラスメントを許す雰囲気がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- いじめによって自分や他人を傷つけたい気持ちがある
- 眠れない・食べられないなど、日常生活がまったく送れない
- 安全が確保できない場所がある場合は、すぐに助けを求めてください
定期受診を予約すべき場合:
- いじめによる不安や落ち込みが2週間以上つづく
- 頭痛や腹痛などの体の不調がよくおこる
- 学校や仕事に行くのがつらく感じる
- これまでの自分とちがうと感じる
診断
いじめは医学的な病気ではありません。そのため、診断名がつくものではなく、医療者があなたのいじめの体験や現在の心と体の状態を丁寧に聞いて、必要な支援を判断します。
行われる可能性のある検査
- 心の状態を評価する質問票にこたえる
- 不眠や頭痛などの症状についての問診
- 必要に応じて心理職や精神科医による面接
診察で予想されること
診察では、いじめのことを話すように無理に促されることはありません。あなたのペースで話せます。医療者は、あなたの安全を確認し、必要に応じて学校や職場、相談機関と連携する方法をいっしょに考えます。
治療
いじめそのものを薬で治療することはできません。中心となるのは、心のケアと環境の調整です。カウンセリングや心理的なサポートを受けながら、安心して生活できる場所を少しずつ増やしていくことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 信頼できる人に話す。親、先生、職場の上司、友人、医療者など
- いじめの内容を日記やメモに残して、客観的に記録する
- いじめ対策に取り組む公的な相談窓口を利用する
- SNSやネット上の攻撃から離れて、安全な場所を確保する
- 十分な睡眠と食事を心がけ、体調を整える
医療治療
いじめによる強い不安やうつ症状が続く場合には、医師が相談や心理療法(心のケアを目的とした専門的な話し合い)をすすめたり、症状に合わせて適切な治療を提案することがあります。薬の名前や具体的な治療方法については、主治医に相談してください。
手術が検討される場合
手術は関係ありません。いじめに対して外科的な治療が行われることはありません。
この病気と共に生きる
いじめのつらさは、すぐに消えるものではありません。無理をせず、安全な場所で少しずつ日常生活を取り戻していきましょう。学校や職場に行くことが難しいときは、休むことも一つの選択肢です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日、深呼吸や軽いストレッチなどで体をほぐす時間をつくる
- 趣味や好きなことに時間を使う
- いじめのことを考えすぎないように、日課を決めて過ごす
- 信頼できる人と定期的に連絡をとる
食事と運動
バランスのよい食事と、無理のない範囲での散歩や軽い運動は、心の安定に役立ちます。食欲がないときは、食べられるものを少しずつ口にしましょう。
精神的健康と心の健康
いじめは自尊心を大きく傷つけ、うつや不安、不眠などの心の不調を引き起こすことがあります。つらい気持ちは決して弱さではなく、自然な反応です。専門家のサポートを受けることで、回復への道がひらけます。
予防
いじめは、周囲の人の行動と環境づくりによって予防できる可能性があります。学校や職場で「いじめは許されない」というルールを明確にし、人がちがいを認め合える雰囲気をつくることが大切です。
ワクチン
いじめを防ぐためのワクチンはありません。
検診プログラム
学校や職場では、いじめに関するアンケートや定期的な面談などが行われることがあります。気になることがあれば、しかえしを心配せずに相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- うつ病や不安症など、心の病気を発症しやすくなる
- 不眠や頭痛、腹痛などの体の不調が続く
- 学校や仕事を休みがちになり、学業や仕事に影響が出る
- 自分には価値がないと感じ、自傷行為や自殺のリスクが高まることがある
- 人間関係や信頼を築くことに困難を感じることがある
長期的な見通し
いじめの経験はつらいものですが、適切な支援を受けることで、心は回復していきます。自分を守り、助けを求めることは恥ずかしいことではなく、強さの証です。多くの人が、いじめを乗り越えて安心して生活できるようになっています。希望をもってください。
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情報源とガイダンス
このトピックは、この臨床的根拠に基づく医学論文を参照しています。
最終更新: 2026年10月20日
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