Bursitis of the knee
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
膝の滑液包炎(ひざのかつえきほうえん)は、膝関節の周りにある「滑液包(かつえきほう)」という小さな袋に炎症が起こる状態です。滑液包は関節の摩擦を減らすクッションの役割をしています。炎症が起きると、膝が腫れたり、押すと痛みを感じたりします。
重要な事実
- 膝の滑液包炎は、膝をよく使う人や長時間ひざまずく仕事をする人によく見られます。
- 多くの場合、安静やアイシング(冷やすこと)で改善します。
- 感染が原因の場合は、抗生物質による治療が必要なため、早めの受診が大切です。
- 正しい対処をすれば、ほとんどの人は完全に回復します。
膝の滑液包炎は比較的よくある病気で、特に運動や仕事で膝をよく使う人に多く見られます。
スポーツ選手(特にバレーボールやレスリングなど膝をつく競技)、清掃員や床張り工事など長時間ひざまずく仕事の人、中高年で膝に負担がかかりやすい人などに起こりやすいです。
症状
- 膝が急に激しく腫れ上がり、痛みで全く動かせない
- 膝が赤く熱を持ち、高熱(38度以上)が出ている(感染の可能性)
- 膝に傷があり、そこから膿(うみ)のようなものが出ている
- 呼吸が苦しい、めまいがするなど全身症状がある
- ⚠腫れや痛みがひどく、安静にしても治まらない
- ⚠膝に力が入らなくなった、または歩けない
- ⚠膝を曲げ伸ばしできなくなった
- ⚠発熱がある(37.5度以上)
一般的な症状
- 膝の前面や裏側が腫れる
- 膝を曲げたり伸ばしたりすると痛む
- 膝を押すと痛みが強くなる
- 腫れた部分が温かく感じる
- 膝の動きが少し制限される
子供の症状
- 子どもでもスポーツや遊びで膝をぶつけて起こることがあります。症状は大人と似ていますが、子どもは痛みをうまく言葉で伝えられないことがあるので、膝をかばう様子がないか注意しましょう。
- 腫れに加えて、発熱や膝が赤く熱を持っている場合はすぐに医療機関を受診してください。
高齢者の症状
- 高齢者は膝の関節自体に問題があることも多く、滑液包炎の症状と似ていることがあります。
- 腫れや痛みが長く続く、または急に悪くなった場合は、早めに医師に相談しましょう。
原因
主な原因
- 膝に繰り返し負担がかかる動作(頻繁にひざまずく、しゃがむ、膝をぶつけるなど)
- 膝に直接強い衝撃を受ける(転倒など)
- 細菌感染(膝の傷口から菌が入るなど)
- 関節リウマチや痛風などの病気の影響
リスク要因
- 長時間のひざまずき作業(大工、庭師、床清掃など)
- 膝を使うスポーツ(バレーボール、レスリング、柔道など)
- 肥満(体重が膝に負担をかける)
- 高齢(組織が弱くなりやすい)
- 関節に持病がある(関節リウマチなど)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 膝が赤く腫れて熱を持ち、発熱がある
- 痛みが強くて歩けない
- 膝の傷口から膿が出ている
定期受診を予約すべき場合:
- 軽い腫れや痛みが1週間以上続く
- 安静や冷やすなどのセルフケアで改善しない
- 膝の動きが徐々に悪くなってきた
診断
医師が問診と診察を行い、膝の腫れや痛みの場所、動きを確認します。滑液包の炎症かどうかを判断し、必要に応じて他の病気を調べます。
行われる可能性のある検査
- 身体診察(膝の触診、可動域の確認)
- 画像検査(超音波エコーやMRIで滑液包の状態を確認)
- 血液検査(炎症の程度や感染の有無を調べる)
- 滑液の検査(腫れている部分から液体を採取して感染がないか調べる)
診察で予想されること
診察は通常15〜30分程度です。場合によってはその日に検査を行い、結果説明は後日になることもあります。痛みがある場合は医師に伝えると、無理のない範囲で診察してくれます。
治療
膝の滑液包炎の治療は、ほとんどの場合、安静と炎症を抑える方法が中心です。感染がない場合は自然に治ることも多いですが、症状に合わせた治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 膝を安静にして、負担のかかる動作を避ける
- 腫れている部分を氷などで冷やす(1回15〜20分、1日に数回)
- 膝を心臓より高く上げて休ませる
- 市販の消炎鎮痛薬(痛み止め)を使う場合は、薬剤師や医師に相談する
- サポーターや包帯で膝を軽く固定し、動きを制限する
医療治療
医師の診断に基づき、炎症を抑えるための薬(非ステロイド性抗炎症薬の内服や外用)が処方されることがあります。感染が疑われる場合は、抗生物質の内服や注射による治療が行われます。また、腫れが強い場合には、滑液包にたまった液体を注射器で抜く処置(穿刺)を行うこともあります。この処置は通常、診察室で短時間で行われます。
手術が検討される場合
まれに、繰り返し炎症を起こす場合や、保存的な治療(安静・薬など)が効かない場合、滑液包を取り除く手術(滑液包切除術)が検討されることがあります。ただし、手術は最終手段であり、多くの場合は手術をしなくても改善します。
この病気と共に生きる
膝の滑液包炎は、適切なケアで日常生活に大きな支障なく過ごせることがほとんどです。痛みや腫れが続く間は、無理をせず膝を休めることが大切です。治った後も、予防のために膝に負担をかけすぎないようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 長時間ひざまずく作業は避け、膝パッドやクッションを使う
- 膝に負担がかかるスポーツは、症状が落ち着くまで控える
- 体重管理を心がけ、膝への負担を減らす
- 普段からストレッチや筋トレで膝周りを強化する
食事と運動
炎症を抑える食事(抗酸化物質の多い野菜や果物、オメガ3脂肪酸を含む魚など)を意識すると良いでしょう。運動は、膝に負担の少ない水中ウォーキングや自転車エルゴメーターなどを医師と相談しながら行うと、筋力維持に役立ちます。
精神的健康と心の健康
痛みが長引くと、気分が落ち込んだりイライラしたりすることがあります。これは自然なことです。無理をせず、自分のペースで回復を待ちましょう。必要なら、医師やカウンセラーに相談することも選択肢の一つです。
予防
完全に予防することは難しいですが、膝に負担をかけすぎないようにすることでリスクを減らせます。こまめに休憩を取る、膝パッドを使う、体重を適正に保つなどの対策が効果的です。
ワクチン
該当するワクチンはありません。ただし、感染性滑液包炎を予防するために、膝の傷を清潔に保つことが重要です。
検診プログラム
滑液包炎を早期に見つけるための特別な検査はありません。膝に異常を感じたら早めに自己ケアと観察を行い、長引く場合は受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 滑液包炎が慢性化し、繰り返し腫れや痛みが出る
- 感染性滑液包炎の場合、炎症が周囲の組織に広がる(蜂窩織炎)
- まれに敗血症(全身に感染が広がる重篤な状態)に至る可能性がある
長期的な見通し
多くの膝の滑液包炎は、適切な治療と自己ケアで数週間から数ヶ月で良くなります。感染がなければ、後遺症なく完治することがほとんどです。感染があった場合でも、早めに治療すれば問題なく回復できます。再発を防ぐためには、膝に負担をかけない生活習慣を続けることが大切です。
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最終更新: 2026年7月16日
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