ブラウリー潰瘍(Buruli Ulcer)について
概要
ブラウリー潰瘍は、肌の中に入った細菌(マイコバクテリウム・ウルセランス)が原因で起こる皮膚の感染症です。感染すると、最初にしこりや腫れができ、痛みがあまりないまま、やがて大きな潰瘍(皮膚がえぐれた状態)になることがあります。
重要な事実
- 人から人へうつることはありません。
- 原因になる細菌は、水辺などの環境にいると考えられています。
- 治療せずに放っておくと、皮膚や筋肉が深く傷つくことがあります。
- 早く治療を始めれば、多くの場合、治すことができます。
日本ではとてもめずらしい病気です。主にアフリカやオーストラリアなど、熱帯・亜熱帯の地域で見られます。
感染が多く見られる地域では、特に5歳から15歳くらいの子どもたちがかかりやすいとされています。ただし、年齢や性別に関係なく、誰でもかかる可能性があります。
症状
- 潰瘍の周りが急に赤くなり、熱を伴う
- 高熱や悪寒(さむけ)がある
- 潰瘍の大きさが一日で急に広がる
- 意識がもうろうとする、呼吸が苦しい
- ⚠潰瘍が数週間たっても治らない、または大きくなっている
- ⚠腫れが強くなり、動かしにくい
- ⚠潰瘍からの強い痛みや、異臭を伴うおりものがある
一般的な症状
- 痛みがあまりないしこりや腫れ(最初は虫刺されに似ていることもあります)
- しこりがつぶれてできる大きな潰瘍
- 潰瘍のふちが盛り上がり、えぐられたように見える
- 腕や脚が腫れる
- 熱感や痛みはあまり強くないことが多い
子供の症状
- 虫刺されや小さなけがと間違えられることがよくあります。
- 腕や脚など、露出している部分にできやすいです。
- 痛みが少ないため、気づかないうちに潰瘍が大きくなることがあります。
高齢者の症状
- 治りが遅く、潰瘍が大きくなりやすい傾向があります。
- もともと持っている病気(糖尿病など)の影響で、症状が重くなることがあります。
- 複数の潰瘍ができることもあります。
原因
主な原因
- マイコバクテリウム・ウルセランスという細菌が皮膚の傷から入ることで感染します。
- この細菌は、ゆっくりとした水のある環境(沼や池など)にいると考えられています。
- 細菌が作り出す毒素が皮膚や皮下の組織を壊してしまうため、潰瘍ができます。
リスク要因
- ブラウリー潰瘍が多い地域(アフリカ、オーストラリアなど)に住んでいる、または旅行で訪れたことがある
- 水辺での仕事や活動をする
- 皮膚に小さな切り傷や虫刺されがあると、そこから感染しやすくなります
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 潰瘍が急速に大きくなる
- 潰瘍の周りが赤く腫れて、痛みや熱が出る
- 複数の潰瘍ができる
- 動けなくなるほどの痛みや腫れがある
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みのない潰瘍やしこりが数週間、治らない
- 虫刺されやけがだと思っていたものが、なかなかよくなず、皮がむけたり深くなったりする
- 海外からの帰国後に、皮膚に異常が現れた
診断
医師が皮膚の状態を診て、必要に応じて検査を行います。最初は似たような皮膚の病気と区別するため、専門医への紹介が必要なこともあります。
行われる可能性のある検査
- 皮膚の組織を少し取って調べる検査(生検)
- 細菌のDNAを調べるPCR検査
- 組織や潰瘍を顕微鏡で観察する検査
- 必要に応じて、血液検査や画像検査(超音波など)
診察で予想されること
診断には1〜2週間かかることがあります。検査結果を待つあいだも、医師の指示に従って傷の手当てを行います。結果がはっきりするまでは、自己判断で市販薬を使うのは避けてください。
治療
ブラウリー潰瘍は、抗生物質を使った治療と、傷のケアを組み合わせて治療します。治療期間は数週間から数ヶ月にわたり、長い間通院が必要になることもあります。
自宅でのセルフケア
- 医師や看護師に教わった方法で、毎日、清潔に傷の手当てをする
- 潰瘍のある部分を清潔な包帯で覆い、清潔を保つ
- 自分で薬を勝手に塗ったり、軟膏を変えたりしない
- 潰瘍を触った後は、石けんで手をよく洗う
- 医師に相談せずに、潰瘍を自分で切ったり、つぶしたりしない
医療治療
専門医の指導のもと、複数の抗生物質を合わせて数週間から数ヶ月使用します。薬の種類や量は、年齢や体重、症状の広がりによって医師が決めます。治療中は傷の状態に合わせて、定期的に医療機関で処置を行います。
手術が検討される場合
病変の範囲が広い場合や、壊れた組織を取り除く必要がある場合は、手術を行うことがあります。皮膚移植が必要になる場合もありますが、最近は抗生物質の治療を優先し、手術はできるだけ控える傾向があります。
この病気と共に生きる
治療が長引くこともありますが、通院と傷の手当てを続けることが回復の近道です。症状が軽くても、医師の指示した期間はきちんと治療を続けましょう。
生活習慣のアドバイス
- 潰瘍で露出している部分を清潔に保ち、必要に応じて包帯やガーゼを交換する
- 柔らかい素材の衣服を選び、傷に刺激が当たらないようにする
- 水辺や土の多い場所では、長袖・長ズボンや肌を覆う衣服を着る
- 飲酒や喫煙は治りを遅くすることがあるため、控えることがすすめられます
食事と運動
からだの免疫力を保つために、バランスのよい食事をとりましょう。療養中は激しい運動は避け、医師に相談しながら、腕や脚を使う運動(関節の曲げ伸ばしなど)を行ってください。
精神的健康と心の健康
見た目が変わることや、治療が長引くことで、不安や落ち込みを感じることがあります。一人で抱え込まず、医療者や家族に気持ちを話すようにしましょう。もしも強い落ち込みや眠れない日が続く場合は、早めに医師に相談してください。
予防
完全に予防する方法はまだ確立されていませんが、リスクを下げることはできます。特に、ブラウリー潰瘍が多い地域では、水辺で皮膚を踏み出すような活動を避ける、肌を覆う服を着る、傷を清潔に保つことがすすめられます。
ワクチン
現在、ブラウリー潰瘍を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
日本では集団検診は行われていませんが、海外の流行地域から帰国した後に、皮膚に治りにくい潰瘍やしこりができた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 潰瘍が広がり、皮膚や筋肉、骨まで深く侵される
- 関節が曲がったまま動かなくなる(拘縮)
- 皮膚や組織の壊死が進む
- 二次的な細菌感染を起こす
- 重度の後遺症(変形や機能障害)が残ることがある
長期的な見通し
早期に発見し、適切な治療を受ければ、多くのブラウリー潰瘍は治すことができます。治療には時間がかかることもありますが、きちんと通院を続けることが回復につながります。後遺症が心配な場合も、リハビリや手術などで改善を目指すことができるので、希望をもって治療に取り組みましょう。
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最終更新: 2026年10月20日
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